第3話 女神様が原因です
頭をこつんと叩きながら舌をペロリと出す女神様。所謂てへぺろですね。思わず可愛いと思ってしまった。いや違う、そんな軽いものだろうか?
唯一の愛し子が2人!嫌な予感しかしない。つまり私が断罪されたのはとどのつまり女神様が原因ではないだろうか?そもそも女神の愛し子偽物認定された理由が、実は学園の授業の一環で行ったギフト判定で、判定用の水晶が反応しなかった事が原因なのだ。
そして、次のリリアーナが水晶に手をかざすと愛し子を示す虹色に輝いたのだ。つまりリリアーナが女神の愛し子だと判定されてしまった。その場は騒然とした。箝口令が敷かれ、後日神殿側の見解として愛し子はマリアローズとリリアーナ2人の可能性があると伝えられた。
でも、多くの生徒がその場に居たことでマリアローズ嬢は偽物では?という噂がまことしやかに流れてしまった。そこから学園での生活は一変することになる。
思い出したくもないいじめ行為が繰り返された。それに並行して、マリアローズ嬢がリリアーナ嬢を妬みいじめているという噂まで流れ始めた。勿論私はいじめなんてしていない。むしろほぼ毎日明らかに私を狙って水が降ってきたり、歩いていると頭上に植木鉢が落ちてきたりした。私が女神の愛し子の加護で守られていなければ避けられず大怪我もしくは死んでいたのでは、と思う場面がいくつかある。いじめダメ絶対。である。
この世界には5つの国が存在していて、それぞれに5柱の神様がいる。マリアローズがいるローズウェル王国には女神ラーラ様が祀られていて、女神の愛し子が誕生するとその時代の王族が保護という名の後見につく。年が見合えば婚約者となることが多いようだ。例にもれず私も生まれた時から王太子アロイスの婚約者になっていた。
「つまり、女神ラーラ様…ということでしょうか?」
…あなたが原因ですね?と本当は聞きたいところであるが、少し含みを入れて聞いてみた。ラーラ様はスイッと目をそらした。これは肯定ということだろう。
「水晶が反応しなかったのは、いろいろな原因があるの…今は詳しく伝えられなくて申し訳ないのだけどぉ…ただ愛し子が2人になってしまったのも原因の一つだとは言えるしぃ、だから本当に反省しているの~。ごめんなさ~い」
何かあるのだとはわかった。でもそれで断罪され崖落ち死亡なんてあんまりだと思うのは私だけだろうか?そもそもこの断罪で私の家族であるグラン伯爵家は没落してしまったのだ。長きにわたり愛し子だと王家を騙していたことの咎が如何ほどのものか考えなくても分かる。処刑を免れたのが奇跡だ。それを謝罪だけでそうですかと納得は出来なかった。
「それで、私にどうしろというのですか……」
少し低い声になってしまったのは仕方ないと思う。だって私は怒っていた。転生の記憶がなかった私はこの18年をマリアローズとして幸せに暮らしていたから。
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