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臆病者の恋  作者: 苑生
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初日―Ⅰ

予期せぬ再会の翌日。瀬尾は打ち合わせた時間の十五分前には、藤田の家に到着していた。仕事の準備を踏まえて、余裕を持っての行動だ。初日でもあるし部屋が少々散らかっている話も聞いていたので、掃除を重点的にやるつもりで用意はしてきた。常識の範囲内で、の話だが。

まず扉を開けて愕然とした。あちこちに置かれた荷物、何時の物とも知れぬゴミ達。積もり積もって層になったほこりに背筋が凍る。食べてシャワーを浴びて寝る位しかしてない、と言うのは間違いではないのだろう。いっそそれしかしておらず、引っ越しの荷すら解いていない状況らしい。想定の範囲外、と言うよりは自分の『少々』と藤田の中の感覚の違いに大きな衝撃を受けた。掃除を重点的にどころか、数日それに時間を取らざるをえない。

しばらく現実に打ちのめされ呆然としていたが、意を決して仕事に取りかかった。

取り敢えずは確実にゴミとおぼしき物と、よくわからない物を分ける。その後更にゴミを分別し始めたが、余りの量に昼を過ぎてもまだ半分も片付かない。この筆舌に尽くしがたい部屋の惨状を打開するには、一人では時間がかかかるのは必至だ。

ため息を漏らしつつ、何とか確保したスペースに腰を下ろす。うずたかく積み上がった物達を見回しながら、よくもここまで悪化する程放置したものだと思った。普通ならもっと早い段階で何とかしようと思うはずだ。そう思いながらも、学生時代から片鱗はあった様にも思える。真面目で頭は切れるが、生活力的な部分は壊滅的で家庭科の成績は悲惨なものだった。一方瀬尾は家庭環境がよろしくなかった事で、逆に家事全般が得意な少年だった。学問よりも実際の生活でどうすれば損をしないか、そういった事に目端のしきくタイプなのだ。そういった面でも、二人は対照的な性格だった。だからこそ、瀬尾は藤田が放って置けなかったのかもしれない。


(訳のわかんねえ難しい事はわかる癖に、こう言うなんでもない簡単な事はできねえんだよなあ)


久方ぶりに会った友人に変わりないのを知って、思わず笑みがこぼれた。改善すべき点ではあるが、時間の空白がひとりでに埋まっていく様な気がして嬉しくなる。

今一度気合いを入れ直すと、なんとか今日中にゴミの仕分けを終えられる様に仕事を再開した。


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