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三日間の秘密の旅  作者: 里蔵光 (協力:OpenAi ChatGPT-3.5)
20/24

二十

自サイトでも公開しています。

http://gambler.m78.com/hikaru/sakuhin/3days-secret-tour.html

 翌朝の朝食前に、神田が短いミーティングを行った。

 「皆さんよく眠れましたかね。大分明るい顔になられている様で安心しました。さて、本日の予定ですが――」

 神田は一同を見渡して、「米軍の基地を見て回るそうです」

 「はぁ、なんやそれ?」クラウンが驚嘆の声を上げる。「態々(わざわざ)日本に来て、なんで?」

 「米軍自体と云うよりは、それに(まつ)わる問題に興味がある様ですね」

 「沖縄の基地問題ですか? X国の大統領なんかが、なんで?」知佳が首を傾げる。

 「正確なところは私も判らないですが、(いず)れにしても私達は、如何(どん)な状況下に於いても大統領を護衛するのみです」

 そうしてミーティングは終わった。

 朝食を取りながら、知佳は改めて神田に訊いてみた「X国の大統領が如何して、沖縄基地問題なんかに関心あるんですかね?」

 神田は味噌汁を啜ってから、それに答える。「米軍基地って結構世界中にあるんですよね」沢庵をポリポリと食べ、「X国に於いても多少なりと、基地問題の様なものはあるようです」

 「なるほど、沖縄の現状とか、日本がどう対応しているかとか、そう云うのを視察したがっているんですかね。そう云うの、日本としては見せちゃっても大丈夫なんですか?」クラウンが卵を溶きながら口を挟む。

 「来日しているのに隠すのも難しいでしょう。活動している人達にしてみれば、絶好のPRチャンスだったりするのでは」

 「X国にPRしても、意味ないのんちゃうかなぁ」

 いろいろ好き勝手な意見が飛び交っているが、結局彼らの遣ることは一つである。

 「今日に限っては、過激な活動家達からも、大統領を護ることになるかも知れませんね」

 朝食が終わると、それぞれ準備を整えて移動用のコンテナに乗り込み、大統領の警護へと向かった。

 大使館から出て来る大統領の車を雲の上から確認し、一行はその後を尾けて移動して行く。大統領を乗せた車は、大使館から近く、且つ抗議活動の比較的活発な基地の方へと向かっていた。

 「いきなり其処に行くんや、大丈夫かいなぁ」クラウンが心配そうに呟く。

 大統領は大小様々な抗議看板が打ち立てられている辺り迄来ると、車を降りて近寄って行った。そして其処で、看板の前に座り込んでプラカードを抱えている一人の活動家に目を止めて、立ち止まった。横に控えている秘書官と何事か会話を交わし、通訳らしき者を連れて来て、座り込んでいる男に声を掛ける。

 「大統領がするこっちゃないわなぁ。この大統領、基本的に危機感薄いやんな」クラウンが呆れて声を上げる。

 「今の所あの人に、敵対感情は無いですけどね」知佳が云い添える。

 それでも一同は眼下での遣り取りを注視し、何事か起きた時には直ぐ行動出来る様、身構えていた。

 大統領と活動家が二言三言と言葉を交わす内に、次第に活動家が興奮してきて、「我々沖縄人は、基地の騒音や環境破壊に苦しんでいます。何とかしてください!」と声を荒らげ始めた。然し大統領は顔色一つ変えず、只静かに激化してゆく活動家を見詰めているばかりである。

 「なんだか不穏な雲行きになってきましたねぇ……この儘平和に収まると好いんですけど」神田は独り言の様に呟いた。

 活動家と大統領は、終始噛み合っていない様に見える。活動家が一頻り喚き、それを通訳が伝えると、大統領は軽く、ハハッと笑った。その時、活動家の表情が一変した。

 「おい貴様! 何様なんだか知らねぇが御大層な身なりしやがって! 俺の話を聞いていたのか! この、アメ公が! 恥を知れ!」

 激昂する活動家を大統領は冷やゝかに見詰め、通訳が代わりに反論する「私達はアメリカ人ではありません。X国人です。私達に抗議をされても、米軍に対して何の力もありませんので、無駄なことですよ」

 活動家は一瞬きょとんとして、次の瞬間には益々(いき)り立った。

 「お、お、おまえら! おちょくっとんのか! 関係ない国の奴等がこんな所で何してやがる!」

 そしてプラカードを木刀の様に構えたところで、神田がその動きを封じた。その為彼は、簡単にSP達に取り押さえられることゝなった。

 「後は彼らに任せましょうか」神田は短く嘆息した。

 SPが活動家を連行した後、大統領はその辺りに打ち立てられている様々の抗議看板を繁々と眺め、通訳に説明を乞いながら、パシャパシャと写真を撮り始める。

 「大統領何云ってるんだろうね」蓮が退屈そうに云うと、知佳は凝と覗き込んで、「云ってることは判んないけど、心を見る限りでは、なんだかすごく面白がっているみたい。X国では見られない反応だって」

 「X国でも軍用地に関しては地元住民と多少の衝突はあるようですが、日本程米軍を毛嫌いしていませんね」神田が補足する。

 軈て大統領は活動家を押し込んである車に乗り込み、SPを間に挟んだ状態で話し掛けた。活動家は先程とは打って変わって(しお)らしくなっており、矢鱈ぺこぺこと頭を下げている。

 「彼、相手がX国大統領だって先刻知ったみたい。すごい恐縮してる」

 終いには引き()った笑顔で大統領と握手し、放り出される様にして車から出て来た。如何やら、解放された様である。

 「よかった、許してもらえたんだ」蓮が愉しそうに手を叩いた。

 活動家は何度も何度も車に向かってお辞儀を繰り返しながら、殆ど横走りの様な状態で、もの凄い勢いで去って行った。

 「余計な逮捕者が出なくてよかったです。X国側も、Y国に関係ないと見て釈放したのでしょう。単なる日本人を拘束したら、それはそれで後々面倒なことになりますからね」

 大統領が車から降りて来て、大きく伸びをした。それから暫くは基地とその周辺をぼんやりと眺めていたが、軈て緩慢に自分の車へと戻っていった。

 「あらあら」知佳が大統領を見ながら思わず呟いた。

 「何よぉ、おばちゃんみたい」蓮が突っ込むと、知佳は蓮を見て微妙な顔をした。

 「大統領さん、飽きた、って思ってるよ」

 「なにそれ」

 後部座席に乗っている大統領が、助手席の秘書官に対して投げ遣りな調子で何か云うと、車は静かに滑り出してその場を後にした。

 「次はどこの基地や」クラウンは近くの米軍基地を想起していたが、何故か車は来た道を戻り、大使館へと入って仕舞った。

 「どう云うこっちゃねん」クラウンの戸惑いに、知佳が答えた。「帰るってさ」

 「いや、帰って来たのは判っとる」

 然し知佳は首を横に振り、「ううん、国に帰るって意味」

 「へぇ?」クラウンは目が点になっていた。然し直ぐに察したらしく、「ほぉら云わんこっちゃない。基地問題なんか見ても、X国の参考になんかならんて。ただ観光しただけやん」

 「まあ、それに気付けただけでも、ある意味収穫ではあったのではないでしょうか」神田は苦笑した。


基地問題に振っちゃったのは作者なんですが、ChatGPT が変な事書かない内に、何とか上辺だけなぞって誤魔化してやり過ごそうと必死でした。

こんな作品でいかなる政治的立場も取りたくないです(汗

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