乙女ゲームのヒロインに転生したらザマァされたのでループする
私はヒロイン。
乙女ゲーム[ラブラブ]のヒロイン、マリーだ。
[ラブラブ]は略でもっと長ったらしい名前があった気がする。
ま、どうでもいいけどね。
私はヒロインつまり愛される存在。
攻略対象達なんて過去を言い当てれば勝手に堕ちてくれる。
…だってゲームなんだから。
私の目の前にはイケメン達が怖い顔をして立っている。
知らない顔もいるが攻略対象達だ。
卒業式後のダンスパーティーは断罪イベントが起こり私が攻略対象と結ばれる。
でもこの場で裁かれているのは私。
私が居るべき場所には悪役令嬢。
余談だが私は転生者だ。
前世は高校受験に成功した女子中学生。
ハイちゆーもーく。
ココ重要だよ。
私乙女ゲーやったこと無いんだよね〜
合格発表の日に幸せの絶頂で死んだ喜劇的オタクさね。
この[ラブラブ]も友達に聞いただけ。
ついでに悪役令嬢。
彼女もまた転生者だ。
こちらの世界でマヨネーズや、ケーキなんかを開発したからまず間違いない。
奥様方にも人気だ。
同じ転生者でどうしてこうも違うのか。
「おい!聴いているのかマリアンヌ!」
あぁ私って公式には亡国の王女だったんだよなぁ。
無駄に豪華な名前だこと。
「随分余裕だなぁ平民」
じろりと悪役令嬢が失言をした騎士団長の息子を睨みつける。
「すまない」
彼は私にではなく悪役令嬢に謝る。
「つまり何?」
埒があかないので王太子殿に訊いてみる。
全く何が言いたい。
「貴女は牢獄に入るのですよ」
次期宰相が答えた。
お前じゃねぇ。
近くに居た兵士が私を押さえ込み王太子殿がつらつらと私の罪状を述べたあと広間から連れ出した。
牢屋に入れられた罪人(死刑囚)は刃物以外の物を一つ所望出来る。
そんな法律で私が望んだのは白いワンピースだ。
私の刑は斬首。
赤に映える様に白を選んだ。
「罪人、前へ」
背後から小突かれて前へ進む。
あぁ怖いな。
また死ぬんだ。
寿命を全うしたかったなぁ。
逃げれば良かった。
私にはそれが出来た。
でも無いはずの人生だった。
十分だよね。
一瞬、紅い花が咲いた。
『あ、おかえり〜』
黒一色の空間で、
乙子が私にはなしかけてきた。
消えてくれないかなぁ。
『ちょっと〜転生させてあげたのに酷くない?』
『あとその名前でそのイントネーション止めて』
『あたしがまるで男みたいじゃん!』
何の用だよコイツ。
成仏させろ。
『何よあの新しいタイプのバットエンド』
『あたし知恵の女神に負けたじゃない!』
そうアレは神々のゲームだったのだ。
悪役令嬢は知らなかった様だが…
『あんたあのゲーム知ってたんでしょ!』
『何でフラグも立てられないのよ!』
やった事無いからに決まっているだろ。
耄碌したか?BBA。
知っているとやった事あるは違うんだよ。
『でもあんたを輪廻に戻す気は無いから』
『あたしはこれでも時の女神よ!』
『人の一生分時間を巻き戻すくらい造作もないんだから』
は?ちょっと待ちやがれ駄女神!
おい!
『心配しないであんた以外は覚えてないから
』
おい!
もう
嫌なんだよ
「産まれたわ」
「女の子ですよ」
「おぎゃあ」
「ふふ、こんにちわ私の赤ちゃん」
またここからかよ。
つづく……カモ