食料品だけの消費減税をすると「飲食店倒産」する理由を解説します
筆者:
高市総理が衆議院解散を宣言する際に「食品のみの消費税を2年間廃止」について述べました。
今回は食料品の消費減税が「飲食店倒産」に繋がるかもしれない理由などについて解説していこうと思います。
因みに僕も2年ぐらい前なら食品の消費減税に賛成だったんですよ。
物価が下がるという試算がありましたからね。
しかし、色々と勉強していくうちにそれは「机上の空論」に過ぎず、今は全く考えが変わった理由をご説明したいと思います。
質問者:
でも、筆者さんの理論だと「消費税」と言うのは名称が正しくなく実質的には「第二法人税」なんですよね? 飲食店の負担が軽減されるということは無いんですか?
筆者:
そもそもの話として消費税対象業者の売上にかかる税額からインボイスのある仕入税額控除を引いたものが「消費税」と言われるものです。
ここまでの流れで消費者がここに介在する余地が無いので「第二法人税」と言う見方は間違っていません。
ところが、飲食店の場合において特に店舗がありその場で飲食するケースにおいて「別の要素」が介在するんです。
質問者:
筆者:
それは仕入れる際には軽減税率8%なのに、店舗で飲食する場合には10%の通常税率がかけられるためです。
800円で仕入れた食品を1000円で店舗で食べるモノを売るケースについて考えてみましょう。
この場合 減税されない場合
864円で仕入(税率8%) 1100円(税率10%)で売ることになり
課税仕入れ64円 課税売上100円 納税36円
手元に残る金額 売上価格1100-仕入価格864円-納税36円=200円
となります。
これで0%になる分仕入れ先が値下げをして自身が値下げをしない場合だと
800円で仕入て1100円売ることになります
課税仕入れ0円 課税売上100円 納税100円 になりますので、
手元に残る金額 売上金額1100円-仕入金額800円-納税100円=200円
と帳簿上の価格変わらないように見えます。
ところが「机上の空論」から決定的に見落とされているのが、「国民側からの値下げ圧力」です。
「食料品が0%になったのだから店頭の食品は全部値下げされるべきだ!」
という世論が高まるはずです。
何せ消費税の以上のような複雑性については全く周知されていないのですからね。
そして当然ですが、値下げをすれば赤字により近づくことになり、大手の直営店はともかくギリギリの経営を強いられている店舗は一気に倒産していくことになります。
※一方で「持ち帰り」の場合は、
864円で仕入 1080円で売る
課税仕入64円 課税売上80円 納税16円
手元に残る金額 売上価格1080円-仕入価格864円-納税16円=200円
800円で仕入 1000円で売る
課税仕入0円 課税売上0円 納税0円
手元に残る金額 売上金額1000円-仕入金額800円-納税0円=200円
となり、値下げをしながら事業者の手元に残る金額は変わりません。
質問者:
なるほど、国民側からの値下げ圧力はありそうです……。
消費税についてそんな詳しいことまで知っている方はそんなに多くないでしょうからね……。
筆者:
しかも、仕入先が消費減税分8%以上値下げしてくれた上に自分の売り上げが変わらない場合でようやくプラスマイナスゼロと言うかなり「難易度が高い」又は「理想的な話」ということも注意する必要があります。
そのためにこれらの要素を総合的に考慮すると「軽減税率廃止は飲食店倒産に繋がる」という事なのです。
勿論、無理やり赤字企業を延命させることは良いこととは思いませんが、国の施策によって赤字企業に転落し、閉店していくことは絶対に避けなければいけないことです。
質問者:
筆者:
下の方に書きますが消費税廃止が一番だという前提で、仮に食料品の廃止と言う狭量な視点で見た場合で考えますと、
同じものを買っているにも関わらず「持ち帰り」、「店舗で食べる」の差でもって税率が違うという「珍事」とも言えることが起きているためだと思います。
同じ場所から買っているので、統一して軽減税率にする措置を取ることが妥当であると僕は思います。
そうしないのであれば、「二重価格」みたいな状態になることを許すように国民に周知しなくてはいけないでしょう。
◇そもそも「価格決定権」が会社にあるため「値段が下がるとも限らない」
質問者:
やはり、国民側から「食品の消費税減税」が期待されているからこそ与野党から同じような政策が出ていると思うんですがそれについてはどうですか?
筆者:
まず自民党の方に言いたいことがあるんですが、国会の答弁で石破前首相が25年5月21日に、高市首相は11月6日にそれぞれ
「スーパーのPOSシステム対応のために消費減税に1年かかる」
という趣旨を国会で答弁されていました。
僕はそもそも価格なんて日々仕入れ価格が変化することから「その日のうちにでできる」と思っています。
なぜなら「値下げシール」などで1日の間でも同じ商品の価格は変動しますよね? それでもレジは対応していますよ。
確かに食品全部の値段の変動と言うのは手間かもしれませんが少なくとも「1年かかる」と言うのは「ガセに近い誇張」と言っても過言では無いと思います。
質問者:
筆者:
政治家の国会で答える理論はそんなに軽いのか? と言いたくなります。
若しくは「1年かかる」ことを「時限的に2年しかしない」ともなればとんでもない手間になるわけです。
しかし、今回解散にあたって公約に掲げた際にこれに関する言及は一切無かったわけです。
つまりこれまでの答弁は「下げたくないための詭弁」若しくは「今回の発言が選挙対策」であることを自ら証明したわけです。
質問者:
野党の新党の中道さんの方々も「当選のために何でもやる」と言う印象を受けますよね……。
筆者:
仮にPOSシステムが関係しているのだとするのなられレシートから「消費税の項目」と言うのは廃止するべきです。
そうすれば最終価格のみを表示すればいいので手間は大きく減ります。
なぜなら、性質としては「第二法人税」であることから、レシートに記載するのは不適切だからです。
仮に「消費者が実質的に負担している」と言う理論が通るのだとするのなら、利益の最終金額が法人税になることから「法人税」以下法人にかかるあらゆる税金をレシートに記載する必要があると思います。
消費税を「消費者が負担しているように見せかける」ためにレシートに記載しているようにしか思えません。
質問者:
筆者さんは「消費税と言う名前そのものが欺瞞」と言うお考えですからね……。
筆者:
そもそも食品減税で物価が下がるというのが「幻想」だと思います。
https://ncode.syosetu.com/n1201ki/
過去のエッセイでも書きましたが、欧州のデータでは消費税と似た付加価値税の引き上げの際には70%反映されて、付加価値税を下げた際には25%しか下落効果が反映されていないことが分かっています。
つまり予算規模が食品のみでは5兆円かかると言われていますが実情の国民への効果は1.25兆円に過ぎないという事です。
◇「財務省の罠」に先行して気づかなくてはいけない
質問者:
しかし、人気がある政策とは言え与野党同時に政策に入れるというのは何か違和感があるのですが……。
筆者:
その可能性は高いでしょうね。
アッサリ下げて効果が薄いのが確定的なのに「効果が薄いので二度と消費税を下げません」と宣言するのです。
そして「これからは給付付き税額控除をやります。これで消費税・社会保障のの逆進性は解消されます」というシナリオになるのが目に見えているんです。
※給付付き税額控除についてはこちらで詳しく解説しています https://ncode.syosetu.com/n3656lq/
質問者:
筆者:
消費税の最も悪いところは物価高という事よりも「賃金が消費税控除(減額)」に貢献しないという事です。
正社員よりも派遣社員を雇った方が消費税の減額には貢献しますので「非正規労働促進税」にもなるのです。
賃上げ税制(法人減税)や中小企業支援などを無くして消費税廃止に全力で充てればもっと分かりやすく中小企業支援や賃上げに貢献すると思いますよ。
ここの論点にほとんどの国民が気付ききれないと、
食品のみの消費減税 ⇒ 25%しか価格効果なし ⇒ 給付付き税額控除 ⇒ 軽減以外の消費増税
と言った史上最悪の悪夢のシナリオが確立されると言っても過言では無いのです。
質問者:
筆者:
食品のみの消費減税が価格を下げる効果が全く効果が無いわけでは無いのも問題を複雑化しています。
値上げに疲弊しきっている国民が大多数なので少しでも下がってくれたら嬉しいですからね。
僕は全体の流れがおおよそではあるものの分かっているからこそ、最初からやってもあまり効果が無いことするぐらいなら、賃下げの影響が大きい大本の消費税を廃止した方が良いというのが僕の理論なのです。
この全体構図に大多数の国民が気付くのが先か、財務省の国民にとっての悪夢のシナリオの終着点に到達するのが先かの勝負だと思います。




