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守護塔で引き籠ります!  作者: のな
学園編
37/160

37話 編成

 さてさて、幼等科と初等科は何が違うのかと言えば…


1.初等科から専門科まで校舎の敷地が同じで、ハーレム要員探し放題。


2.洟垂れチビ~ズではなく、大人一歩手前の少年少女と、理想的に育つハズの若紫(わかむらさき)候補な美少年、美少女達が入り乱れ、むふふなファイルが作成できる。


3.国外からもハーレム候補生が転入編入してくる。中には王族もあり。


 特に重要なのはこの3項目ね。

 他には初等科から本格的に魔法を学ぶようになるだとか、男性は剣を習うようになるだとか、いろいろあるけれど、そんなことは些細なこと!

 

 人生にもっとも必要なのはハンティング!


 ということで、初等科一日目は中等科高等科を交えた交流目的の歓迎式典があるので、ターゲットをある程度絞るようにしないとね。


______________________



 私は幼等科から同じ幼馴染の面々とクリセニア学園大ホールへと向かった。


 3千人を収容できるという学園の大ホールは、元生徒やその生徒の親などを交えた大きな晩餐会などもあるため、とても巨大なうえに煌びやかにできている。

 

 天井にはイタリアローマの有名画家が描いたような天使の絵が描かれ、見事なシャンデリアがぶら下がっている。ちなみに灯りは魔法の明かりだ。

 

 床は大理石なのかな? 滑らかな乳白色の床が美しい。

 でも、大理石と違って傷つきやすいわけではなさそうなので、何かコーティングが施されているか、別の石なのかもしれない。


 壁にはいくつかテラスに続く巨大な窓があり、ピカピカに磨かれている。

 テラスに出れば、手入れされた花咲き乱れる美しい庭が眺めるだろう。


 城並みに豪華じゃないかな…


 一歩ホールに足を踏み入れた私は、思わずほわ~っと口を開けて周りを見回していた。

 まぁ、新入生は皆こんな感じだ。



「アホ面だな」


 

 この声は!


 ぎらんっと声のした方を振り返って睨むと、案の定呆れたようなシェールの姿があった。

 そして、その隣に、赤茶の髪に蒼い瞳の幼い子供が立っていた。

 

「あれ? え~と、う~んと」


 バララララッと脳内でハーレム候補リストがめくれる。

 

「ルイン王子!」


 思い出したよ。あの誘拐事件の後に会ったこの国の第二王子だ。あの時は私よりも舌っ足らずで甘えん坊に見えたが、今はあの時一緒に会ったお兄様であるクラウスのように少し大人びた感じだ。


「改めまして、ルイン・セイル・クリセニアと申します。よろしく、シャナ嬢」


 ぎこちなくではあるが、私の手を取り、軽くその甲にキスをする。


 おぉ~! まだまだ6歳なのにさすがは王族! たった2年でここまで育てられるのか~。


「シャナ・リンスターです。よろしくお願いしますルイン様」

 

 『目指せ姉様の妖精笑顔!』をスローガンに、にっこりとほほ笑んで見せた。

 後ろでシェールが「気持ち悪い…」とぼそりと呟いたが無視だ、無視っ。


「ルインでいいよ。僕もシャナでいいかな?」


 すぐにフレンドリーになるところもなかなかにイイね。打ち解けやすいというものだ。

 そんなことを思っていると、私をグイッと押しのける者達がいた。


「ぼ、ぼくはアルフレッドです!」

「私はシャンティよ!」

「オリンて呼んで!」


 私の後ろからわっと悪友(あくゆう)達が紹介してもいないのに出てきてルインを囲む。

 まあ、王子様にお近づきになりたいのは大人だけでなく、子供でも同じというわけだ。

 子供はごますりじゃなくて単なる憧れからだから、親友を作るなら今よ王子!

 

「お前の友人はお前並みに猪か…?」


「誰が猪ですか!」


 シェールは取り囲まれて圧倒され、たじたじなルイン王子を見て呆れている。

 

「私の友人だからじゃないのです。皆が始めからああいう性格なのです」


 共に育ち、幼等科卒園時には、いまだかつてないやんちゃな子供達でいなくなると寂しくなるとお兄ちゃん先生に大泣きされるような(涙の真実は、やっと解放されて心底嬉しかったらしい)頼もしく騒がしい仲間達だ。

 まぁ、確かにここに通う他の子供よりかは押しが強くて野性的かもだが。


 パッと周りを見れば遠巻きにこちらを窺う子供達がいる。

 遠慮しないで近づいてこればいいのに…そうしたらがぶりと喰い付いて離さない~。なんちゃって…


「むふふふふ」


 にんまり微笑んで笑っていると、周りの子供達が一斉に離れていった。

 まぁ、失礼ね。姉様直伝の妖精の笑みなのに。

 

 いや…途中からちょっと崩れたかな?修正修正。

 顔をぺちぺちやっていると、シェールが彼を連れてきた理由を告げた。

 

「ルインはシャナと同じクラスになるからな、面倒見てやってくれ…。・・・・・いや、ルイン、シャナの面倒を見てやってくれ」


 なぜか途中から言い直した!


「何故そっちに頼むのです!」


「お前に頼む方が怪しいだろうがっ」


 失敬な!

 私はこう見えましても大人ですよ、お・と・な!

 頼まれればきちんと面倒が見られる歳なのです。


「手取り足取り腰取り面倒見てさしあげますよ!」


「腰は取らんでもいいだろうが!」


 聞き流すかと思ったのにちゃっかり拾ってきたよ。

 昔のセクハラおやじギャグに気が付くとは、なかなかやるな。


 そんな感じでぎゃんぎゃんやっていると、ホールにクラス編成が張り出された。

 初等科の1年生は2クラスしかないので、大体誰と誰が同じになるのかわかるのだが、3年生以上からは人数が増えてバラバラになる。

 そして、最も恐ろしいと言われるのが、そのクラスにつく担任の先生の発表だ。


 最後に担任の先生の振り分け表が張られると、見事に喜ぶものと、打ちひしがれるものに分かれた。


「うちの担任はヘイン(ヘイムダール)君ですね」


 たぶん私の監視を兼ねてゴリ押しで担任になったのだろうと思う。

 そう思って見上げていると、目の前から兄様がふらふらと意気消沈した様子で現れた。


「兄様?」


「エル? 担任がまずかったのか?」 


 シェールと兄様は同じクラス。よほどの先生に当たらない限り兄様がこんなになることはないと思って見つめると、兄様は両手でシェールの肩をがしっと掴んで答えた。


「喜べ、担任はディアスさんだ」


 その瞬間、シェールが兄様の肩に両手を置き、二人して俯き、はぁぁぁ~っとそれは深い、ふか~いため息を吐いたのだった。


 ・・・・ディアス、一体どんな教師振りを発揮してるの??


 思わず私は何度も首を傾げるのだった。



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