5【完】
第二探索隊最後でちゅー!
「そういえばあんじぇりーなさまに質問でちゅーどうして自分のことを幸子って言うんでちゅーか?」
「それは、幸子がラッキー様の大ファンだから。幸運→幸+子。」「なるほどでちゅー」
ここは深夜12時の鐘餅家の猫のあんじぇりーなの部屋です。
二匹のあんじぇりーなは窓辺からまん丸の月を見ていました。
「ちょっといいか?」
「おう?隊ちょーどうしたんですの?」
「あら隊長さん。こんな深夜にどうしたんだ?」
「やっぱりお前たち入れ替わっていたふりをしていたな?」
『なーんだ。バレちゃった。』
次第に隊長ネズミの耳には二匹の声が重なって聞こえ始め、一つの生物と会っているような感覚になっていきました。
「教えてくれ?なんでこんなことをしたんだ?」
隊長ネズミは怒り口調で聞きます。
『だって……退屈していたんだもの。』
「どっちから言い出したんだ。どちらでも責めはしない。」
『それは、秘密……
アンジェリーナが、誘ってきたん……あっ!』
「ふっさっきあんじぇりーなさまの執事に聞いてきたんだ。あんじぇりーな様は嘘がつけない方だとな!!」
「あの、馬鹿執事め。帰ったらとっちめてやる。」
「まあまあ、お止めになって。知られていたのならしょうがありませんわ。どうして私たちが初めから入れ替わって居ないとお分かりになられたんですの?」
「まず昼間私が話した。勇者バナナ話だ!アンジェリーナは熱心に聞いていた。だがあんじぇりーな様は聞き飽きていたのか、反応がいまいちだった。勇者バナナの話は、ネズミなら一度は母親から聞いたことがある話だ。それをまるで初めて聞いたかのように嬉しそうに聞いていたのは可笑しい!」
「うぁーーアンジェリーナの凡ミス!」
「けどラッキー隊長は、嬉しそうに聞いていたのではないですか?」
「あいつは、あいつ勇者バナナの話が大好きなんだ。子供の頃から何百回も聞いているのに毎回滝のような涙を流している。」
「それでもおかしいじゃありませんか、もし私たちが初めから入れ替わって居ないとしたら……」
「決定打はある!これもあんじぇりーな様の執事の方に聞いてきたんだ。あんじぇりーな様の名前の書き方はこう。ひらがなで『あんじぇりーな』だ。私も最初名前を聞いたときは、カタカナの『アンジェリーナ』だと思ったんだが。間違いだったらしい。」
「でもでもでも……」
「もういいよ。アンジェリーナ。それで優秀なタイチョー、私たちの秘密を暴いて、どうしたい?」
「別にどうも…」
「待ってください!!」
隊長ネズミが答える間もなく物陰からドニが現れました。
「話は全部聞きました。二匹のあんじゃりーな様の秘密も。それでも僕はアンジェリーナ様達の味方です!罰ならどんな罰でも……」
「ドニお前も来ていたのか!!」
「おいら達もでちゅー」
「なんとお前たちも!」
「アンジェリーナ達が猫だろうと、ネズミだろうと関係ないでちゅー
僕らはあの時アンジェリーナ様が、エサを分けてくれたことを忘れないでちゅー」
「そうだったな。よし、今回のことは不問にしよう。アンジェリーナ教えてくれ!どうしてこんな入れ替わり偽装なんてしたんだ。」
隊長ネズミは、アンジェリーナに強く聞きます。
「それは……だったからですわ。」
「え?なんだって?すまん。少し声を大きくしてくれ。」
「皆様方が楽しそうだったからですわ。この屋敷で何度もお見かけして、とても楽しそうでつい……」
「そうか楽しそうか、こっちはいつも命がけで業務に……」
「隊チュー怒らないでちゅか?」
「もう怒る気も失せた。わかったよ。アンジェリーナ、時々この屋敷で業務がある場合は、顔を出そう!」
「もちろん。幸子もよく遊びに来る。」
「良かったね。アンジェリーナ。」
「はい。皆様ありがとうございます!」
こうして第二探索隊は二匹のあんじぇりーなと友達になりましたとさ。めでたしめでたし。
第二探索隊を最後まで読んでいただきありがとうございます。この作品の第一話は、コンクールに出すために書いたもので、何個か感想をいただけたので、その御礼に書いてみました。一話に比べると隊長ネズミの性格が違ったり、色々支離滅裂なところもあると思うのですが、少しずつ直していこうと思っているのでお待ちください。あと感想を頂いた皆々様、「ありがとうでちゅー」