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守護塔で引き籠ります!  作者: のな
始まり編
18/160

18話 話し合いはどこいった?

 チラチラとパパンがノルディークの膝の上の私を見つめ、ノルディークを窺っております。あれはこんな幼子ならば塔のことを言っても大丈夫だろうかと計算しているのでしょうね。


 当事者なのに。

 というか現在の塔の持ち主なのよ~っ。


 むふっとほほ笑んで暴露タイムを待つと、ノルディークがお爺ちゃんのような落ち着いた笑みを浮かべて話を切り出した。


「おそらくアルバートには僕が今まで通りの塔の主に見えていると思うのだけど。実は、もう塔は降りたのです」


 塔の主でなくなること、それを塔を降りるというらしい。

 ノルディークのその言葉に、パパンは口をぽかんとあける。


「だが、力は以前のままに見える…」


 パパンはノルディークを見つめ、ノルディークは頷く。


 継承すると何か変わるのかな? その辺りの検索はかけてないので話を聞いて吸収し、お勉強する。

 こうして勉強しておけば、後で塔の知識の検索をかけても負担がないのだ。

 まぁ、多少の知識のずれはあっても、そうだったのか程度で、一から叩き込まれるよりずっと精神的疲れがない。


 ここでちょっとおさらい。


 塔の知識というのは、参考書のようなものだと思ってもらえればいい。

 まだ習っていない個所を自力で学ぼうとすると苦労するのと同じで、ある程度自分が知っていればそれなりにすんなり頭に入ってくるものなのだ。

 

 ちなみに、塔の知識はその量が膨大すぎ、言うなれば図書館全部が参考書で、それを全て一気に覚えろ~っと無理やり押し付けられるため、受け取る側が狂うのだそうだ。

 まぁ参考書の内容全部覚えるのも一苦労なのに図書館一つ分ともなれば言わずもがな。私でも気が狂いますよ。


 私の場合は、最初に図書館に入った時点で「誰が読むか、そのまましまっとけーっ!」と参考書を開かなかったのだ。そのおかげで現在無傷。

 時々ちょぼちょぼと参考書をひっぱり出して読むぐらいにしてあるというわけだ。


「それに、継承したというなら、誰が」


 パパンとノルディークの話におさらい思考をやめて、はいっと手を上げた。


「いや…、塔を継承したのなら塔にすでに入っているとみていいのだろうな」

 

 一人呟くパパンに、私はぶんぶんと手を振る。

 き~が~つ~い~て~っ。


 だが、パパンは気が付かなかった…


 手を振りすぎてぜーはーと息を吐く私は、今度は強硬手段でパパンのお膝によじ登ることにしてみた。

 

 よじよじと登り、膝の上にぽちょっと座ってどうだとばかりにパパンを見上げれば、にっこり微笑んでパパンが頭を撫でてくれる。

 あ~至福。


 じゃなくてっ。


「パパンッ、わたちがちろの塔の守護ちゃでしゅよ」


「そうだね、シャナが塔の守護者だね」


 信じてない…。

 ぎらんっとノルディークを振り返ると、私の様子を眺めて楽しんでいたノルディークがはっと我に返って一瞬目を逸らし、ゴホンッとわざとらしく咳き込んだ。


 私を見物して楽しむなんて不届き千万ねっ。


 ジトーっと舐めるように(!?)見つめていると、ノルディークは小さく息を付き、やっと真実を語った。


「実は、継承者はシャナなのですよ」


「はぁ…」


 私とノルディークがパパンを見つめる事数十秒。あまりの長さに焦れた私がパパンの頬をぺちっと叩くと、パパンは固まったまま気絶していた。


 

_________________


「と、いうわけです」


 とりあえずパパンを起こし、パパンのの出発の日から始めて、私が屋敷を抜け出したこと、ノルディークに会ったこと、魔力が暴走したこと、基本的な経験を積むために学園に通ってはどうかということまでを一気に話し終えると、パパンの背中に炎がゴォォォっと燃え上がった…ような気がした。


「パ、パパン?」


 にっこり微笑んでいるのにパパンが怖い…。ママン並みだっ。これは危険っ。


 ずりずりとお尻を後退させ、慌ててパパンの膝から逃げようとした私を、パパンの腕ががしりと腰を掴んで逃がさない。


 こ、これが恋人なら大歓迎なのだけどっっ。今は身の危険しか感じない~っ


「シャナ、ちょ~っとお転婆過ぎたね?」


 私はパパンの『微笑んでいるのに般若』の顔を見上げ、ツツツツツ~っと目を逸らす。

 

「は、はんしぇいはしてましゅよ」


 ママンにもたっぷり怒られたからね。

 

 答えれば、ぶにっと頬を片手で挟まれ、正面を向かされたっ。

 これはパパンまじ切れの予感っ。


「の、ノルしゃんっ、ノルしゃんが勝手にやったことでしゅっ」


「人のせいにする子に育てた覚えはないよ~」


 おぉぉぉぉっ、逃れられない~!

 

「おちりぺんぺんは嫌でしゅよ~!」


「じゃあそうしよう」


 ぎゃああああ~! 墓穴掘ったぁぁぁ~!

 

 ママンに続きパパンからのお説教を食らいました・・・・。

 

 しばらく再起不能です。ガクリ…。

 私はパパンの膝の上でばたりと倒れるのだった。


 そして、肝心な話はそんな私の上を飛び交い、学園入学が決まったと知ったのは、翌朝のことである。

 

 

 

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