食品消費税を「1%」にすることは単なる給付金よりもこれだけ酷い!
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は26年9月15日に閣議決定した「食品消費減税」とその周りの制度がいかに複雑か? こんなことするぐらいなら減税分の6万円ぐらいを全国民に給付した方がマシじゃないか? という事を語っていこうと思います。
◇減税以外にも4方面で配慮しなくてはいけない
質問者:
え? 減税するのにどうして周りの制度とかあるんですか? 単純に食品を8%を1%に下げるだけの話なんじゃないんですか?
筆者:
皆さん恐らくはそう思っているでしょうから、今回は解説しようと思っているわけです。
まず目標の「0%」には出来なかったんです。
単純にレジも価格表示も総額表示方式にすれば良いだけだと思うんですけど、法学的には法人が収める消費税は名前の通り消費者が負担しているという「誤解」があるためにそれは出来ないという奇妙なことが起きているわけです。
そのために1%相当分にあたる6000億円の範囲内で中低所得者に限って給付を行うようです。
質問者:
あくまでも「公約違反したくない」という高市総理の意思を感じますね……。
筆者:
ある意味律儀とは思いますけどね。
更に、農家に対する支援を行うことも決まっています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA189OW0Y6A810C2000000/
農家への優遇策なのか? と思われるかもしれませんが、
簡単に言えば1000万円以下の免税事業者の事業主は消費税控除とは関係なく「値下げ圧力」に晒されて売上の額が減少する可能性が高いにも関わらず、費用の面では負担は変わらないという事が起きるために補助が必要だという事です。
ちなみに農家と漁業従事者の8割が免税事業者の事業主になっているために影響があまりにも大きいことになるんです。
農家1軒あたり平均で年間約40万円もの手取りが失われるという計算もあるようです。https://www.noukinavi.com/blog/?p=38471
※農家の中で消費税課税業者であれば支出分の消費税負担が減るために還付を受けることもあります。そのために、税率の影響を受けません。
質問者:
筆者:
また、外食産業、特に飲食店への影響があることも分かっています。
というのも同じ商品を買っても持ち帰りであれば1%、その場で食べれば8%と7%の影響があるんです。
マックとかケンタッキーであればみんな持ち帰るだけで解決かもしれませんが、
テイクアウトが出来ない飲食店であれば大きく不利な状況になってしまいます。
最大で20%の割合で客足が遠のくという計算もあるようですからね。
そのために飲食店に対しての支援と言うのも必要になっているんです。
※ただし下の記事にあるように政府の支援策はズレているために、具体的な内容はまだ決まっていません。
https://www.asahi.com/articles/ASV9B3D0FV9BULFA00JM.html
質問者:
確かに、食品消費減税のみであれば同じ商品を同じように売っても持ち帰り特化の方が圧倒的に有利になりますね……。
筆者:
更にレジが1%に対応していないものに関してはスマートレジ導入促進のために、
2000人以下の規模の中小企業に限りレジ改修の支援金を出すこともするようです。
https://www.super.or.jp/?p=16008
このように、減税であれば本来制度として税金徴収のプロセスが変更する程度のものが、
① 1%分を低所得者へ給付
② 中小の農家に対して支援金
③ 飲食店に対して7%分以上の支援(支援方法は検討段階)
④ スマートレジ導入のための支援
とまぁ、このようにまとめると4つも余計なことが必要なわけです。
質問者:
うわぁ……なんか各方面に配慮した結果、色々大変なことになっちゃったんですね……。
◇「給付付き税額控除」に移行し「消費税を守りたい」のが本丸
筆者:
岸田政権の時、「所得減税」というのが不評でしたがあれは事務手続きは煩雑だったことが問題でした。
あの一件では中小企業の財務担当に負担が大きく公費の負担は「所得減税への質問」ぐらいでとどまったと思うんですけど、
今回に関しては行政が行うことが多いので行政コストがかかり過ぎます。
一律で消費税を8%にするのと経済効果的にはほとんど同じだそうなので一律で8%にする方が良いと思います。
そもそも減税をしたところで価格がそのまま下がるとは限りません。
あくまでも価格決定権は会社にあり、消費税は名前だけが消費者が負担しているように見せかけているだけで、実際上は法人が負担する「第二法人税」という性質が強いのです。
スペインが8%から1%に食品消費減税をした場合は、
『一定税率CPIは実際の食品CPIを上回っており、この差から、減税が食品価格の上昇を一部抑えたことがうかがえます。ただし、実際の食品CPIもその後は上昇を続けました。原材料費など、減税以外の値上がり要因が残っていたため、消費者にとっては「そこまで安くなった気がしない」状態だったと考えられます。』
https://nsk-shokumirai.com/2026/09/08/tax-reduction1/
と言った事もありました。
つまり、法人を救う策で価格を下げようとする珍妙なことをやろうとしているという事です。
その上であまり効果がないにもかかわらず「8%に戻る時は値上げになる可能性が濃厚」というのも本当に悲劇だと思います。
質問者:
筆者さんのお話を何度もご覧の方でしたら分かっておられるかもしれませんけど、一般的にはそう言う感覚では無いですからね……。
筆者:
恐らくは「こんなに複雑で価格も下がらないのなら給付の方がマシだ!」という事でスムーズに本丸である「給付付き税額控除」に移行させて「消費税の温存」を図る財務省の策なのだと思います。
つまり、「消費減税をしました」と言う実績作りと「消費税減税しても経済は浮上しなかった。だから消費税は絶対にこれからは下げない」という事も言いたいのでしょう。
既に今回の閣議決定でほぼ決まっているタイムラインとして、
27年4月 食品消費減税8%⇒1% 開始
29年3月末減税措置の終了
29年4月 所得に応じた(一部前倒しで低所得者への給付も検討)
とありますが、反対の声が少なく移行することを狙っているものと思われます。
※本筋とは違いますが住宅ローンの変動金利が0.25%上がると、借入額4,000万円・35年返済の場合、毎月の返済額は約4,500円〜5,000円、年間で約5万〜6万円の負担が増えることになります。消費減税分が1回で吹き飛ぶレベルなので、利下げをしてくれた方がよっぽど現役世代にはプラスになります。
質問者:
そもそものお話として政府は物価高対策をすることがあまりできないというお話ですからね……。
筆者:
せいぜいJAが農作物を高く買い取って安く市場に流すとかそれぐらいしかできません。
どちらかと言うと賃上げをしても実質賃金が低下していることを解消するべきだと思います。
特にどんな給料の人でも一律な保険料の方が問題だと思いますよ(むしろ高額所得者は一定ラインで頭打ちになるため給料の保険料を占める割合は下がっていく)。
質問者:
確かに低所得者の購買力そのものを高めた方がよさそうな気がしますよね。
筆者:
単純に給付のみだと「働かなくなる」というマイナス要素がありますから、「働き甲斐がある」状況にしなくてはいけません。
現状は頑張って働いて給料が増えてもよっぽど増えていない限り手取りは増えませんからね。保険料などを是正しなくてはいけないという事です。
話は戻りますけどこのように問題が多く、多方面に気を配らなくてはいけない食品のみの消費減税ですが、「国民が求めていた政策」であるとういことです。
多くの日本国民が「消費税が国民が負担している税」だと勘違いしているがために価格が下がってくれると勘違いし、更に国の政策を悪い方向に導いていっているんです。
質問者:
皆さんは、筆者さんみたいに政治経済マニアでは無いですからね……。
筆者:
そのマニアの僕が出来るだけわかりやすく説明しようと試みますのでよろしければ今後もご覧ください。




