表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

77/121

第76話 隣国ユリゲーラ国へ行きましょう

 ジャコブ大神官様は、沢山の苦言を残し去っていった。


「要は、マリアを隣国へ連れて行くなと言っているんだ。回りくどく長々と説教して」

 殿下は、余程ジャコブ大神官様が苦手なようで、辟易したようすだ。

「大神官様のおっしゃられていることもわかるのです」

 私は、加護のペンダントを触りながら言った。

「でも、やっぱりそこまで自由を奪われたくはありません。これもありますし、アナ様とユリゲーラに一緒に行きたいです」

「勿論さ。マリアは自由にしたらいい。僕がしっかり守るよ」

「アロ様、ありがとうございます」

 過保護だった殿下が、少しずつ歩み寄り信頼して、私のしたいことを応援してくれるようになった。なんて、幸せなことだろう。


 そして、2年生が終わり、冬の長い休暇に入った。アナリス殿下が隣国へ旅立つのは、来年早々と決まっていた。今年がアナ様と過ごす最後かと寂しく思っていたが、アナ様の一言で少し元気になれた。

「あら、マリア姉様、あちらの学園も長い休暇はありましてよ。毎回かどうかはわかりませんが、一年に一回はこちらに戻ってきますわ」

 今は、来年の出立準備の打ち合わせも兼ねたお茶会をしていた。今日は、アロイス殿下は執務が立て込んでいて欠席だった。

「さすがに輿入れすればそうはいきませんが、学園にいる間は好きにさせていただきますわ。あくまで、留学ですから」

「よかったです。もう会えないかと、寂しく思っていたのです」

「帰ってきますわ。それに、マリア姉様たちの結婚式には必ず出席いたします。アロ兄様が暴走したら、止められるのはわたくししかいませんもの」

「はい、アナ様にはたくさん助けていただきました。本当に感謝しています」

「わたくしも、マリア姉様にはたくさん遊んでいただきました。小さい頃から本当の姉様だと思っておりますわ。それは、これからも変わりません」

「アナ様、私もそう思っています。私が王宮で寂しくなかったのは、アロ様やアナ様、アレク様がいて、一緒に遊んでくれたからですもの」

 王宮で、皆に見守られながら、一緒に成長した。陛下も王妃様も、私たちを温かく見守っていてくださった。小さい時は、王妃教育も大変で、自分の置かれた立場に目がいっていなかった。でも今なら分かることもある。私はとても恵まれた環境で、王宮の使用人に至るまでに、大切に守られて生活していたのだと。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ