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守護塔で引き籠ります!  作者: のな
ハーレム編
92/160

91話 魔力酔いは媚薬のお味

「ナーシャ、あれをもらいます」


 私を小脇に抱え、ノルディークは何か黒いオーラを発し、ケルベロス達に猫まんまを食べさせてご満悦のリアナシアおばあ様に手を差し出した。


「あら、もう? 後2・3日は子ども姿を楽しみたかったのだけど」


 あれ、と言うのはどうやら私のこの姿にかかわるモノらしい。

 にこりと微笑むナーシャは何やら薬のようなものをノルディークに手渡し、ノルディークは小脇に抱えられる私と目を合わせ、にこりと微笑むとその薬を口の中に放り込んで上を向かせた。


「むぐっ」


 突然上向かせられると口の中の物を飲み込んでしまうというのはわかるが…水なしで薬を飲ませるとは何事かっ!

 ・・・と思ったが、薬らしきものは、舌に乗るとあっという間に溶けて消え、後味すっきりなさわやかな味が口の中に広がった。

 上向かせたのは吐き出させない為だったようだ。


「これなんでしゅか?」


「「魔力」」


 アルディスとノルディークから帰ってきたのは端的な答えだ。だが、要点ズバリ過ぎて全く分かりません。

 

 リアナシアおばあ様に目をうるっとさせて助けを求めたが、彼女はノルディークとアルディスを見上げ、その背中の向こう側で呆然としている我が悪友達を見た後、にっこりと私に微笑みかけた。


「一番怖いのは身近な男というでしょう? 頑張って大人になりましょうね、シャナ」


 ・・・・意味が分かりませんよおばあ様!!


 妙な恐怖を感じてジタジタ暴れてみたが、なんと、そのまま私はどこぞへと転移させられたのだった。



__________________



「お? おぉっ懐かしの我が家っ、ぼへっ」


 かなり修繕されているが、飛んできた場所は、窓の外に白の塔が見える懐かしの田舎の我が家である。

 しかし、喜んだのも束の間、私はマイベッドにダイブさせられた。


 投げ飛ばされたとも言う。


「幼女虐待でしゅっ」


 飛び起きて文句を言えば、ノルディークににこりと微笑まれる。


「大丈夫。すぐに()に戻るから」


 ノルディークがそう告げると、部屋の扉がノックされ、彼は特に驚く様子もなく扉を開ける。

 そこには、ノルディークの二人目の使い魔、グリフィンのグリさんが、金髪青目の美女メイド姿で立ち、何やらノルディークに言われ、こちらに視線をやるとぺこりと頭を下げて立ち去った。


 いやっ…ちょいと助けてくれませんかね。明らかにこの状況危ない気がしますよ?

 ひょっとしてその綺麗なぺこりは「助けられません、頑張ってください」とかそういう意味じゃないですよね? それともまさか「ごゆっくりどうぞ・・」とか?


「さて、お望みのようだから魔力干渉の特訓をしようか?」


 アルディスとノルディークがばさりと上着を脱ぐ。

 て言うか何故脱ぐ!?


 まぁ…その肉体は吸い付きたくなるほど魅力的ですし・・・今まさに襲いたくて体がうずうずしてますけど。


 うずうず・・・・


 うずうず?


 ん?


「何やら体が…」


 ふと気が付けば、淡く体が輝いて、輪郭が少しずつ大きくなっていく。

 …これはまさか大人になる!?


 突然のことに驚いて、服で絞めつけられぬよう急いで服を脱ぎ捨てた。

 パンツだけは伸縮性のあるかぼちゃなので問題ないが。本日のキャミソールは伸縮性がございません!


 なんとか戻る前にすぽぽぽすぽーんっと服を脱ぎ捨て、急いでシーツを体に巻き付けると、あっという間に子供の姿から16歳の(たお)やかな乙女へと変貌した。


「先ほどのあれですね?」


 あの薬型魔力が私の体を元に戻したのだろう。

 突然のことに恨みがましげにノルディークとアルディスを睨めば、二人はニコリと笑みを浮かべた。


「あれも魔力干渉の一種だね。体の中に魔力を流し込んで変化させる。吸い付いて奪うなんて方法はシャナしか思いつかなかったけど、魔力酔い…魔力干渉は感覚さえ覚えてしまえば実は誰でもできるものなんだ」


 曰く、薬という形で、体内から傷を癒すなどの魔力干渉は人間同士でも行われているそうだ。ただし、その魔力はかなり微々たるものなので魔力酔いには至らないらしい。


「シャナが使いたがっているのは人を操れるような強力な魔力干渉だからな。きっちりどういうモノなのか、その危険性と度合いをその体に教え込もうか」


 その体ってこの体!?


 かぼちゃパンツ一丁の女と上半身裸の男二人…やることは…一つですね。

 そうと決まればハンターシャナの目が光る!


「やれるものならやってもらおうではないですかっ! この私を屈せるとは思わないことですよっ」


「「いい度胸」」

 

 うぉぅっ・・・二人がちょびっとハーン化した!


 ぐっとシーツが引かれ、二人の腕の中に私の体は飛びこむ。

 じっとノルディークと視線が絡み合い、睨みあうと、さらりと流れた黒髪を避け、首筋にアルディスが吸い付いた!


「うひょほっ」


 こしょばい!


「さ、味わってもらおうね」


「うへ?」


 そういうなり、ノルディークは黒い笑みで私の唇を唇で塞ぐ。

 

 しかぁし!

 エロちっすには自信がある私はすかさず反撃!

 それにはさすがのノルディークも眉間に皺を寄せ、堪えようとしているのか、私を抱く腕に力を込めた。


と、ここで首筋をアルディスにぺろりと舐められ、思わず声が出そうになる。


「ふはっ」


 息を吐き出し何とか声は回避。

 しかし…二人がかりとは卑怯なっ!


 負けるかぁ~っと気合を入れたところで、ノルディークから暖かな魔力が流れ込んでくる。

 …これが魔力干渉…?


「どれぐらいで酔ってくるのか見極めて」

 

 ふむふむ、これを私が受け入れることによって魔力酔いを経験できるというわけですね?

 そう思った瞬間、私はまさに二人の罠にかかっていた!


 アルディスが触れる肩がぞわぞわする。

 唇がジンジンして…足の力が抜けていくではないかっ!


 ましゃか!!


「他の男に吸い付いたお仕置きだね」


「約束も守ってもらわないとな」


 おぉぉぉうっ…まさかの媚薬効果ー!


「ぎゃふんっ」


 漏れ出た悲鳴は何とも情けないものになってしまった。

 

 グリフィンのグリさんのあのペコリは両方の意味であったかー!?


「う…ぐふふふふっ」


 魔力酔い。バッチリ経験させていただきました。

 そして・・・あっちもばっちり堪能させていただきました!

 

 私とノルディークとアルディス、どちらが勝ったか?

 それはもちろん…秘密ですとも!

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