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守護塔で引き籠ります!  作者: のな
ハーレム編
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93話 ファーストコンタクト

 子供の姿は子供の姿で美形にべったりできるという利点があるから良い。


 森の中を歩くには子供の足では遅すぎる。ということでハーンに抱えられて移動中。

 腕抱っこされている私はここぞとばかりにハーンの胸にスリスリ、肩にスリスリ、首に顔を埋めてみたり、大人の香りに悩殺されてみたりと大忙しだ。


「シャナ、そういうことがしたいなら早く大人の姿に変われ。すぐに相手してやる」


「ここで!?」


 なんて大胆っ。 

 しかし、森の中というのもなかなかおいしいシチュエーションっ。

 

「ぐふふふふ」


 にんまり笑って、とりあえず今はこれで我慢とばかりにハーンの頬にちゅうっと吸い付いておいた。

 ハーンは一瞬獰猛な獣のような目を輝かせ、唇を重ねるギリギリまで顔を近づけたが、ふと何を思ったのか顔を離し、にやりと笑みを浮かべた。


 あり? …ここはエロちっすが来るところでは?


 じっと見つめていると、ハーンは少し乱暴な手つきで私の頭を撫でる。


「たまにはお預けを味わってみろ」


 お預けとな?!


 まさかのお預け。

 そう言われると欲しくなる。でもお預けっ。

 

「お…大人の駆け引きという奴でしゅね」


 くぅっ…

 思わず口をタコの様に突出しながらパクパクさせてしまう。

 いつもハーンはこんな苦しい思いをしているのかとやりきれないやら悔しいやらで「ぬふぅっ」「ぐぬぅっ」と唸りつつ悶えていると、ようやく目の前の森が開けた。



 相変わらず森と、塔の隠された場所の結界の境界線はよくわからなかったが、茂みを抜けると、依然と変わらず白く巨大な塔が空まで伸びている。


 高さで言うとこの白の塔が一番高いのではないだろうか。

 

 日本のスカイツリーも真っ青な高さだ。というか高さが宇宙までないか? 

 塔の天辺は途中から雲に隠れていて確認できないが、それぐらい高いように思える。だが、そんな高さでも折れるでもなく、風に揺れるでもなくしっかりと建っている。


 驚きの技術は魔法ゆえと言ったところだ。


「高いな」


 ハーンも空を見上げて呟いた。

 これだけ高いのだから何階建ての何部屋? と思うが、中はなんだか一般家庭のような間取りだった気がする。

 ノルディークが言うには中は空間が滅茶苦茶に繋がってるから、ある程度繋がってる先を把握しておかないと塔の主でも3日は迷うとか…。

 

 そんなわけで、幼い頃はほとんど入らせてもらえなかった塔である。

 

 ほわ~っといつまでも口を開けて見つめていると、すでに前をむいたハーンがふと私の肩を叩いた。


「・・・シャナ、客がいるぞ」

 

「客はおりましぇんよ。ノルしゃんの使い魔ならおりましゅが」


 にょろにょろ型の竜である使い魔クラウが塔を守っているはずだ。

 そう思い、顔を空から前方に向けると、そこには全身黒づくめの客(?)の姿が。


 遠目だが、使い魔の姿ではない。


「あれは美形の香りがしましゅ」


 じっくりと見つめた後、私の分析結果を話せば、ハーンは苦笑する。


「俺には敵の臭いに感じたがな」

 

 敵か美形か?

 それはどちらもと言っていい選択だ。

 美形なのに味方でないというのは惜しいが…。


「誰でしゅかねぇ…」


「近づくか?」


 ハーンは私に判断をゆだねるようだ。

 私としては美形には近づきたい。だが、私の戦闘経験といえば町のチンピラぐらいなので、護衛がハーンだけという中で危険に近づくのはいかがなものか。

 しかし、美形の顔は見たい。


 ということで…


「お近づきになりましゅ」


「…そういう近づくではないんだが。…まぁ、覚悟はしとけ」


 襲われる覚悟ですね。バッチコイだ。何しろ本日の下着はグリさんの用意したピンクのかぼちゃパンツ。その愛らしさはかぼちゃパンツシリーズの中でもぶっちぎりで上位だ。

 実はこれ、足の付け根あたりにレースがつけられ、さりげなく可愛さがアップしてあるのだ。

 

 ちなみに制作主はグリさん。

 私にこれを着せるときのグリさんは嬉々として目を輝かせていたなぁ…

 

と、横道に思考がそれた。

 今は目の前の美形にお近づきになるところだった。気合を入れねば。

 

「・・・何か間違ってそうだが、まぁいい」


 ハーンはひとり呟いた後、気持ち歩幅を変えて歩く。

 見た目は随分とゆったりとしていて緊張のきの字も感じられないのだが、ぺったりと張り付いている私には彼の筋肉がわずかに硬くなったのがわかった。


 筋肉だけに筋張(きんちょう)…なんちゃって。


「むふっ」


 おぉ、いかんいかん。オヤジギャグで自ら噴出してしまったよ。

 口を両手で押さえると、そのタイミングでハーンが足を止め、私は前方へと目を向けた。


 そこに立っていたのは銀の髪にアメジストの瞳の…


「エロ顔警報でしゅー!」


 私は男を見るなり咄嗟に叫んだ。


「エロ顔!?」


 警戒していたハーンは一瞬動きを止める。すると、相手はその隙を逃さず、驚くほどの速さで剣を引き抜いた。


「これなら吸い付きましゅよ! お任しぇ!」


「なにがだ!?」


 ハーンが剣を引き抜くよりも早く、私はハーンの腕から飛び立ち、迫りくる凶刃を空中でするりと避け、ぎょっとするその男の顔に全身でべちょっと張り付いた!


「まいりましゅ!」


「待て!」


 ハーンが止めるが、私は突き進む女っ。止まるなんて言葉は我がハーレム道の辞書にはない!


 グキッと音が鳴ったかもしれないが、男の顔を上向かせると、私はすかさずその凶悪的な色気を醸し出すエロ顔美形の唇に吸い付き、その口腔を思う存分蹂躙してやった。


 刺される…かもしれなかったが、さすがの男も驚きすぎて手も足も出ず、しまいには私のエロちっすによってガクッとその場に膝を折ったのだった。


「じゃじゃ~んっ! 10・0でしゅ」


 膝を追った彼から飛び離れ、草地に着地してポーズをとる。

 エロちっすと合わせてなかなかの出来だと思うがどうよ?


 どや顔で胸を張れば、剣を引き抜いたハーンがふかぁぁぁいため息をつく。


「度胸があるな」


 褒められたのでむふっと微笑んでお尻をフリフリ頬を抑えて照れてみる。

 あ、大事なことは言っておかないとね。


「魔力は吸いましゅたが彼は魔力酔いではないでしゅよ」


 ん? 魔力酔いじゃない場合、魔力は吸えないものではなかったろうか?

 私は首を傾げ、膝をつく男を見やった。

 いま、エロちっすによって私がこの凶悪お色気フェイスの彼から吸い取ったのは確かに魔力だったと思うのだが?


「シャナ、それは魔族だ」


 ハーンが呆れ混じりに告げた。


 ほほぉ…これが魔族…


 ・・・・・・・・


 ・・・・・・


 ・・・・・


「ムキムキマッチョじゃないでしゅよ!?」



 それどころか、この男はハーンによく似たエロ顔エロボディ(想像)ですが…


 これいかに!?



とある日の雑談


シャナ 「ハーンはエロ顔でしゅ」

アルさん「エロ顔?」

シャナ 「大人の色気を醸し出し、近づくだけではぁぁぁんっと言いたくなるような破壊力のある顔のことでしゅ」

アルさん「じゃあ…セレンは?」

シャナ 「ノルしゃんは…悪魔顔でしゅね」

アルさん「なるほどな」


ノルさん「…二人とも、ちょっとお話しましょうか?」


二人  「「全力で遠慮します!」しゅ!」


二人は逃げ去った…


ハーン 「…喜んでいいのかよくわからんな」


ハーンは一人首を傾げるのだった。

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