その14
そんなこんなで四天王全員の自己紹介が終わった所で魔王が確認事項のまとめをしていた。
「四天王には色々できることが増えるだろうから一応言っとくと
1.魔族領地内であれば好きな場所に移動可能
2.魔族同士での争いはなるべく禁ずる
3.魔王の許可無く四天王の変更をしない事
4.負けない事
と言った具合に決め事みたいなのは決まってるから気にしておいてね」
1は白斬が言っていたし知っていた、2はなるべくっていうのは裏切り者とかが出た場合は構わないという事なのだろう、3は領地の当主把握をしておく必要があるとか?人間みたいだな、4はシンプルだが1番必要な事だな。
特段気にかけるものも無さそうなので大丈夫そうだ。
「まぁ、そんなわけで四天王会議はこれにて終わり」
と言った所で鄒喆と説はさっさと帰ってしまった。
凛々は俺に一礼だけして帰って行った。
「さて、俺らも戻ろうか」
「なんだか変なやつが多いわね四天王って」
お前が言うかよと赤影にツッコミながら帰路につく。
「ちょっと待ってね堕黒」
そう言った魔王に引き止められた、まるで他の四天王が帰ったのを見計らったようなタイミングだった。
「次はどうするの?西の方は?」
「近々国堕としをするつもりだが?」
「やっぱそうだよね」
とわかったような口を言うのならば態々聞いてくるなよと思った。
「一応伝えた方が良いかと思ってね、さっき言い忘れてたと言ううかもはや身を守るためだと思って聞いて欲しい」
と真剣な表情で言おうとしてるのは良いがあの場で言えない事なのか?
「勇者いるだろ?勇者を殺しちゃだめ倒すのは良いんだけど絶対に殺すな、殺そうとするな」
衝撃的な事を言ってくれるじゃないか、お前は勇者と戦わせるために俺を引き入れて育てるみたいな事を言ってなかったか?
「どういうことだ?説明、してくれるよな?」
「勇者はね人間の君ならわかるだろうけど神から授かる権能ってやつなんだよ、その権能の効力が1番やばいのが勇者の権能なのさ」
「つまり?」
「つまり、勇者を殺そうとすると神から天罰を喰らってしまうという事、勇者は魔王じゃないと殺せないように世界が作られてるんだよ」
「なんだそれ」
とつい口からこぼれてしまったが、赤影も似たような反応をしていた。
「要するに世界が勇者を守ってるからその反感を喰らわんように気をつけろって事?」
「まぁそうだね」
まぁそうだね、じゃないんだよ。なんだよ世界が守ってるって、俺の手じゃ殺せないって事か?
「じゃあ何?勇者を自分の手で殺したいならマスター自身が魔王になれってこと?」
と赤影が的を得た事を言った。まぁ確かにその通りではあるが、勇者を殺したい訳では無いから正直どちらでも構わ無いんだよな。
「そうだよ!堕黒が勇者になってくれれば良いのさ!」
とそうそれ!みたいな感じで言った魔王の目はキラキラしていた、そういえば最近じゃ誰も魔王の座を狙って来なくて暇だって言ってたか?
「まぁなるにしたってまだ魔王になる気は無いから今すぐは無理だな、それに殺さなきゃ良いんだろ?倒すだけなら大丈夫だろ」
じゃなきゃ魔族側が不利すぎる、あまりにもこの世界を作った神が馬鹿すぎる事になってしまう。
「そうだね、撃退は良くしてるから倒すだけなら大丈夫だよ」
と撃退は良くしてる?今の勇者の話しか?それともそれよりもっと前の?
「勇者と対峙する時は気をつけとくよ魔王、それじゃ」
友人でもなんでもなく、ただの上下関係しかない間柄のため軽く、そそくさとその場を去った。
そうして帰った先には白斬が待っていた。
「おかえり、どうだった?会議は?」
とにやにやしているようだ、まるで向こうで起きた事がわかっているかのように、未来予知か千里眼でも使ったかのように俺らの行動を見透かしたかのような表情をしている白斬は1発ぶん殴ってやりたい気分だった訳だが。我慢してやった。
「お前の事が大好きな先輩に喧嘩売られたよ」
「あぁ、凛々か、やっぱりなー」
やっぱりってわかってたんじゃねぇかよこいつ、こいつわかってたからわざと会議行かなかったのか、無理やりにでも連れて行くべきだったかこいつを、そうすればある程度の親密度は保てたんじゃないか?
「まぁ凛々も私も四天王長かったからな、種族進化も一緒だし仲良くしてたから不満があったんだろうな」
とゲラゲラ鬼のように、ってか鬼なんだけど豪快に笑ってる、やっぱり殴っとくかこいつ。
「てか種族進化ってなんだよ?」
「あぁここら辺の話はした事なかったか、私鬼の進化系統の最終進化とも呼べる「エンシェント」なんだよ」
エンシェント?種族進化の最終ね、つまりあれか。
「その種族最強の名前って事?」
「そう、私は鬼の頂点エンシェントオーガで凛々は龍の頂点エンシェントドラゴンだからね、めちゃめちゃ高貴な存在なんだよ」
高貴とか言われてもなお前に高貴さとか欠片も無いだろうに。
「エンシェントになれるやつはほとんど居なくって、魔王になるにも種族進化をエンシェントになっていないとなれないみたいな話があるほどだからね」
「人間にエンシェントなんてのがいるとは思わないけどな?」
「まぁたしかに、人間でエンシェントと呼ばれる者にはあった事が無いな私は」
そもそもが人間と魔族で文化が違うんだからそれもそうなんだろうか、人間側が気づいてないだけでエンシェントヒューマンなるものは存在しているのかもしれないな。
「じゃあ一旦そこ目指すようだな、魔王になるなら」
「何?魔王目指すようになったの?」
「いや目指す訳じゃないよ、あくまで国堕としのついで」
とついでにしては随分重たいものを抱えているなと自分ながらに思うが、実際はそこまでなろうとも思っていないのでほんとについでなのだ。
「良いね、じゃあヴェ...じゃなかった、堕黒が魔王になったら私と真剣勝負でもして貰って約束を守ってる貰おうかな?」
「約束は国堕としの時だろ?」
「魔王はついでなんだろ?だからだよ」
なんかもうめちゃくちゃな気もするけどとりあえず良いや、今日は疲れたし普通に。
「んじゃまぁ近々西国アルストロを堕とす算段をつけるとするか」
そう言って、今日あった様々な事を記憶の片隅にでもほおり投げながら休憩に入った。




