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性嫌汚

作者: 有朱

若干r指定要素あり。

苦手な人は避けてください

まだ私の身体に性は無い。

膨らみのある部位なんて私の身体には存在しなくて

恰も両性偶有かの様

それが一番だったのに

だんだんと私は女に近い身体になる

それを突き付けられる度に

見ないフリして切り堕としていた

私は誰でも無い者

私も僕も相応しく無い


自分はただ微睡みの中で夢を見る

そこには性の無い自分がいて

愛する人間に囚われないのだ

自分だけ一人で

永遠に自由で

生理もなく勃起もなく

性欲そのものを放棄された世界

そこでなら自分は苦しまないで生きていける


時々夢見る、彼方先の失楽園

そこは自分だけの快楽の園

愛も恋も無い

唯々自明で美しく強い自分が居る

私には今、大切な人が居る

でも何度誓ったところでその心を疑う自分なのだ


人間は昔、男男と女女、そして男女という3つの性だった

手足8本、顔2つを持ち強い力を持った彼らを恐れ

神は彼らの身体を2つに裂く

手足4本、顔1つの自分達

人間は裂かれて離れた自らの半身を探す為

そして再び1つに成る為に恋する


何度も好きを誓った貴方は

自分の半身なのか

自分の様な異常者を半身と呼ぶのか

そうでも自分の性を受け入れるつもりなど

毛頭も無いが


自分は性に囚われたく無い

そんな不可能を思ってしか泣けない

誰かの為に涙なんて分け与えない

日に日に女らしく成る身体

せめてもの慰めの術も無くなった

嗚呼、自分は、私は


どうしようもなく女だ


もう逃げられない




全てに囚われる

大人になる事、

女になる事、

社会の歯車に組み込まれる事、

体面を気にして生きていく事・・・

それならば短い命でも許せる

枯葉の様に朽ち果て土に還る

それは一番美しい事に思えた


他人が許さなくても

自分は「私」を殺す事を赦す






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