その9
赤影がヴェルナの命令によって人間の本陣へ向かっている途中
「私の運命の人って事よねあの人は、こんな所で会うなんてちゃんと運命じゃない...」
嬉しそうに恥ずかしそうに独り言を呟いていた。
そんな呟きの後に後ろから突進音がしてきたので振り返って見ると、物凄いスピードで突進してくる白斬が来ていた。
「なんであの白い鬼が来てるのよ」
と自分も飛ぶペースをあげなければと全力で飛んだのだった。
結局本陣へ着いたのはほぼ同時だった。
「あんまりゆっくり走ってるからヴェルナの命令を聞く気がないのかと思っていたのだがな?」
「うるさいわね筋肉馬鹿が、なんで走ってて追いつけるのよ」
「そこらの鬼とは一緒にしないで貰いたいものだな?勿論お前もだ」
と喧嘩っぽい雰囲気で会話している2人、少々仲が悪いようだった。
「それで、なんであんたが来てる訳?」
「ヴェルナに一応手伝ってやれと言われたのでな?信用されてないぞお前」
「そんなわけないでしょ?私の事が心配なのよ」
「心配?それこそ無いな、あいつが誰かを心配するほど情に熱い奴では無いからな」
「何?マウントのつもり?」
「なんの事だか?」
そんな犬猿の仲とも言えるようなそんな会話が並ぶ。
「とにかく、邪魔しないでくれる?私の初めてなんだし」
「邪魔はしないさ、ただ打ち漏らしは私が斬るが良いな?」
「別に構わないわよ、そんなこと起きないし」
と自慢気に良って魔法を放つ
《"血"第3階位魔法ドレインタッチ》
魔法を放ちはしたが特段何が起こる訳でもなくてただ歩いて本陣の中へ入って行った。
「あの、すみませんお父さんとお母さん見ませんでしたか?」
そんな風に子供が大人に話しかけるように、警戒心が無くなるように話しかけた。
「お父さんとお母さん?知らないなぁ、ここは戦場の前線だよ?こんな所にいるの?」
「軍の人になって戦って来るって行ったきり戻ってきてなくて」
「あぁそうか...それじゃあ多分死んでるな」
実際は父も母もこんな所にはいない訳だが、子供の振りをするため嘘泣きもこなす。
「そ、そんな」
大人達は子供の泣き声に弱いものだから。
そんなこんなで本陣の中心辺りまで来れてしまった赤影が仕掛けた。
「それじゃあ寂しくないように手を繋いでくれませんか?」
「あぁ良いぞ、手ぐらい繋いでやるさ」
そんな良い人なんだろう大人の手を握りそして殺す。
ドレインタッチ触った相手の生命力を奪う魔法。
「おいっ!」「どうしたっ!」「何があったんだ!」
そんな感じで多くの兵士達が周辺に集まる。
ここまで人間が集まれば一網打尽も行けるだろうと
《"血"第3階位魔法ブラッドサークル》
まるでヴェルナが見せた魔法のように赤く光る円が赤影を中心に広がって行く。
そしてその円の中にいたものは少しづつ衰退していっているようだった。
この魔法は円の中にいる者の血を抜くというだけの魔法、厳密に言えば血を抜き外へ放出する事ができる魔法だ。
そうして外に出た血を見てもう一度魔法を放つ。
《"血"第4階位魔法キリングブラッド》
本来この血の魔法は血を操る魔法なのでこれが本来の使い方である。先程までのはほぼ吸血鬼の延長線だった訳だが。
血が宙を舞い鋭い刃となり、まるで木のように枝分かれし次々に兵士を刺殺してゆく、蹂躙、虐殺の完成である。
「さて、あとはここのトップかな」
ここのトップはわざと残しておいたのだ、残すことに意味があったから。
「なのに!なんで殺しちゃってるのよ!あんた!」
目の前には既に死んでる人間を手に持つ白斬の姿だった。その人間は先程聞き、逃しておいたトップの人間だった。
「なんでって、打ち漏らしは殺すと言っただろう?」
「わざと!わざと残しておいたのよ!情報とか聞き出せたかもしれないでしょ?!」
「別に要らんだろ?」
「あぁ、ムカつく、もういい、あんたここで死になよ」
「ほう?殺るきか?私と」
そう言い合い今から殺し合おうとしている雰囲気だった。お互いが動かずただじっとしているのが幸いだった。
「2人共落ち着け」
そう言って後からゆっくり来たヴェルナが仲裁に入ったのであった。




