第37話 選ぶも何もアロイスルートなのでは?
「ええ。何を選ぶの?元のルートに戻すって言ったよね?それって、アロイスルートなんだよね???」
『そうとは限らにゃいにゃ~、ルートは可能性にゃ。絶対はないにゃ。だからマリアがアロイスよりハリス公子がいいにゃら、普通に攻略しに行けばいいにゃ』
「攻略……いやいや、しないよ。私はアロイス殿下が……」
……殿下が好き?憧れ??親愛???なんだろう……婚約者。小さい時から当たり前に側にいる。いつも励まし、導いてくれる。頼りになって優しい。だから?
「あ~~、わからない!!ララ、私、殿下のことどう思っているの??」
『なんで私に聞くにゃ。知らにゃいにゃ。まあ、ゆっくり考えたらいいのにゃ~』
結局ララはそのままどこかに行ってしまった。夜中まで一人で考えたけど結論は出なかった。小さい時から婚約者だったのだ。あらためてどういう存在かなんて考えたことが無かった。当たり前に側にいる人。そのまま行けば結婚してずっと一緒にいる人。
「マリア、どうしたの?疲れてないかい?」
あ、そうだ。殿下と馬車で登校している途中だった。
「あ……少し考え事をしていて、眠るのが遅くなってしまいました」
「そうなんだ、もしかしてハリス公子のこと?」
「え、あ……」
いえ、あなたのことを。とは言えず言葉に出来ずにいると、殿下は不機嫌になってしまった。結局学園に着くまで会話もなく、いつものエスコートもなく馬車を降りて行ってしまった。置き去りの形になってしまった私は、呆然と立ち尽くした。こんな事は初めてだった。
その日は結局、会話もなく、用事があるという殿下と別の馬車で王宮まで帰ってきた。
『おかえりにゃ。マリア?どうしたにゃ、どこか痛いにゃ?』
「ララ……私、殿下に嫌われたのかも。シャルくんと誤解された?何か他にしたのかも……どうしよう、私……どこかで間違ったの……自分の気持ち、ちゃんと分らないから」
ぽろぽろと涙が溢れる。ズキズキと胸が痛い。ララが困った顔でこっちを見ている。なんで悲しいのか、胸が痛いのか……わからないよ。
この日は食欲もなかったため、そのまま部屋にいると侍女のマーサに言ったら、ずいぶん心配されたが何とか誤魔化した。
朝、食堂に行くと、アロイス殿下の従者が伝言を持ってきた。用事があるため先に行く。という内容だった。ショックで食欲がなくなった私は、そのまま学園に登校した。