第三話 自転車 上
上手くやる
滞りなくやる
社会にでると当たり前の事だ。
もしこのクラスが1台の自転車だとしたら
俺ら生徒が車輪だとしてそのペダルは
誰がこぐ?
高校生活の3年間は
その自転車をこぐ練習なのかもしれない。
補助輪が外れる頃(卒業の時)には
上手く、滞りなく自転車をこげるように
なる為に夢中で日々を過ごす。
体育館に向かった俺たちは
無事に入学式を終えた。
いたって普通の変わり映えしない
入学式だった。
結局、手掛かりなし
クラスまでの帰りに3年の校舎のほうを見て
行くか。
「ちょっと俺、トイレ寄ってから
教室戻るから先行ってて。」
そう前後の生徒に言い
俺は3年校舎から回り道して
クラスに帰る事にした。
といっても
特に手掛かりないよなぁ。
急いで階段を降り
小走りで一階の廊下を右に曲がったら
誰かにぶつかった。
「いてててて…
ちょっと、ちゃんと前向いて歩きなさいよ。」
「すいません。
探し物をしていて。」
咄嗟に謝った視線の先に見た事のない
黒い髪が綺麗だと思える女の子がいた。
「もしかして、この学校の先生ですか?」
俺は普通に考えたらすごく失礼な事を
躊躇なく聞いてしまった。
それはつい昨日まで33歳のおっさんとして
生きていたせいか
このたぶん新任の20代前半の先生が
若い女の子にしか見えなかったのだ。
「そうだよ。
君、1年生だよね。
もしかしてクラスまでの帰り道、
分からなくなっちゃった?
キョーちゃん先生に任せなさい!!
北校舎はね、うんとねぇ
そこを右?左?
とにかく向こう(北)に向かって行けば
大丈夫!!」
こんな先生、リアル(18年前)にはいなかった。
これは何か手掛かりがあるのではないか?
そう思った俺は矢継ぎ早に質問をした。
「先生は何者ですか?
いつからこの高校に?
何で俺は高校時代に戻ったんですか?」
「うーん
質問が多いなぁ。
そんなにキョーちゃん先生の事、
気になっちゃった?
私はねぇ、京目秋花。
新任の22歳の家庭科教師だよ。
今年からこの学校で…
あ〜、いけない!!
この後2年生のホームルームが!!
じゃあね。
少年、名前は?」
そう言って京目先生は
階段を駆け上がっていった。
「1年2組 天川蓮です。」
「天川君かぁ。… 」




