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 トゥス国の巡礼は初めての事もあり、葵には戸惑いが多かった。

その土地に訪れたら、先ず医師の所に寄り病人の治療に手を貸す。

ここでは葵の癒しの光が歓迎される。

本番はその後だ。

葵があの国境で話した事をもっとわかりやすく話さなければならない。

癒しの術で治してもらった者や、その地域に住んでいる者達を一つの場所に集めた。



私がいた国では『八百万の神々』と言う言葉があります。

これは数多くの神が存在するという意味です。

この小石一つにも神が宿ると言われています。

神々を身近に感じて、そして敬い尊ぶのです。

個々の神がそれぞれに秀でているので比べるものではありません。

どの神様も同じ様に尊い神様ですから、同じ様に敬うのです。

それと同じ様に私達人間もそれぞれ違うのです。

だからその違いを認識して、お互いを敬うのです。

違う神様を信じている人でも、自分と違うと言うだけで排除するのでは無く、違う事を違うと認識すれば良いのです。

戦う事はありません。

貴方は貴方の信じる神様を信じて、その教えを守り、神に祈り、暮らしていけば良いのです。

貴方が心を籠めて貴方の信じる神様にお祈りをする事を貴方の神様は望んでいらっしゃると思います。

他の神様の事は貴方が思う程、貴方の信じる神様は気にしていらっしゃらないと思います。

貴方の神様は貴方を見ているのですから。

寧ろ、貴方が他の神様に意識を向けている事の方が、貴方の信じる神様は寂しいと思います。

だから貴方が貴方の信じる神様に一心にお祈りしてくれる方が喜ばれますよ



勿論、これを話して直ぐに納得してくれる人は少ない。

「スー神様以外に神様がいるのか?」

「スー神様は何でもお出来になるから神様なのだ、何でも出来ないのに神様なのか?」

「そんなに沢山神様がいたら、神様同士喧嘩なさらないのか?」

「スー神様だって沢山の人から祈られた方が良いだろう」

「トゥス国はスー神様だけいて下されば良い」

葵が話終わり、集めた民を見渡すと、様々な声が上がる。

「私の国ではそう言われているのですが、スー神様はお一人なのでしょうか?」

「スー神様はお一人で寂しくないのでしょうか?」

「神様が出来ない事は無いかもしれませんが、お得意な事はあるかもしれません」

「スー神様は何でもお出来になっても、手が足りない事は無いのでしょうか?」

「神様も協力なさるかもしれませんから、仲良しではないでしょうか?」

「心許ない方より一心にお祈りしてくださる方からの方が喜ばれると思います」

あげられる声に一つ一つ応えていく。


次第に理解がされていくらしい、近くの者と話をしながら頷く者が増えていく。

トゥス国では元々戦争を避けたかった者が多かったのも影響しているかもしれない。

それでも、戦争で儲けていたような者や働いていたような者から、暴言を浴びる事もあった。

護衛が強かったので怪我する事は無かった。

しかし、食事や待遇は王宮に居た時とは比べ物にならないくらい質素になった。

女性騎士が護衛と侍女を兼ねてくれるのだが、彼女達がいなかったらと思うと葵はぞっとした。

何をするにも男性の視線に晒されるのとそうでないのとでは、天と地程違う。

そんな巡礼を半年続けて、一度王宮に戻った。




「ご苦労であった、反響は色々と届いておる、暫し、ゆるりと休まれよ」

王宮に戻れば、国王への報告としての謁見があり、巡礼の皆で労いを受けた。

「有難きお言葉、深く感謝致します」

葵達は深く頭を下げた。

半年の巡礼で、葵はすっかりやつれた。

そもそも、元の世界では(かしず)かれていたのだ。

自分の事は誰かが世話をしてくれていた。

女性騎士はあくまで護衛が主で侍女とは違う、勿論、手伝いはしてくれるが手伝いだ。

慣れない事をするだけでも大変だったのに、保存の肉食は合わず、食べる量も減っていき、痩せていった。

何もした事の無かった手はいつの間にか荒れていた。

王宮に戻れば王妃が付けてくれた侍女達が憐れに思い、手を尽くしてくれる。

暫くぶりの待遇に身も心も癒されていく葵だった。




「次はメタナ国での巡礼の準備が整ったらしいので、そちらに出向いてもらいたい」

束の間の様な休息に安堵していれば、国王から呼び出しがあり、巡礼の話がされた。

「あの、元の世界に戻る方法は見つかったのでしょうか?」

非礼と言われるかもしれないと思いながらも、葵は聞かずにはいられなかった。

「否、まだ、見つかっていないと報告を受けている、引き続き探させておる」

「そうですか」

無いと聞けばやはり気落ちする。

国王も気がかりではあるのだが、巡礼にも行ってもらわなければならず、何ともし難い感情を抱えていた。




王宮を出発し、最短距離で国境へ向かう。

「葵殿、巡礼中、くれぐれもお気をつけて下さい」

「クリス様、ありがとうございます」

「レリマ殿、葵殿をよろしくお願いする」

「引き受けた、こちらでの巡礼中は私が護衛として付く事になっている、安心して欲しい」

「良かった、よろしく頼む」

「レリマ様、よろしくお願い致します」

「はい、こちらこそよろしくお願いします、葵殿」

「葵殿、では、半年後にお迎えに上がります」

「はい、よろしくお願い致します」

3人とも以前に話していたような内容での引き渡し事項と、葵がこの半年で巡礼していた際に起きた事など共有し、トゥス国で考えられた対策なども伝授しながら、順調に進められていた。

国境線上で、葵の引き渡しが行われた。


如何でしたでしょうか?


今回はちょっと区切りが悪くて短いです。


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