第二話 小さな恋のうた 中
良く晴れた日の山から見える空の青はいつもより青く、
流れる雲はちょっとだけ手の届きそうな気がした。
四山に着いた俺たちはバスから降り、中腹にある合宿所を目指し歩き始めた。
合宿所までは途中で休みながら登り、約1時半くらい。
男女別、クラス別で運動部が多い商業科8組から登って行く。
増田:「よう、天川。
なんかこうやって話すの初めてだな。
俺の事、分かる?」
歩き始めて気づいたら隣にいた増田が話しかけてきた。
天川:「増田だろ。
さすがに男子は人数少ないから
名前覚えたよ。全員。」
増田:「しっかし、天川って凄いよな。
朝も倉Tがストップウォッチを
持っていたの気づいてみんなを先導したし、
昨日の委員会を決める時も級長が
なかなか決まらない中、
"俺が副級長やるから"って言って
やりやすいようにしていたし、
授業中も先生に質問されて誰も手をあげないで
"挙手サドンデス状態"になりかけてた時に
手を挙げて回答したりして流石だな。」
天川:「増田は良く見ているんだな、みんなを。
そういう事に気づける方が凄いよ。」
増田:「そうか? ところで天川が入る部活決めた?
俺、来週バド部に見学行こうと
思っているんだけど
一緒に行かない?」
天川:「俺は部活入りたくないんだよなぁ。
バド部かぁ。ごめん遠慮しておく。」
増田:「そうか、残念。
でも部活入らないとどうせ
倉Tがうるさいぜ。」
小出:「天川、増田、何話してんの?
そんな堅苦しい話はいいから
お前らも歌おうぜ。」
千代田:「よし、天ちゃん。歌うぞ。
このままだと他のクラスに負けたちゃう。」
粕川:「どんな勝負だよ。
まぁ歌うなら全力少年いこう!!」
気づいたら他のクラス達はこの合宿までに
丸暗記して来いと言われていた校歌を熱唱していた。
そして、それにつられ俺ら2組も校歌を
何回もリピートとした。
小出:「あーもう飽きた。
広い宇宙の数ある一つ
青い地球の…… 」
気づいたらそれぞれの好きな歌を
順番にみんなで歌い始めた。
そうでもしていないと流石に距離が長すぎて
やっていられなかった。
途中、途中で景色が見え休める場所で
倉Tは写真を撮ってくれていた。
ちなみに倉Tの趣味が写真らしい。
撮るのが好きなのか、
カメラが好きなのかは知らないが。
そうこうしなが歩き続けていると
合宿所手前の広い公園みたいな場所に着いた。
倉T:「ここでお昼だからな。
みんなお弁当持ってきてるよな?
1時間後の12時に出席簿順で並んでろ。
はいじゃあ解散。」
小出:「2組男子みんなで食おうぜ。
集合。」
結局、お昼はクラスの男子全員と食べる事になった。
みんなの好きなアーティストの話、
中学の時の部活の話なんかでなんだかんだ
入学してからは過去1盛り上がった。
時間がきて集合をした俺らは合宿所に向かい、
荷物を部屋に置き13時からの講話に備えていた。
小出:「講話だりぃ。てか講話というより
校歌歌わされるんだろ今日は?」
千代田:「先輩の話だとちゃんと歌えるまで
永遠に歌わされるらしいよ。」
粕川:「ちゃんとって何だよ?
どうせ歌詞をちゃんと覚えてて
声が小さいとやり直しさせられるんだろ。」
天川:「つまり次の予定、
15時のグループオリエンテーションまで
ほぼ確で歌わされるって事でしょ。」
みんな:「まじかー。」
時間になり講堂に集まった俺たちはまず、
学年主任の片岡先生の学校生活についての講話を受けた。
片岡:「君たちにおいてこの高校生活の3年間は
社会に出てから通用する人間になる為の
練習期間だ。
中学までの学生だからという感覚は
今日この瞬間に捨てろ。」
片岡先生の話は約15分にも及んだ。
みんなはその一言、一言に覚悟を感じ噛み締めた。
次に音楽教諭の岩鼻先生のピアノの伴奏と共に
校歌斉唱の時間が始まった。
金古:「声が小さいぞ!! やる気あんのか?
もう1回!!」
8組担任水球部監督、金古先生。
通称ねこ。か"ねこ"から由来。
ねこはこの高校のOBで校歌も熟知している。
きっと自身の学生の時も厳しい指導を
受けてきたのだろう。
気合いの入った指導だ。
結局、予想通り時間いっぱい校歌を永遠と歌わされた。
最終的にクラス別でうちのクラスは最後まで残された。
千代田:「あーやっと終わったー。」
粕川:「千代ちゃん、次外だよ。
やっと自由になれる。」
増田:「次のグループワークも中々、大変らしいよ。」
小出:「そうそう、罰走あるらしいもん。
噂じゃ。」
千代田:「まじかよ。やべ、もう集合時間だ。」
15時、俺たちはお昼を食べた公園に集合した。
倉T:「これからグループオリエンテーションを
始める、まずこれから言う8人の班になれ。」
俺の班は男子は俺と泉沢の2人、
女子は荒牧、石倉、小田島、細井、関根、古市の6人だった。
倉T:「男子の出席番号が早い人が班長だからな。
グループオリエンテーションの
ルールを説明する。
これからみんなには班ごとに
この公園内にある
山道に入ってもらう。
山道には10ヶ所分岐点があり
それぞれに問題が貼ってある。
その問題の正解だと思う方を選び
先に進みゴールを目指せ。
以上。
あと30分以内にゴール出来なかったら
罰走があるからな。」
こうしてグループオリエンテーションが始まろうとした。




