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第3話 白雪姫


「あなた達、次は教室移動でしょ。早く行かないと遅刻するわよ」


遭難していた俺と太一の前に天使が舞い降りた。いや正確に言えば天使のように可愛い少女なんだが、もう天使って言っても良いと思うよ。


「あ、はい……」


どうやら太一も同じことを思っていたらしい、口をぽかーんと開けていつも以上の馬鹿面で少女を見つめている。


「あの……!」

「……なに?」


少女が身を翻すのを見て慌てて引き止めてみたけど、あらためて見つめられると、その漆黒の瞳は全てを見透かすように凛としていて、緊張でまともに喋れない。いやマジで。


「俺達道に迷っちゃったんですけど……特別教室ってどこにありますか?」

勇気を振り絞って聞いてみたけど、馬鹿とか思われただろうか。こんな美少女に初対面から馬鹿なんて思われたら……そこで気付いた。あ、俺より馬鹿がいるや〜。


隣には未だにアホ面を晒し続けている馬鹿がいた。相当な勢いで見とれてるよこいつは。


そこで少女は俺たち二人を交互に見つめて、ニッコリと笑顔を見せた。


「あなた達、馬鹿?」


あ、今この笑顔をまるで天使の〜と表現しようとした僕を許してください。


「最初に渡されたプリントに教室配置は全部書いてあったでしょ。ちゃんと読まないからこうなるんでしょうが」

「すみません……」

「名前はなんですか?!」

「はい?」

いやいやいや。思わず俺が聞き返しちゃったし。本当にこいつは突然なんなんだろうか。馬鹿か。馬鹿だ。

「白雪霙よ」


そうか。これが白雪姫か。入学してから何度も噂だけは耳にしていた。確かにその艶やかに流動する長い黒髪と人形の様に整いながらもまだ幼い顔立ち。そして華奢ながらも強さを感じさせる挑戦的なオーラは、容易に姫を想像させた。


「白雪姫だ……」


今だけは太一の意見に賛成した。それほどに目の前の少女は美しかった。


すると白雪はまたニッコリと笑う。

「ありがとう。でも次その呼び方で呼んだら殺すわ」

……え?俺の中の清楚なイメージぶっ壊れたよ?

というか、まさかこれが白雪霙の本性なのか?


「そろそろ始まるし、私は特別教室に行くわ。ついて来たいなら勝手に来なさいよ」


特別教室に行くって、もしかして同じクラス?!あれ、でもこんな美少女いたっけ……

そんなこんなでいろいろ考えている内に白雪はすたすたと早歩きで行ってしまう。

「お、おい太一!考えるのは後だ!今は教室に向かうぞ!」


俺はいろんな感情が混じってわけのわからん表情になって固まっている馬鹿な太一の腕を引っ張ると、急いで白雪姫の追跡に走った。

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