強豪校
大阪商蔭大学付属高校
通称「商蔭高」として生徒に親しまれている。
偏差値は高くはないが低くもなく
他の私立高校と比べると比較的校則も緩い。
ここまでだとどこにでもある高校だが
この高校の強みは硬式野球部とサッカー部だ。
サッカー部は全国大会の常連で
去年のインターハイも準優勝している。
硬式野球部はここ5年は甲子園出場は
逃しているが創部20年で春夏合わせて
15回出場、4回優勝している。
プロ野球選手も多く輩出している。
そんな強豪の野球部に入部するには
推薦しか認めないのも当然かもしれない。
大河もそう思っていたが入学式で
一目惚れした女性に一緒に頑張ろうと
言われたら頑張るに決まっている。
「竹内さん!実はちょっとお願いがあって…」
大河は竹内さんに入部を断られたこと、
なんとかおじいちゃんに頼んで
入部のテストだけでも受けさせてもらえないかと
竹内さんに聞いてみた。
そしたら竹内さんはその場で理事長である
自分の祖父に電話し、なんと直接交渉できる場を
設けてくれたのだ。
「竹内さん本当にありがとう!
なんとか竹内さんのおじいちゃん、いや、
理事長に頼みこんでみるよ!」
「ううん!私も大河くんたちが野球の練習を
してるの見てたからやる気はあるって
知ってるから!一緒に頑張ろう!」
この子は女神なのか?
大河は心の底からこの子を好きになって
よかったと思った。
そして放課後に理事長室へ3人で向かう。
「なんで俺と藤原も行くねん。」
「当たり前やろが!!お前らも入部希望やろ!
絶対失礼の無いようにしろよ!」
大河は念押しして理事長室をノックする。
「失礼します!竹内里奈さんのご紹介で
伺いました!1年生の峯本大河です!」
「1年の林です。」
「同じ1年の藤原です。」
「君が峯本君か。話は里奈から聞いてるよ。
たしかにうちの野球部は推薦しか認めてなく
一般生徒は入部できない。そしてその方針は
これからも変わる予定はないんだ。」
いきなり大河たちは出鼻を挫かれた。
「だけどこれは公にはしてないけど
監督が入部を許可したら入部はできる。
実際に軟式野球部から硬式に移った選手も
何人かはいるんだ。」
大河たちはそのことを聞いて考えたが
決断は保留して帰ってから決めることにした。
「やっぱ強豪校なだけあって
簡単には入部できへんねんな」
林が残念そうに言った。
「とりあえず軟式に入るしか
方法がないんじゃない?」
「う〜ん、でも軟式に入っても
監督の目に留まるかどうかは運次第やろうし…」
3人は悩み続け結局答えが出ないまま
それぞれ帰宅した。
「ほんまに上手いこといかんな人生って…」