女騎士は語るⅠ
すんません、おそくなりました。あと短いというね…
あと続きは今日か明日には出します(フラグ)
~sideミリア~
ここ、王都【アルカサレ】において、勇者召喚が行われることになった。
そのことで、各重鎮や貴族たちに通達が下り、現在。王都アルカサレには国の中枢を担う者たちが集まっていた。そのため、現在の警備体制はいつもよりも厳重となり、慌ただしく―――当然、近衛騎士副団長であるミリアは入ってくる情報の整理や現体制の見直しなど、指示を出すべく追われていた。
——————いや、少なくともさっきまではそうだった。というのが正しいのだろう。
ミリアは国王に招集されていた。
本来であれば、そういった招集には団長が応じて、副団長であるミリアは騎士団の総括をするというのが常である。そして今回も例にもれず騎士団長は招集されている。
ただ、今回はそこに副騎士団長も加わっていた。正確には後からそう通達されたというのが正しい。
「この忙しい時に陛下は何を考えておられる…!」
故にひとり、内心イラつきながらもその足は王命に従うべく謁見の間を目指し歩いていた。
従来の鋭い目つきに、本人は隠しているつもりでいるが―――表に出ている機嫌の悪さもあいまって、すれ違う城勤めの従中たちはどこかぎこちない。
目が合ったメイドに会釈を返し、その返しが「ヒッ!」だったのは少しばかり納得がいかないとミリアは内心、独り言ちる。
勇者召喚とは、人類を苦しめる彼の魔王を打ち倒す英傑を呼び出す儀式を指す。
専門の学者が調べた文献によると、その者は悪を打ち払う強大な力を宿し、その志は気高く、その人格者たるや民を導くに相応しいという。
それはまるで、おとぎばなしに出てくる英雄のようなお方だという。
にわかには信じがたい。
まるで、【勇者の冒険】の勇者様のようではないか。
王国の者であれば知らぬものなどいない、幼子でも知っている有名な英雄譚である。
技術の発達した王都においては幼い子供向けに絵本も出回り、大人向けの娯楽【歌劇】でも王道演目として扱われている。
そんな勇者様のようなお方を召喚する?
どうしたらそんな考えに至るのか。
凡人のミリアにはわからない。
我が王はとうとう魔族の進行によるストレスで頭がやられてしまったのではないか。
そちらの方がよほど説得力のある話であるとミリアは目頭を揉んだ。
ミリアが訝しむのも無理はない。
なにせ、勇者召喚が過去に行われたという事例は凡そ1000年前。
その事実の精査は先達が残した文献しかなく、歴史の証人はもちろんのこと存在していない。いや、そもそも、本当にそのような者が居たのかさえ疑わしい。
その所為か、【勇者】は【世間】に御伽上の存在として登場する架空の人物として扱われていた。
ほかならぬミリア自身も、幼い頃に母親に【勇者の冒険】を読み聞かせてもらって育った。
彼の冒険譚に興奮したのをミリアはよく覚えている。
将来は自分が勇者になって彼の魔王を倒すと意気込んだものだった。
それがこうじて剣を取り、気がつけば騎士となって、それがいまでは近衛騎士副団長にまで上り詰めている。
そんなミリアも、もう今年で18になる。
そろそろ身を固めろとうるさく言われていた。そんな分別つく歳になると、やはり、考え方は現実的になる。
「勇者など、存在していない」
―――バカバカしい。
そんな物、ただの空想の産物だ。
現実に居る訳がない。
そう吐き捨て、ミリアは玉座の間の扉を押しあけた。
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