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前にコンテストに出した第二捜索隊の続きになります。
白くて高い壁に、かかった絵画、大きな柱時計やふかふかの絨毯、そして高そうな調度品の数々。床には、片方に水が入ったペットのお皿が二つ。
今第二探索隊のネズミ達は、お金持ちの鐘餅家にいます。
「ふぁー」
さっきから隊員ネズミ達は、隊長に見つからないようにあくびをしてました。
「……はい。はい。了解しました。それで冬に回収させていただいた例のブローチの事ですが……」
「ふぁー」
「ですから、ここに置いておくのは……」
「ふぁー」
隊長がさっきからおもちゃの無線機で誰かと話しているので、隊員ネズミ達はあくびをしたい放題です。
「なんですって!アンジェリーナ様がここに来ると!はい。はい。はい。了解です。」
隊長が話を終えるのは、もう少し時間がかかりそうです。
「ねーねー聞いたちゅーか」
「何ちゅー?」
隊長が見ていない事をいいことに隊員ネズミがヒソヒソ話を始めました。
「またラッキー部隊が捜索してたものを無くしたらしいでちゅー」
「ラッキーって名前に似合わず、アンラッキーなネズミでちゅーね。」
「貴様らたるんでるぞ!」
突然隊員ネズミ達に隊長の雷が、落ちました。
「では、今日の任務を発表するぞ。
それはアンジェリーナ様が今日ここに来るそうだ。」
「アンジェリーナ様が来るちゅーって。」
「てことは、てことは、つまちゅーり……」
『アンジェリーナ様に会える!!』
「隊ちゅー、隊ちゅー!」
「なんだ?」
「アンジェリーナ様は、お月さまみたいにまんまるの目をしているでありまちゅーか?」
「まあしているだろうな。ネズミなんだから。」
「隊ちゅー、隊ちゅー。アンジェリーナ様のお体は、何色なんでありまちゅーか?」
「白だそうだ。それに赤色のバンダナをしてくるらしい。」
「隊ちゅー……」
三匹目の隊員ネズミが言いかけたその時です。
「ビビー、ビビー」と、突然隊長のおもちゃの無線の音が鳴りました。
「はいはい。」
「大変だ。お前ら護衛がアンジェリーナ様とはぐれたらしい。」
「緊急ミッションだ。アンジェリーナ様を探しに行くぞ!」
『了解でちゅー!!』
隊員ネズミ達はビッシっと敬礼しました。
「では行くぞ。俺に続け!」
隊長ネズミを先頭に隊員ネズミ達がかけ出します。
「よし!この部屋はどうだ。」
『ニャーゴ』
頭の上の方ちょうど部屋にある大きな台の上辺りから大きなネズミにとってもっとも恐るべき恐怖の存在猫の声がします。
突然目の前になんだか大きなかたまりが現れ第二地上捜索隊を通せんぼしました。
「うわぁーー。」
「たいひ!たいひ!」
「白い体に……」
「赤い首輪をしてるでありまちゅー」
「そんなまさか……」
今隊員ネズミ達の目の前には、とても大きな怪物いや赤いバンダナをした白い猫がいました。
「こっここわいでちゅー」
「きさまらたったるんでるぞ。猫なんぞに怖がりおって!」
そう言いながらも隊長ネズミはぶるぶると震えています。
白い巨大な猫は顔を捜索隊の方に近づけると、口からピンク色の下をだしペロリっと舐めます。
「ひぇ~~でちゅ」
「万事休すか!!」
この時探索隊のネズミ達は本気でネズ生の最後の時を感じていました。
もう終わりだ。これで天国に行けるそう思ったのです。
けれど猫は、探索隊のネズミ達を食べようとはしませんでした。
代わりに口を開いてこう言いました。
「なるほど、おネズミの味ってこんな感じなのですね。美味しそうな味がします!いつもお友達の方々がお猫さんに食べられてしまうのは、美味しいからなのですわ。賢いですわ!アンジェリーナ!これはネズミ会のノーベル賞ネズー賞ものですわ!」
「あっアンジェリーナだと!ってことはもしかして……」
隊長ネズミ達は降り返りながら叫びます。
「アンジェリーナさまは、猫だったのか!?
でちゅか!?」
「はい!‘今‘アンジェリーナは猫でございます!皆様方は、私をお探しになられた第二捜索隊の方々ですね?お噂は存じております。なんでもあの田中家の人間に一矢報いたとても優秀な捜索隊だとか?」
「いえ。我々は任務を……今!?」
「はい。‘今私は猫‘でございます。」
「それはどういった経緯で?」
「それが、信じてはもらえないかもしれませんが……私、元はただのネズミだったんですの。だけどこの鐘餅家に遊びに来てから猫のミミと精神が入れ替わってしまったのですわ。」
「そうおっしゃっても、とても信じられません。それにもしあなたが本物のネズミならば、なぜネズミをなめるようなことをなさったのですか!?」
「それは、子ネズミの頃からずっと気になっていたからで……」
「そのような野蛮なやからは任務でなければ、関わりたくありませんな!!本部には、あなたが猫になった事情は伏せて、行方不明ということにしておきます。‘今‘あなたがネズミでないなら、これ以上我々に関わらないでいただきたい!」
「それは……はい。わかりましたわ。第二捜索隊の皆様私を探し出す任務ご苦労様でしたわ。色々とごめんなさいね。それでは、ごきげんよう。」
全身猫の涎まみれの隊長ネズミの拒絶された猫は、項垂れ目に涙を涙を浮かべながら、去っていきました。
その場に残された第二捜索隊の隊長ネズミは、ウキウキしていました。思った以上に早く仕事が終わって嬉しいのです。
「さぁって、撤収準備だ!」
その様子をみた隊員ネズミは、次々に言います。
「隊ちゅー隊ちゅー!アンジェリーナ様をおひとりにしていいでありまちゅか?」
「隊ちゅーには、ネズミの心が無いんでありまちゅか?」
「アンジェリーナ様は泣いていたでありまちゅ!」
「隊ちゅー隊ちゅー」
「えーい。うるさい!そんなに気になるなら、どこにでも行ってしまえ。ただ忘れるなよ。脱走者は、即クビだ。契約違反で、多額の違約金を払うことになる。こんな高収入の仕事もうありつけないかもしれないだぞ。よく考えろやっとチーズ大スキーー社の捜索隊に入ることができたのに、よくわからん猫なんかのために一生を棒に振ることになるんだぞ。」
それを聞いた隊ちゅーネズミはみんなだんまりこんでしまいました。たった一匹を除いては。
「さぁー撤収だ。」
「隊長!」
「だからネズミなまりがって、今隊長って言わなかったか!?誰だ!発言したのは?」
「自分であります。隊長!」
それはまだ若い一匹の隊員ネズミ、ドニでした。
「隊長、ぽくちゅーは……自分はどうしてもアンジェリーナ様をこのまま放って置くことはできません。自分が捜索隊に志願したのは、困っているネズミをいや困っている動物を助けたい!そう思ったからであります。クビにしたいなら結構です。多額の違約金も一生をかけて払います。行かせてください。どうかお願いします。」
「好きにするがいい。上にはあまりにも使えないでクビにしたと伝えておく。」
「ありがとうございます。お世話になりました。」
「あっ隊員章はおいてけよ。ヘルメットはせんべつだ。持っていけ。」
「ありがとうございます。隊長!」
ドニは猫のアンジェリーナが去っていた方にかけていきました。
「さぁ厄介者は追い払ったし、撤収だ。」
隊長ネズミは、嬉しそうに腕を回します。
「きゃー!」
「ちゅー!」
その時です。ドニとアンジェリーナの向かった方から二匹の悲鳴が聞こえてきました。
「二匹が向かった先にはなにがある?」
「我々ネズミの墓場台所がありまちゅ!」
「誰か偵察に行って来い!」
『はいでちゅ!』
隊の中で走るのが得意な二匹が悲鳴のした方に、猛スピードで走っていきます。隊長ネズミは二匹を見送るとグルルと喉を鳴らし呟きます。
「一体台所で何が起こっているんだ。」
「ねーねー知ってるでちゅか?」「なんでちゅ?」「作者はコメントが貰えたのが嬉しくて、続きを書き始めたのはいいけど、途中で行き詰まって一年経ってしまったらしいでちゅ」「それじゃあ僕たちは、完全に忘れられてるでちゅね」