第15話 【貨物船護衛依頼】
1番熱い時期を越えたがこれといった依頼もないため、天琉は自室でくつろでいた。
天琉「今日も平和だねぇ~」
だがその平穏な時間はロビーから突如として鳴り響き、チームハウスを揺らす爆発によって崩れ去った。
音の現況がロビーにいると思い、部屋を出て下の階に降り、ロビーに向かうと、そこにはタコが倒れていた。
天琉「なにがあった!?」
タコ「あ、すまねぇ天琉…。発明品の実験してたら爆発しちまってさ……」
天琉「なんの実験したらそんなことになるんだよ」
タコ「今回はかなり大掛かりな発明品だったからな」
タコがそう言うのであれば、かなりの凄い発明なのだと予想するが、その予想はあっさり外れる。
それは失敗した料理を調理前まで戻すという装置だった。
天琉「いやろくでもねぇ発明品じゃねぇか!」
タコ「ろくでもないとはなんだ! これはこのチームを守るための発明だぞ!」
天琉「料理したものを最初の状態に戻す装置がどうやってこのチームを守るんだよ!?」
タコ「ネルの料理したご飯をもとに戻すためだよ!」
天琉はそのことを聞いた瞬間にハッとさせられてしまう
このチームは日々の料理当番が決められているのだが、ネルの番が来る度、メンバーは生と死の狭間をさ迷うという日々を送っていた。
ある時は川を、ある時は花畑、いろんな物を見せられる始末。
すると天琉は、ライアンの姿が見当たらない事に気がつき、何処かと聞くと、タコはある方向に視線を向ける。
その視線を向けた方向を見てみると、そこには何かを手に持ったまま白目を向いたライアンが倒れており、天琉はそれを見て驚愕するしかなかった。
タコ「ライアンがネルの料理を口にして、ぶっ倒れちまったんだよ!」
天琉「俺が下りてこない間になに食わされた!?」
タコが指差す方向を見るとそこにはライアンが持っている物と同じ黒いすこしトゲトゲした塊が落ちていた。
天琉「な、なんだこの黒いたわしは」
タコ「コロッケらしい」
天琉「コロッケ!? これが!? こいつもこいつでよく食おうと思ったな!」
なんでもタコが食わないと言ったあとにライアンが食べるように頼んだとき、食わなければボコすという雰囲気と眼力を見せられ、食べるしか無かったそうだ。
天琉はそれを聞き、納得するしかない。
タコが自らの失敗をなげきながら涙を流していると、天琉はやさしく肩に手を置く。
天琉「大丈夫だ、お前の努力は報われる。一緒にネルに飯を作らせないようにしよう!」
タコ「おう!」
二人はひとつの目的のために今一度、絆を深め合うように力強く手を組み合った。
タコ「あと本来使い方は違うが、ステルス機能がついた装備を作ってて、それで逃げるってことも…!」
天琉「おぉ! いいなそれ! 早く作ってくれよ!」
「たしかに、凄い。ところで…」
気がつくと無表情でとてつもない殺気を向けながら二人の後ろに立つネルがいた。
ネル「死ぬ準備は、できた?」
ネルが処刑の合図を送るようにマインがケルベロス化し、唸り声を発する。
それを見た2人は顔が青ざめ、死ぬ覚悟をしていた。
数分後、二人の顔はケルベロス化したマインの2つの口に納められていた。
ネル「今日は、これくらいにしてあげる。マイン、散歩行こ」
つばを吐くように地面に捨てられ解放された二人は、頭から血を流していた。
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天琉「よくよく考えると、俺たち今よく生きてるよな」
タコ「確かに」
ライアン「お前ら大丈夫か?」
天琉「お前は大丈夫なのか?」
ライアン「なんか、死んだポチが川の向こうで手招きしてたの見えたけど大丈夫」
天琉「こいつもこいつでやばかった…」
そんなこと話し合う中、天琉とライアンは昨日のタコの様子が気になっていた。
昼に襲われてから、なにか考え込んでいるような表情を浮かべていた。
だが、今日の朝はそんなことがなかったかのようにけろっとしていて、心配になったのだ。
聞くか迷ったが、聞かないよりましだと思い、2人は声をかけることにし、ライアンから話しかける。
ライアン「なぁ、タコ? 昨日の夜浮かない顔してたが、大丈夫なのか?」
タコ「ん? あぁ、それならもう大丈夫だ!」
満面の笑みで答えるタコの顔を見て、2人は安心する。
そんな話をしていると、依頼一覧ボードが更新され、新しいものが写し出される。
天琉は何が来たのかと思い、起こしてボードの前にたつと、そこにはかなり地位が高い人からの報酬の高い依頼があった。
依頼内容は貨物船の護衛、最近になって増えてきている未登録従魔災害や海賊などの被害から守ってほしいとのこと。
行き先は全ての国の中で唯一軍事組織が存在する国
「軍事国ミリタリス」
天琉「へぇ、船の護衛か、面白そうだし行ってみるか」
天琉は船に乗れて、何よりも行ったことのない国と言う目新しさに心打たれ、その依頼を受けることにした。
タコは発明が忙しく、ライアンは気分じゃないからパスと言う理由で行かず、天琉一人で行く事になったのだった。
◆
電車などの移動手段を使って港町に到着し、停泊する巨大な貨物船を見た天琉は、その大きさに感心しながら依頼人の軍人を探していた。
天琉「ひゃー、これはまたデカイなぁ」
次々と荷物が入れられたコンテナが船へと積まれていくなかで、何やら騒音が聞こえてくる。
どうやらコンテナをうっかり落としてしまったらしい。
「貴様! 何をやっている! 中にあるものが割れたらどうしてくれるか!」
ミスを犯してしまった従業員に、白い軍服を着た少し、いやかなり太った先がくるりとした髭を生やした人物がキツく当たる。
そのミスを必死になって謝っているが、まったく許してくれず、何度も暴力を振るわれているところに、1人の男が振りかぶった手をつかむ。
天琉「ちょっとやりすぎじゃないですか?」
「はぁ? なんだ貴様、私に文句でもあるって言うのか?」
天琉「いえ、少しやりすぎだと思いまして。 そんなに怒ってやる必要もないでしょ?」
天琉は度が過ぎた叱りを指摘をするなかで、その人物が今回の依頼人であることに気がつき、相手も依頼を受ける側だと気がつく。
「緋色髪だとは聞いていたが… チッ、武道国人か口出しするでないわ!」
そう言うと軍人は天琉の頬に強くビンタを放ち、嫌味を吐き捨てる。
天琉「これ以上はやめたほうがいい。あんたの立場的に、こんなこと公の場でして良いんですか?」
その指摘を聞いた軍人はあたりをみると、なにやら悪い噂をたてるようにヒソヒソと話していた。
「チッ、まぁ良い。次また落としたら承知しないからな!」
そう言いながら怒りをあらわにしながら堂々と歩きながらその場を去っていく。
その後、ミスをしてしまった従業員からお礼をされた天琉は早めに船へと乗り込む。
しばらくして全てのコンテナの詰め込みが完了し、船の煙突から出向の合図を思わせる煙が立ち上がり船は港を出て、ミリタリスへと向かい始める。
◆
暗い船室にはフードを被ったひとりの男と、先ほど港で騒いでいた軍人が何やら話をしていた。
「それで、約束の品はちゃんと入れて持ってきてけれたんだろうな?」
「えぇ、もちろんですよ。こちらとしてもありがたいですよ。あれを処分できて。言っておきますが、あれは早めに孵化するようにしています。そして、孵化した途端に人を襲うほど狂暴ですので、お気をつけください」
「ゲッヘヘ、あれさえあれば私は一気に上へと上ることが出来る、あのぽっと出の武道国人の奴でさえも抜いて!」
笑いながらその部屋を出ていったが、そこにとどまっていた男は不気味な笑い声を発していた。
「まったく、面倒なことを任せてくれましたねぇ。まぁ、同時に面白いものを見れそうなので、良いのですがね?」
そう言いながらより大きな声で不気味な笑い声を今いる船室に響き渡らせる。
◆
その頃天琉は船のコンテナが置いてある人があまり来ない場所で船が進むことで出来る風に身を当てながら涼んでいた。
天琉「いやぁ、たまにはこういう船旅みたいなのもいいなぁ、護衛依頼だけど」
天琉はそんなことを言いながら、先程あった依頼人のことを思い出し、段々とイライラを増していき愚痴をこぼす。
天琉「にしてもあの野郎、地位が高くてしかも依頼人ってことで手が出せないが、本当にムカつくな、何が文句あるかだ! テメェには文句じゃなくてポークって言ってやりてぇよ!」
立場の問題で手が出せない苛立ちを誰もいない場所で愚痴をこぼすことで発散する天琉だった。
◆
場所は変わり客室の扉が並ぶ通路で、女性用の軍服を着た、青みがかった銀髪の髪型がポニーテールの女性がひとり歩く。
「たしかな情報掴めずに乗ったけど、上層部が何か企んでるってことは間違いないんだよねぇ」
「おい! 玲来少尉!」
小さな声で独り言をこぼしていると、目の前から自分を呼ぶ声が聞こえ、瞬間に苛立ちを隠しながら真面目な顔をつくり、敬礼する。
その相手は先程天琉にビンタを放った軍人だった。
玲来「如何なされましたか? ホッグ殿」
ホッグ「如何ではない! 貴様こんなところをほっつき歩いてないで、とっとと外で警備をしたらどうだ!」
玲来という女性はその言葉を聞いて一瞬表情を曇らせてしまうが、すぐにそれを直すも、それを見逃さなかったホッグはすぐにそれを指摘する。
ホッグ「なんだ、今の顔は? 何か文句でもあるというのかぁ? あぁ?」
玲来「いえ! 滅相もございません」
ホッグ「チッ、貴様の父と言い依頼を引き受けた奴と言い、武道国人というのはどいつもこいつも生意気なやつらが多いなぁ? 良いかしっかり仕事しろよ? わかったな!?」
玲来「はい! 肝に命じます!」
そう返事を聞くや否やホッグは舌打ちをした後に玲来の横を愚痴を言いながら通っていく。
その後に玲来は近くに合った自分の客室に入ると、押さえつけていた怒りが小さく爆発し始める。
玲来「なんなのいっつも私に文句言ってきて! 何が「文句あるか?」よ! 私は文句じゃなくてあんたにポークって言ってやりたいわ!」
部屋で地団駄をしながら愚痴を部屋の外に聞こえないレベルの声でこぼしてストレスを発散する。
玲来「はぁ。スッキリしたし、そろそろ探さないと」
最近になって上層部の様子がおかしい事に気が付いた玲来は独自にそれを調査していき、この貨物船にその答えがあることがわかり、無理を言って警備についたというとのこと。
その後、玲来は部屋を出てその正体を突き止めるべく行動を始めたのだった。




