第61話 作戦会議は難航しています
「それで、黒いモヤとは何なのだ?」
『……闇堕ちした女神のかけら?みたいなものにゃ』
「まさか、女神ラーラ様が闇へ?どういうことだ?ローズウェルは大丈夫なのか?」
『そこは、大丈夫にゃ。ただ、その黒いモヤは王家を恨んでしまっているのにゃ。それで、転生前のマリアを断罪させ、アロイスを自殺するように追い込んだにゃん』
「王家に恨み?どうして……」
ああ、そこは詳しく話すと長くなる。なんて説明したらいいの?ラーラ様がアラン陛下に恋をして……いや、それ言っていいの??
『……それは、神様のやんごとない事情なので、詳しく言えないにゃ』
あ、ララ、逃げたわ。やんごとないって何?
『兎に角、恨みを買ってしまっているのにゃ。黒いモヤは黒薔薇の力を吸収して、王家に何かを仕掛けるのにゃ。王や王妃は守護契約があるから大丈夫にゃ。一番危ないのはアロイスにゃ。もちろん、引き続きマリアも狙ってくるにゃ。マリアはアロイスの唯一の弱点にゃから』
「……そうか、神々のことだ。複雑な事情があるのは仕方ない」
ああ、そんな複雑ではないです。猫がやらかして、半神ラーラ様が初恋を拗らせただけなんです。言えないですけど。
『そうにゃ、複雑なのにゃ』
「……」
「で、具体的にどうしたらいいんだ?黒いモヤにどうやって対峙すればいい?何か方法はないのか?」
『今、具体的な対策は、加護のペンダントぐらいにゃ。黒いモヤを探しているけど見つからないのにゃ。どうやったら、滅せるのか、もしくは救うのか、神々も判断が分かれているのにゃ』
「それでは、こちらとしては動きようがないではないか。陛下に何と言えばいい?」
『女神の意思は、見守るのみ。未来の若人に任せる、のにゃ』
え、それって丸投げでは??
「そうか、女神様は我々を信じて任せてくださるのか」
わあ、そうとらえたんだ。さすが、未来の王様だ。でも、たぶんララは丸ッと投げたよね。
善良なアロ様に、策がないなんて言えないララの方便だよね。
『……ごめんにゃ。魔術師のルルーシェも味方にゃ。相談にも乗ってくれるにゃ。すぐに動きがあるかは分からにゃい、用心だけはしておいて欲しいのにゃ』
それから、夏の休暇が終わって、後期の授業に入ったけど、学園はずっと平和だった。