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守護塔で引き籠ります!  作者: のな
学園編
36/160

36話 ニューライフは欲望と共に

 塔の関係者会議により、どうやら私の暴走は大変危険なものだと認定された。

 それはもう町を吹き飛ばす一歩手前だったらしく、その危険度を考慮して、ある程度成長するまで、塔の主が3人(そば)につくことになった。


「わたくしは時々遊びに来て子供達の成長を楽しませていただこうかしらね。孫ができたみたいで楽しいわ」


 リアナシアおばあ様はそう言って時々というか、かなり頻繁に遊びに来るようになる。


 と、いうわけで―――――




「シャナ、6才!」


 玄関でばばんっと胸を張り、姉様が数年頑張ってくれたおかげで遂に変更された短いスカート丈の初等科の制服のスカートを翻し、玄関の段差を「とぉっ!」と飛び降りた。


「パンツが見えるぞシャナ」


 声をかけてきたのは現在中等科に通う14歳の思春期な兄様。

 時々醸し出される思春期独特の擦れた感じがまた一味違う魅力を醸し出すようになったのが最近の魅力ポイントだ。

 

「いつでも悩殺されてください、兄様」


 むふっと笑むと、「小人が百年早い」とあしらわれてしまった。


 ならば見てろよ百年後。

 

 ちなみに小人というのは私の最近のあだ名だ。

 何かと言えば、私はどうやら成長が遅いらしい。

きっと塔の主になったことで寿命がはるかに伸び、その影響で成長が遅いのだと思うのだけど(悔し紛れの推測です)、初等科の子供の中でもトップの身長の低さなのだ。

 ゆえについたあだ名が「小人」というわけだ。


「シャナはお転婆過ぎるわ。それから兄様、少しはシャナを止めて下さい」


 玄関から現れてやれやれと肩を竦めるのは10才になったレオノーラ姉様。

 目もかなり良くなり、授業中はメガネをかけることで一般の生徒と同じ授業を受けられるほどに回復した。

 

 今はつけてないけれど、勉強中限定のメガネ美少女はかなり萌え!


 そして 


 今日から私はそんな姉様と同じ初等科に通うのだ!


「姉様っ! 今日から同じ校舎ねっ」


「えぇ。兄様ともノルさんとも、それからシェール様とも一緒ね」


 最後の名前は余計ですよ姉様。


 にっこりほほ笑む妖精のような姉様の笑顔は今も健在。

 ただし、磨きがかかってこれを見た男達はすぐにメロメロになるため、姉様の信奉者は増える一方。

 虫がたくさん湧きすぎて最近は駆除も大変な毎日だ。


「気に入らないけど、シェールといればある程度虫がいなくなるから我慢します…。でも!あの男にも気を許しちゃだめよ、姉様!」



「誰があの男だ…。いずれお前のお兄様となるのに」


 

 迎えの馬車がすっと止まり、そこから見事な赤い髪に蒼い瞳をした少年が姿を現す。

 現在兄様とともに伸び盛りなせいか、骨がきしきし言うらしく、ひどい痛みに兄様と共に悶絶しているのを知っている。

 今も馬車から降りるのに少し顔をしかめていた。


 少しくらい成長期だからって嫌味な!!

 

 私だっていつかすらっと伸びてモデルのようになるのだから見てろよ。


 ギラリとシェールを睨むと、彼はスッと手を差し出し、姉様の手を取って馬車にエスコートする。

 姉様が中に入ると、今度は私に手を差し出した。


 実はこれ、貴族のマナーの一つなのだ。


 貴族の子供達は大体10才前後から普段の立ち居振る舞いをしつけられる。

 ゆえに、馬車に女性が乗るときは、手を差し出してエスコートすることをほぼ義務付けられるのだが、私の姉様を奪おうという最大の害虫の手を私が取ると思ったら大間違い!


「がるるるるる~」

 

 手は取らずに威嚇した。


「どこの野生の国から出てきたんだお前は」


 6歳児対14歳の少年の攻防はここ最近は毎朝のことで、見かねた兄様が私をひょいっと抱き上げた。


「遅刻するぞ」


 これもいつものことなので、抱き上げられた瞬間に体を捻り、兄様にべちょっと抱き着くのもいつものことだ。

 なかなか高度な技なのよこれ。


「…毎朝変態だな」


 シェールが呆れたように言う。

 毎朝変態とは失敬な!

 

「技を磨いているだけです!」


「…何の技だ、何の」


 イイ男にいかに長く張り付いていられるか! ここが重要だというのにわからないとは、嘆かわしい…

 

 広い箱馬車の中に乗り込むと、腹のあたりに私を引っ付けた兄様を見て姉様が苦笑する。


「シャナ、こちらへいらっしゃいな。それじゃあ兄様が動けないわ」


 ポンポンと自分の隣を叩く姉様に言われて兄様から離れると、姉様の隣に座ってぺちょっとへばり付いた。

 姉様は笑いながら私の体に手を回し、ポンポンとあやしてくれる。

 

 あ~至福。

 

「ごめんね、少し遅れたみたいだ」


 動かない馬車の中で幸せに浸っていると、朝から本日の計画を立てるディアスに付き合っているノルディークが駆けこんでくる。

 あんな立てても崩壊する(シャナが無意識にぶっ壊す)毎日の計画報告会なんて無視すればいいのに、ノルディークは付き合う辺り人が良い。


 人数が多くなるので、ディアスと、もう一人の教師として赴任したヘイムダールは別の馬車で登校する。





 こんな感じで朝が始まり、これから私のおニューな学園生活が始まるのだ!


 さらば洟垂れのチビども! 

 カモン私の美少年、美少女!

 たくさん愛してね中等科、高等科のお兄様、お姉様!


 今、今あなたのシャナがお側に参りますよ~!


「ぐふっ」


 

 あ・・・ついつい欲望の笑いが漏れちゃった・・・。 


 

 

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