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守護塔で引き籠ります!  作者: のな
VS 魔族編
100/160

99話 実は初恋 ※

ちょびっとR15的な…。

苦手な方は読み飛ばしを。

 犯人は人間。しかも…ルアールの殺された国王様でありました。


『ありえるかそんな設定~!』


 ニギャーッと叫ぶ私は現在ハーンと同室でお休み前だ。

 

「夫婦は同室だろう?」


 ファルグにゴリ押しされ、ベッドは大人用が一つと、子供用の小さなベッドが一つの部屋に押し込められた。

 小さなベッドにはシャナの体を寝かせてある。


 私が叫んでいるのはある意味照れ隠しでもある。

 ほら、だって、私は大人だし? ハーンは色気駄々漏れだし?

 どうしましょっ、きゃっという感じで悶えてしまう。


「そう言われるとあのクァエンとかいう王子は目が赤かったな」


 私一人で悶えてしまったわ…。真面目な話にエロ心はいかんね。

 ハーンに真面目に切り返されて冷静になった。


『そうね。ファルグの言う通りカエンのおばあさんが魔族で、その息子であり殺されたはずの国王が実は生きて画策して動いているって言うのはあるのかも』


 ファルグ曰く赤い瞳はあまり魔力は強くないらしい。ただし、彼等は特殊な能力を持ち、カエンの父である殺されたはずの国王は、並外れた魔力干渉の力を持っていたというのだ。

 

 話を聞くだけならばまさに・・・ってやつですね。


「で?」


『で?』


 ハーンに尋ねられて私は振り返る。

 ハーンはベッドにゆったりと腰掛け、うろうろ部屋を歩き回る私をじっと見上げていた。

 

 なんでしょうかね。やけに色っぽい瞳で見つめられるのは。

 思わず目を逸らせば、ハーンは苦笑して私の腕を掴み、そのままその腕の中に引きこんだ。


「その姿だと本当に初心だな」


 おぉぉぉう。耳元で囁くのはやめて下され~。腰がぞわぞわします。

 

『そ、それはあれよ。今はシャナの性格より佐奈の性格の方が表に出てるから…』


「口調も違うから新鮮だ」


 顔も平凡ですよ。て、スカートのホックをはずさないでっ!

 この服お風呂のお湯につかっても濡れなかったのにまさか脱げるの!?


 あたふた暴れていると、ハーンの手は背中をさすり、片手で(おとがい)をくいっとあげられ、唇が重なった。

 

『ん・・・』


 パサリとタイトスカートが床に落ち、ジャケットが脱がされてシャツからショーツが見える。もちろん短くて太い脚もね。


 うは~い! こいつはとんだ失態だ! 

 穿()いてるショーツはどうやら死んだ時に穿いていたモノの様で、色気皆無な綿の灰色と白のボーダーパンツだ。

 となると…絶対ブラはショーツとはちぐはぐな柄だな…。


 そうなると女の意地が働くモノだ。

 女とは、そういった場合の気合は欠かさないものである。(普段はどうあれ)

 

 ちぐはぐ下着を見せないためにどう凌ぐか。

 それは私の武器を活用しますとも!


 私はハーンの体を倒し、最強のエロちっすをかましてやった。


 シャナとは違って元の体。エロちっすの経験値とその動きはシャナの比ではないと知れい!


「っ!」

  

 ハーンの目が驚きに見開かれ、眉根に皺が寄り、時折ぴくぴくと眉が跳ね上がる。


 ふっふっふっ…驚いておりますな。だが、まだまだですよ。(とろ)かして見せますともっ。

 

 格闘すること数秒か数十秒か…、とりあえずKO勝ち! 下着のちぐはぐは見られずに済んだ!

 息を荒げるハーンの上から退き、私はスカートを拾おうと振り返ったその瞬間、ぐらりと後ろに引っ張られた。


『なぬ?』


 気が付けば、完全肉食モードのハーンに組み敷かれて…


「覚悟はいいな」


『…いや…よくない!』


「たきつけたお前が悪い」


 なんもたきつけませんがな~!

 く、喰われるっ やばいですっ!


 は! そういえばこんな時のためにファルグがあるものを渡してくれてたんだった。


 それは部屋に入る前、ハーンそっくりなにやりとした笑みを浮かべて彼が私に渡した物。

 私はハーンから必死に逃れ、ベッドから降りてジャケットのポケットをまさぐった。


 そこに入っていたのは小さな石。

 迫りくるハーンに焦りつつそれを掴む。

 

「その石に元に戻れと願いを込めれば戻れる。いざという時はそれを使うといい」


 そう言って渡されたのだ。

 今使わずしていつ使う!


 私は『元に戻れ』と念じ、その石を握りこんだ。

 すると、部屋の中に光が満ち…私の体が消えていく。


 つまり、元の世界に!



 ・・・・・・・・・・・・



 数秒後、あっさり目を覚ました私は、同じ場所、同じ部屋でハーンに見降ろされておりました。


「やはり実体がいいと?」


 変わらないハーンの肉食獣な表情。それどころか舌なめずりしておりますよ!?

 私は恐る恐る自分の体を見下ろし…。


「にゃんとー!?」


 元に戻るってそういうこと!?


 何と、シャナの体で大人の姿・・(しかも裸体!)に戻っておりました。

 転移で戻るって言ったじゃないか~! 戻せるなんて聞いてないわ!


 騙されたっっ!



_________________



 翌朝


「ぬほぉぉぉ…よもや二日連続で襲われようとは」


 いったん過去に来てるから二日連続なのかどうかはわからないけれど、とりあえず本日は朝ちゅんです。

 し・か・も この住居の部屋を隔てているのはカーテンですよ!? 昨夜のあれやこれやは筒抜けで…


「水飲むか? さっき親父の部下が届けてくれたんだが」


 ハーンは上半身裸、ズボンだけを穿いた姿で何やらカーテン越しに誰かとやり取りをしていたと思ったら、水の入ったピッチャーを持ってぐったりする私に近づいてきた。


 …部下が届けるとか…。バレバレです。


「もらいますよ。飲みますともっ。喉からからですからっ」


 ちょっと自棄になるのは仕方ないでしょう。


「そうか」


 ハーンは頷くと水をコップに移し、それを自分で口に含む。

 ふふん、そこはあれですね。王道ですね。

 近づくハーンに腕を伸ばすと、唇を重ねて給餌…ならぬ給水した。


 水をたっぷり与えられて人心地つくと、ハーンがベッドに腰掛ける。


「しかし、少し惜しかったな。魂のシャナも味わってみたかったが」


 髪を撫でられ、私はそれに甘えながらむすっと答える。


「あれは駄目なのです。女としてやってはいけない状態ですので駄目なのです」


 ちぐはぐ下着はそれなりに致命傷なのよ。この世界はどうか知らないけど。

 そこでふと気が付いたのだが、私は確かライオンコスチュームを着ていたはずだけれど…


 ちらと子供用ベッドを見れば、そこには破られたライオンコスチュームが…

 私が大きくなる瞬間にハーンが裂いたらしい。

 

 それで裸だったのか…。

 そこはありがたいけれど、ごめんなさいグリさん…。


「何がダメかはわからんが。服と下着は頼んでおいた。それから…たぶん、俺の記憶が正しければ…あれ(・・)が来るが。興奮はするなよ」


 なんだか珍しく歯切れの悪いハーンを見上げ、私は首を傾げる。


「あれ?」


 あれって何? と見つめていると、部屋の入り口を隠すカーテンが揺れ、そこから小さな男の子が現れた。

 

「…くしょおやじー! また母しゃんを増やしたか!」


 灰色の髪に紫の瞳のものすごいかわいい男の子…。まさかこれは!


「ちびハーン!?」


 私はハーンの忠告も忘れてムフーッと鼻息荒く、ちっさな可愛い男の子に突進っ。そして彼を裸のままぎゅむ~っと抱きしめていた。


「ふわああああああっ。気持ちいぃ・・」


 チビハーンは夢心地で叫ぶと、私に抱きつき、大人ハーンはその姿を見て天を仰いで嘆息した。

 はたから見ると、過去の自分は裸の私をご堪能中に見えたのだろう。何とも言えないと言った表情だ。


「…これが俺の初恋なんだがな」


 ぽつりと呟かれたその言葉に、私はハーンを見上げ、ちびハーンを見やり、交互にせわしく目線をやって、そして…


「むへへへへへっ」


 思わずにやついてしまったのだった。



 ハーンの初恋ゲットです。


 

ハーン「取り敢えず離れろ」


ハーン、ちびハーンがシャナの生肌にすり寄るのを見て低い声を放つ。


シャナ「ハーン…まさか自分に嫉妬ですか?」


にんまりとほほ笑むシャナに、ハーンは鋭い視線を向け、ちびハーンをそのままに、その頭上でエロちっすをかました!


シャナ「むにゃはむんっ・・ふはっ」


佐奈の魂が定着していない為か、シャナは頬を赤く染めて目を潤ませ、恥ずかしげにハーンを睨む。


シャナ「こっ子供の前で何しゅるかっ」


ハーン(これはこれで…)


ハーンはにやりと微笑むと、シャナの頭を撫でた。


ハーン「昨夜は佐奈の反応も見たかったな」


ハーンは耳元で囁き、シャナはぽふーっと顔から湯気を出さんばかりに赤くなった。

ハーンは、そんな半分佐奈状態を大いに楽しむのであった…。


シャナ(おにょれ…)



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