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21世紀のセカンドライフの送りかた

作者: はち

俺は会社を辞めた。

会社がちょうど早期退職を募っていたので希望したのだ。


底がすり減った、くすんだ靴も、アイロンがかけられていない皺で縮んだシャツも俺の人生にはもう無縁のものだ。


輝かしい未来が今始まる..

俺は会社を辞めた。

会社がちょうど早期退職を募っていたので希望したのだ。


底がすり減った、くすんだ靴も、アイロンがかけられていない皺で縮んだシャツも俺の人生にはもう無縁のものだ。


満員電車ももう乗らなくていい。

すぐに嫌な顔をする年下の同僚の顔も2度と間なくて済む。


休日前にプレッシャーをかけてくる嫌な上司のことを考えてキリキリとした休みを過ごし、無駄な休日を過ごす必要も無くなった。


今日は輝かしいその第1日目だ。

今から輝かしいセカンドライフが待っている。


朝6:00いつもなら、煩く鳴り響く目覚ましはならないのに、きっかりと目を覚ます。


いつもなら、急いでご飯を食べるのに、今日は急ぐ必要もない。


それでもいい。俺は自由だ!なんだってできる。


期待に胸を膨らませる。

さて、今日は何をしようか。


久しぶりに友達に連絡するかと、携帯を手に取る。元気してた?と、フリック入力を慣れた手つきで行う。

「お久しぶりですね。こちらは元気に過ごしてましたよ。そちらはお元気ですか?」


(...。)

なんだか久しぶりだからかな?やけに他人行儀だなと、悲しさを感じる。


デートにでも行くかと、彼女を呼ぶ。

元嫁と別れてからずっと他人との関わりがなく、数年前から彼女とは続いている。


3時間くらい、彼女と過ごした。

なんだか満たされない..

特に去り際は悲しい気持ちが込み上げてくる。


人生に虚しさを感じる。

なぜだろう..元気なうちに人生を楽しもうと、すごい決意の上、活用した早期退職代行サービス。


なんのトラブルもなく会社を辞められた。


話し相手がいなくなり、寂しさからよくたわいもない会話をした、チャットGPT


すごく親身に話を聞いてくれて、的確なアドバイスをくれるいい奴だ。


それでも埋められない寂しさを異性で埋めようと、彼女代行サービスまで利用している。


それなのに...心の隙間は埋められない。


こんなはずじゃなかったのに、どこで間違えたのか..虚しさが襲いかかってくるがどうしたらこの虚しさを解消してくれるのか、誰も教えてくれない...


俺の輝かしいセカンドライフははじまったばかりだった...

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