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臆病者の恋  作者: 苑生
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干渉者達

藤田宅での仕事を終えて事務所に戻った瀬尾を、らんらんと目を輝かせた美和が待ち受けていた。四十近い男が人の恋路に胸踊らせ、一回りは年下の青年を問い詰める異様な光景が初仕事以来続いている。

人間関係の機微に敏感なこの男は、若い二人の間に何か進展が無いか気になって仕方ないらしい。当人同士が会う事は無いのに何が進むと言うのか、巽には皆目検討も付かなかった。美和曰く報告書やメモ等の些細なやり取りがあれば、十分愛は育めるものだそうだ。そもそも彼等の間にあるのが恋なのか、確定した訳では無いのだが。


「なるほど、やっぱりもう一度藤田さんと会った方が良いと思いますよ!」


書類を作成するべくパソコンに向かって集中していた巽の耳に、聞き捨てならない言葉が飛び込んできた。相も変わらず美和が、年頃の娘の様な目付きで瀬尾に詰め寄っている。瀬尾は完全に辟易している様で、言葉を無くして項垂れていた。完全に目が死んでいる。

哀れな青年を見かねて赤毛の男を制止すると、会話の矛先がこちらに向いてしまった。


「本棚を整理するらしいんですけど、あとから色々問題になるかもしれないですし、立ち会ってもらった方が良いですよね!?」


眩しい位に輝く瞳で問いかけられ、危うく頷く所だった。すんでの所で理性に引き留められ、詳しい事情を聞く事にした。

大量の本の群れをどう捌くか、確かにそれは骨の折れる仕事に思える。友人の為に使い勝手よく片付けたいと言う気持ちも、時間をかけたいと言うのもよく分かる。だが仕事である以上、効率的な事も考えなくてはならない。美和の思惑は別として、言い分には一理ある。瀬尾だけの問題ならばまだしも、依頼人の感情もあるので慎重に決めるべきではあるが。

巽の意見を聞いて、瀬尾も納得したようだった。立ち合いで作業をする事を考える必要があると感じたのだ。そもそもの依頼は家事の代行であり、本来なら引っ越しの片付けなどは別個の仕事として扱っても良い案件である。今回は事情等を考慮して一つの案件として扱っているのに過ぎない。イレギュラーな部分を早々に終わらせて、本来の仕事に専念すべきだろう。

冷静に諭す巽に、少し私情を挟みすぎたかもしれないと反省した。藤田との間に何があろうと、仕事を優先しなくてはならない。過去の事で気後れして、無意識に会う事を避けていたのかもしれない。

そう思い意を決して、藤田に連絡をする事にした。

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