第1話 衝突の始まり
「おい!あれ見ろよ!」
「ランク10位の猿渡と315位の鳴宮の対決だ!」
煌々と風の吹くグラウンドには対峙する二つの影が揺れ動き、フェンス越しには何百もの野次馬が取り囲んでいる。
「無茶過ぎる!」
「あんなやつが猿渡に勝てる訳ねぇ!」
そんな矢のように飛び交う憶測の中、片方の影がじわりと動き出した。
「なぁ。おまえ鳴宮とか言ったよな。いきなりどうした?頭でもおかしくなったか?」
その嘲り笑うような問い掛けに取り巻きが一斉に笑い転げる。
「俺様はランク10位。10番代なんだよ!お前は?」
「315位。鳴宮隆平だ」
その返事と共にまた野次馬から嘲笑が起こる。
「315位ぃ?最下位同然のお前が俺様に何の用だよ。あぁ?」
猿渡と呼ばれた少年は悪意じみた笑顔で鳴宮を指差す。
「まさか、召喚対戦なわけないよなぁ?」
「猿渡徹。俺はお前に召喚対戦を申し込む」
「あぁ?」
そこで初めて猿渡は怒りを表にした。汚いものを見る様に目つきを殺気走らせ、顔は苛立ちと憎悪ではち切れんばかりに赤くなる。
「てめぇ、二年坊主が調子こいてんじゃねぇぞ!さっさと構えろゴラァ!」
その危機迫る圧迫感は風の流れをも遮り、あまりの恐怖に野次馬達は一斉にフェンス越しにのけ反った。が、しかし鳴宮は平然と立ち構える。
「手加減は無用だ」
「殺す!」
そして同時に二つの水晶が空中に飛び交い、それぞれ互いの水晶に向かって一斉に光を放った。
『召喚!』
その瞬間に水晶は光を増大させ反射し、巨大な光柱が天に駆け瞬く間に辺り一帯を包み込んだ。