第98話 迷子の魂を探しましょう
そういって、ランドールは姿を消した。残る私たちは茫然とするしかなかった。
『……とりあえず、ルールに連絡を取って対策を練るのにゃ。マリアは、明日まで寝ておくのにゃ。あと3日、補習と授業があるのにゃ。この試練が成功すると信じて、卒業できるように、学校は行っておくのにゃ。そのあとは、夏休暇を使ってルラーゲ山脈で魂を探すのにゃ』
「アロ様にはなんて言うの?」
『この際正直に言うのにゃ。失敗したら、アロイスの魂も取られるのにゃ。さすがに冥王には勝てないのにゃ。そして、アロイスもルラーゲまで連れて行くのにゃ。人間の中では強い方にゃ』
「うん、そうだね。必ず成功させて無事に卒業してみせるよ」
次の日、学園から帰ると、ルルーシェ様がやって来た。今回はちゃんと扉をノックして入室してくれた。それから、アロ様も合流して作戦会議だ。
「そうか、そんなことになっていたのか。僕も何度か、死んでしまうような状態の人間をマリアが癒す場面に遭遇している。まさか、それが規格外だったとは……女神様の癒しだから、奇跡が起きるのだと思っていたよ」
「すみません。アロ様まで巻き込んでしまいました。それに、危険な場所に一緒に行って欲しいなんて、……」
「ああ、それは構わない。むしろ黙って行かれて、君を遠くから心配するより、近くにいて守れる方がずっと安心だよ。それで、対策は?」
「ああ、自分が転送でルゲーラの竜の谷付近に皆を連れて行こう。普通なら10日以上かかるが、そこまでは一瞬で行ける。そこからは状況が分からない。どうして死神が竜の谷に行かないのかもわからない。あいつらはそこそこ高い能力を持っている。ドラゴンを恐れているとは思えないんだが……厄介な場所だと言っていたんだよな?」
『そうにゃ、でも、ただ面倒くさいからこっちに回した可能性もあるのにゃ。あいつはいい加減な奴にゃ』
「とりあえず、出発は3日後、行くのはマリア、アロイス、自分とララだ」
『にゃうん』
私の膝の上に乗っていたリリが鳴いた。
「え?リリも行くの?」
私がそう聞くと、子猫は首を縦に振った。どうやら行く気のようだ。
「ララ、どうしよう?」
『う~ん、まあいいのにゃ。猫の手が必要になるかもしれないのにゃ』
3日後に向けて、私たちはそれぞれ準備をした。