プロローグ
初めての作品ということなので読みにくいところなどがたくさんあると思いますので、遠慮なくご指摘ください><
※悲劇っぽい雰囲気なのにコメディーなのは気にしないで下さい。
セミの鳴き声もうるさくなってきた8月ごろ、俺は家の近くにある公園の木陰に腰を下ろし手に持っていた缶を口に当てて傾ける。
いよいよ昼時という一番暑い時間帯に来てしまったことに多少なり後悔をしたが、まぁ気にすることも無いと忘れることにした。何より夏は暑いのがいいのであって、冷夏などというつまらないものになってしまってはつまらない。もっとも、暑い夏が嫌いだという人も少なくはない。
「やっぱり、夏は暑いほうがいいよな」
誰に言うでもなく独り呟く。
缶の中身が空になったのに気がつくと、近くにあるゴミ箱に向けて放り投げる。もちろん、野球など遊び程度でしか経験したことのない俺のコントロールが良い筈もなく、ゴミ箱とはぜんぜん違うところに落下した。
急がば回れ、自分の行為に苦笑しつつ立ち上がりゴミ箱よりはなれたところに転がった缶を拾い上げてそのままゴミ箱に入れる。
少し日向に出ただけなのに木陰に居るときと比べてかなり暑く感じられた。今日の最高気温は35℃を超えると今朝の天気予報で言っていたのを思い出す。しかしこれは40℃を超えているのではないかと思えるほどの暑さだ。
「ま、寒いのよりはいいけどな」
先ほどの場所に戻り再び腰を下ろす。
他人から見たらまったく不毛な時間をすごしているように見えるかもしれない。いや、俺自身も実はそう思っているだろう。
今がいくら夏休みと言えど、受験生という重い看板を背負った学生たちには平日よりもつらい時期なのだ。それこそ、1分1秒をも惜しまなければいけない覚悟で過ごしている連中もいるだろうし、その1人である俺もその覚悟が必要だろう。
「わかってるんだよ、わかっちゃいるけどさ…」
休みに入ってから時間はばらばらだったが、この場所に来なかった日はない。もちろん学校が休みに入る前から暇な時間を見つけてはここにきていた。そして何もせず、ただ公園の中央部にある噴水を見つめながら1時間ほどそこに座り込むことを繰り返していた。
何度かその姿を友人に見つかりいろいろなことを言われたが、特に気にも留めずやめることはなかった。
――約束は、守るためにあるんですよ――
いつか聞いた事のあるフレーズが頭の中でよみがえる。この先に何か続いていくつかの言葉もあった木がするけど、今は思い出せない。それでも、この言葉だけは今でもハッキリと覚えている。
遠い昔のように感じる懐かしい言葉。もう忘れてしまったかもしれない声。目を瞑ってもぼやけてしか浮かび上がらない姿。かつては当たり前のようにあったものが今では夢から覚めてしまったようになくなりかけていた。
まぶたを閉じ後ろに立っている木に背中をあずけるように寄りかかる。
そして、二度と繰り返すことのない日々を頭の中で考えていく。
俺が俺であることを教えてくれた人とと過ごした日々
それはとてもとても短い時間であり暖かい時間でいて今までに中で大切な時間だった。
2年という月日をさかのぼり、その日その日の出来事をおぼろげな記憶から呼び起こす。
この世で一番大切なものと出逢ったそのときのことを―――