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守護塔で引き籠ります!  作者: のな
始まり編
23/160

23話 紙?

「シャナ? 今声が…」


 姉様が心配そうに話しかけてくる。

 ご安心御姉様っ、姉様を不安になどさせませんっ! ここは私が日本の防犯知識を披露して見せましょう! ぜひメモを取って活用してねっ。


「とーちゃまっ! 不審者がいましゅー! 襲われましゅよー!」


 怪しい人にであったら、とにかく声を上げて助けを呼びましょう。

 昨今の日本は子供が歩くのすら危険だと言われているので、防犯の基本は大人達にも浸透しているのだよ。

 ということで披露してみた。


 まぁ実際はふざけてると思われがちな防犯の基本その1なので、基本としてはどこかの家に逃げ込むのが一番です。

 現在その不審者に逃げ込むべき家が乗っ取られているけど…。

 以上防犯知識終わりっ(少なっ)


「二人共下がりなさいっ」


 パパンが私達二人をぐいっと後ろに下げ、そこへすかさずママンが現れ、さらには兄様が私達を守ってくれます。

 

 私、チートだけれども、守られるというのはかなり嬉しいですな。少しだけお姫様気分だ。

 しかぁし! 私の使命は全うせねば!


「ねーちゃまはわたちが守りましゅからねっ」


「シャナ、僕もいますよ」


 ノルディークが私達子供の傍にそっと立ち、安心するように私達に微笑み、目が見えない姉様の頭を撫でた。

 姉様は初め驚いた様子だったけれど、すぐに照れたようにはにかんだ。


 おぉぉぉぉぉぉ~っ! 天使の微笑みここに!

 グッジョブだよノルディーク!


 私はノルディークに親指を立ててグッジョブを示したけれど、この世界の人には通じず、ノルディークには首を傾げられてしまった…残念。


 姉様のはにかみ笑顔にメロメロになっているところで、バンッ!と大きな音を立てて再び屋敷の扉が開き、黒い衣装を身に纏った人が何か言う前に父様のラリアットを腹に喰らった!


「ごふっ」


 全員が男を見やり、ノルディークが「あっ」と声をあげて駆け出す。

 何事かと見やれば、ノルディークが父様に飛びついて攻撃を止めていた。どうやら知り合いのようだ?


「待ってっ、よく見てくださいっ。黒です!」


 ノルディークが必死に叫ぶ。

 クロというのは彼の名前だろうか? 犬のような名前だ。


 犬の名のような彼はごほごほと咳き込み、片手をあげてやめろと動きで訴えていた。




「…いつから、青の飼い犬は白の飼い犬になった?」


 掠れた声で告げた男は私と同じ黒髪の頭を上げ、鋭く射抜くような青い瞳でパパンとノルディークを睨んだ。


 腹をさすりながら立つ短い黒髪に青い瞳の背の高い男性は、全身黒づくめでどこかの魔王じゃないかというようなスタイルをしている。その顔立ちはパパンと並ぶとかなり迫力な美形で眼福だが、パパンと違って硬質で厳格といった印象を受け為、イメージとしてはパパンが白で男が黒という対照的な美だ。

 

「シェールのおっちゃんみたい」


 シェールの父親であるヘイム公爵もこんな感じに気難しそうな表情の男性だった。こちらは彼より若いけれど。


 姉様を守りつつ成行きを見守っていると、男は指につまんだ燃えカスのような紙切れをずいっとノルディークの前に突き付けて叫ぶ。


「これは何だ!」


 ・・・・・・・


 ・・・・・


 ・・・


「紙、ですね」


 ノルディークの返答に姉様を除く皆がうんと頷く。

 男は聞き方が悪かったのを理解したのか、ゴホンッと咳払いすると、もう一度尋ねた。


「手紙の返答の内容は何だと聞いたのだ」


 今度は少し冷静になったのか、声のトーンも落ち着いていた。


 手紙の返答…


 しばし全員に沈黙が流れる。


 そして、「あっ」と声を上げたのは、私と同じく成り行きを見守っていたクラウだ。

 沈黙の中で声を上げたためにかなり注目を浴びてあたふたしているが、その視線がちらちらと私を見ている。

 

 なんだと言うのでしょ?


 私が出した手紙は王様宛てであって、こんな若いおにーさまではありませんの事よ~。と首を傾げていると、ふと思い起こされる王様宛ての手紙を書く前の出来事。


 確か…


「召集の手紙が来てまちたね~」


 再び流れる沈黙。


 うぁり? 私、今、口に出しておりましたか?

 

 チラリとパパンとノルディークを見上げれば、ずももももっと効果音が付きそうな不穏な気配を感じます。

 

「ちょっと、話をしなくてはならん様だ」


 パパンはにっこりほほ笑むと、ひょいっと私を抱き上げ、私は捕獲された。





 

 お説教は嫌よ~!


 


 

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