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守護塔で引き籠ります!  作者: のな
青春!?編
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63話 気合一発!

 あの男の登場でサプライズ料理が少々霞んでしまった。

 ぎっと睨めば、あの男は嬉しそうに微笑むので、もうそちらは見ないようにする。

 彼はきっとドMなのだ。喜ばせてなどやるモノか。


『シャナったら膨れっ面ね。ひょっとしてあの男が気になるのかしら? かなり可愛かったけれど』


 姉様を奪還し、その隣に座ってもぐもぐとご飯を食べる私の表情は膨れっ面だ。

 スーちゃんの質問にはさらに顔が歪む。


「確かに可愛い顔ではあります。でも、なんだかこう生理的に受け付けない何かがあるのです」


「シャナは敏感だから、意外と感じるものがあるのかもしれないね」


 あぐあぐと食事を続ける私の頬を、ノルディークが優しく撫でるとついでに顔に付いたピザチーズを指で拭ってぱくっと口に含み、にこりと甘く微笑んだ。

 

 色気! 

 

 これぞ大人の色気!

 若干子供のご飯をとってやった感が無きにしも非ずだけれど、大人同士でこれをやった時は色気になるのだ! これは鉄則! そして我等は大人! 色気爆発!


 むふ~っむふ~っと鼻息荒く微笑んでいると、隣に座っている姉様が手を止めて尋ねた。


「あの方に何かあるのですか?」


 姉様が優雅な…ピザを食べているのになぜか優雅な仕草で首を傾げると、ノルディークは苦笑を浮かべた。


「食事中に言うことじゃないかもしれないけれど、彼は…血生臭いね」

 

 その瞬間、ほんのわずかだが姉様の表情が曇り、血の気が引いたように見えた。


「セレン、脅えさせるな。城の騎士とはいえ、そういう部署もある。仕事上せねばならんこともな。我等とてそう変わらん。…恐ろしいか?」


 ディアスが真剣な表情で姉様と向き合って尋ねると、姉様ははっとしてディアスの手を取り、泣きそうな表情で首を横に振った。

 

「皆様を怖がるなんてことしませんっ。それに、私は…」


「そうか」


 ディアスは姉様の意見を全て聞く前に、怖がるなんて(・・・・・・)という部分だけで安心したようだ。

 ほぅと息を吐くと微笑み、その笑顔の珍しさに、私も姉様も周りの皆もぽかんとした。


 ディ・・・ディアスが微笑みましたよ!? 


 しかも結構素適な笑顔で…


 ちらっと皆を確認すれば、男達はなぜか照れてそっぽを向き、姉様はディアスの手を握ったまま固まり、顔を真っ赤に染めていた。

 

 グッジョブですディアス。なかなか貴重な皆様の表情が見られました。


 むふふふふふと笑うと、ディアスに睨まれて(はた)かれた。


 照れ隠しね~!


「うひゅひゅひゅひゅっ」


「その気色の悪い笑いはやめろっ」


 あの男のせいで少々不機嫌でしたが、すっかり持ち直しました。

 笑い? もちろんしばらく止まりませんでしたともっ。



_____________


「むふっ…ぐふっ…ぬふふっ」


「・・・・・・その思い出し笑いはやめないか?」


 ついにパーティーも残すところダンス2曲と相成りまして、ついにこの時がやってまいりました!

 

 サプライズ第2弾!


「ぐふふふふふふっ」


 でも、私の一番のサプライズはディアスの微笑みと皆のぽかん顔だ。思い出すだけで涎が出そう…。

 周りの皆にはドン引きされたけど…


 さて、ラストダンスは中央に本日のデビュタントたちが集まり、その周りに保護者や関係者のダンスの輪ができて踊るという代物だ。

 

 私達は手を取り合い、同じ学園の者達で中央に輪を作る。

 このダンスは次から次へとパートナーが変わっていく代物で、とある見せ場があるので、他の学校の者が混ざると男女逆転ができないのだが、こうして他の学園と分ければ何ら問題なくサプライズが遂行できるのだ。


 元々学校別で輪を作るのがわかっていたのでできるサプライズだったわけである。

 

「お、来た来た」


 楽団に声をかけてから駆けてくるルイン王子にむけてアルフレッドが手を振り、場所を譲る。そうなると、私の最初のパートナーはルイン王子だ。


「お手柔らかに」


 ルインが腰を折って挨拶すると私はにんまりと微笑んで返した。


「任せてっ」


 どんっと胸を叩いてアピールすると、ルインはスッと手を上げた。

 音楽の始まりの合図だ。


 その瞬間、ざっと音を立てて私達の男女の立ち位置が変わった。

 

 周りの人々が「え?」と注目し、ワンテンポ踊りに遅れる中、私達の男女逆転ダンスが始まる。

 しかも、ルインのリクエストに応えて楽団はテンポを速めて曲を奏で始めたのだ。


 クル~リクル~リのダンスが、クルクルクルクルリンと忙しない。そして、曲が早い分ステップが複雑になる。


「シャンティッ」


「はいは~い。光の精霊っ」


 シャンティの声に光の精霊が彼女の髪から飛び出し、光の粒をまき散らす。


 それに続いて花の精霊が花びらの幻と香りを振りまき、風の精霊がそれらを会場中に運ぶ。


 わぁっと声が上がる中、魔獣と聖獣から不思議な声が響いた。


『幻想の歌』


 森の奥深く、獣たちしかいない世界でしか聞くことができないという幻の音楽。

 その声は荒ぶる者の心を沈め、人々を夢心地に誘う美しい音。

 まるで鈴の音が響くような、水を一滴水の上に垂らした時の音のような、そんな音がりぃんと響き、呆然と立ち尽くして聞き入るものが続出した。


 しかし、音楽は続く。


「オリン、よろしくー!」


 シャンティの声にオリンが頷くと、今度は闇の精霊による闇が会場を包み、そこへ光が走った。


 暗闇に一瞬皆がドキリとしたようだが、シャンティの光が花びらを照らし、風に運ばれて、まるで会場内が星空の海の中のようだった。


「アルフレッド、よろしく」


 オリンがバトンタッチすると、アルフレッドはものすごく嫌そうに溜息を吐き


「重力の精霊…」


 その瞬間、ダンスの見せ場がきて、学園の少女達はガシリとパートナーの腰を両手で挟み…




「「「どっせい!」」」





 練習同様、気合を入れ、重力を操って軽くなった男達をリフトアップした。


「あ…声出しちゃった」

「私も」


 皆がそんな声を上げ、ケラケラと笑いながら周りを見れば、男性をリフトアップしていることに驚いているのか、それとも少女達の男らしい掛け声に驚いたのか、誰もがぽかんとして私達を見ていた。


 う~ん…気合の言葉を使っての練習が仇になったか…。

 でも、まぁ、皆驚いているからいいかな…。


 少々華やかさが気合の一声でランクダウンしたけれど…


 少女達は皆「どうよ?」「やっちゃった?」と言う視線を交わした後、全員がうんと頷き「まぁ、成功ということで!」という結論に達したのだった。

 

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