姉と妹
ドサッ…
大河はベッドに倒れ込むように寝転がり
軟式野球部に入るかどうかを考えた。
「野球やれるなら軟式でも硬式でも
一緒かな…」
そう思った時にスマホに着信音が鳴った。
「藤原からか、何の用やろか」
スマホを開くと
『あの後林とも色々考えたけどやっぱり
野球をやるなら硬式でやりたいし、そのためには
あの監督に実力と熱意を認めてもらうしかない。
そこで大河、お前竹内さんのおじいちゃんが
俺らの高校の理事長って知ってたか?
竹内さんに頼み込んでテスト受けさせてもらお。
お前も竹内さんと近付くいい機会やろ?
じゃあ連絡よろしく!』
「竹内さんが理事長の孫って…
漫画みたいな展開やな
よし、竹内さんに連絡してみよ!」
そう意気込んだ大河だが
竹内さんの連絡先を知らなかった。
明日学校で話そう、そう思い眠りについた。
「おはよ…」
「おはよう大河、今日は早起きやん。」
双子の長女達が双子らしくハモっている。
そして三女の若葉が大河に尋ねる。
「そういえば大河、あんた竹内里奈ちゃんって子
好きなん?」
ブファっっ!!!
飲んでる途中のオレンジジュースを吐き出す。
「なんでお姉ちゃん竹内さん知ってんの?」
「いや理事長の可愛い孫が入学したって
有名やで。私も友達と昨日見に行ったら
ほんまにあの子可愛いなぁ。
ほんで帰り話してたらあんたの話しになって
昨日の朝まで野球やらんって言うてたのに
大河くん野球部入るみたいなんですよ!って
ニコニコしながら竹内さん言うてたから」
姉と妹に好きな子がバレてしまった。
思春期ならではの恥ずかしさだ。
「お兄ちゃん、また野球やるの?」
1番下の妹のみはるが質問してきた。
「迷ってたけど言うわ、お姉ちゃん、美優紀、
みはる、俺野球部入るわ、決めた。」
家族に決意表明をした。
「ん?でもうちの高校って推薦でしか
野球部入られへんのちゃうん?」
三女の若葉は友達に野球部のマネージャーが
いるので内情などに詳しかった。
「やから竹内さんに頼んでなんとか理事長に
コネというか融通利かせてもらえるか
お願いしてみる予定」
「そっかぁ〜大河、頑張りやぁ」
長女のあゆみが応援してくれた。
相変わらずおっとりした喋り方だ。
「また試合あったら友達と行くね!」
妹の美優紀は中学時代から
友達を連れて試合を観に来てくれた。
家族に話したことによりやる気が出てきた。
「よし、とりあえず竹内さんに頼んでみるか。」
そう思い竹内さんと公認で話せることに
嬉しさとドキドキ感を背負い
大河は学校に向かった。
「良い姉と妹を持ってよかったな…」