第三話 自転車 下
クラスへと戻った俺は覚悟を決めていた。
自転車のペダルをこぐのはクラス全員でだ。
というのは幻想だ。
理想像でしかない。
最初の踏み込みは全員では合わせられない。
誰かが先導に立ち踏み込まなきゃ
一生先には進まない。
この学校、四山商業高校
通称、四商は県立の公立校で
学業の商業分野は県内トップレベル
部活も野球部は近年甲子園に出場したし、
サッカー部も数年前に選手権出場、
水球部も全国優勝レベル、
その他大勢の部活もインハイ出場や
県ベスト8以上だったりする。
しかし、その運動部の生徒の9割が商業科で
俺の通う情報科には生きのいい運動部の生徒は
ほとんどいない。
そもそも、情報科は2クラスだけで
1クラス男子15人、女子25人。
商業科は6クラスで
1クラス男子30人、女子10人。
男女比が真逆で
そう、うちのクラスはリアル(18年前)では
男子でリーダーシップをとる奴がいなく苦労した。
野球部は2人、粕川と千代田がいた。
どちらも頭が良く遅くまで練習してよくテストで
高得点をとるなと感心していたが
たまにムードメーカーになっていたものの
引っ張っていくタイプではなかった。
サッカー部も1人いた、二ノ宮だ。
授業でボケ解答したりするが
基本真面目で頭がいい。
他の子達も俺を含めて大人しかった。
入学式が終わりクラスに戻り
倉賀野先生がやって来てホームルームが始まった。
「初日という事で
まぁみんな分かっているとは思うが
自己紹介をしてくれ
内容は名前、出身中学、中学時代の部活
入る部活、高校で頑張りたい事だ。
じゃあ、天川からよろしく。」
人前で話すという事はリアルで大人になってから
散々経験した。
しかし最初のこの一歩目は人生二度目とはいっても緊張するものだ。
「天川蓮です。四山一中出身、中学の時は卓球部でした。
高校ではアルバイトをするつもりなので部活は入りません。
将来はシェフ(料理長)になる事なので学校の勉強と並行してフランス語やイタリア語、料理の勉強をしたいと思ってます。
よろしくお願いします。」
「天川、お前変わっているな。
よし明日放課後残ってろ話がある。
はいじゃあ次、泉沢。」
ボケるわけでもなく将来の夢をぶっ込んだ。
ペースメーカーとしては最低
でもこれで雰囲気か少し変わった。
これでいい、いいはずなのに
倉賀野はこの世界線でも変わらんな。




