第30話 side白猫ララのつぶやき
「ただいま、ララ。今日は部屋にいるんだね」
『お帰りにゃ~楽しかったかにゃ~』
「うん、楽しかったよ。リリーと一緒に行ったカフェもおいしかったし、いろいろ文具も買ったの。あ、これはララにお土産ね。カフェで売っていたの。可愛いでしょ、猫の形のクッキーだよ」
可愛いクッキーを目の前に置いてくれた。
『可愛いけど、共食いみたいにゃ』
「もう、想像しちゃうから言わないで。着替えてくるね」
そういって隣の部屋に行ったマリアを見送って、ため息をついた。
『今日、アロイスが護衛以外にいろいろしていたの、きっと気づいてないにゃ~』
朝、外出することで、もめていたのが私のところまで聞こえていた。どこで間違えたのか、アロイスはマリアを溺愛、いやあれは執着して幼いころから王宮に閉じ込めていた。
何度かマリアに大丈夫かと確認してみたが、王宮は広いし、王妃教育も大変だから今は大丈夫だと言っていた。人生2周目で、前世23歳だったからか変に懐が深いところがある。あのままではアロイスは付け上がるだけだと言っているのに、どうしたらいいだろう。
マリアには絶対に幸せになって欲しいのだ。そのために異世界から魂を引っ張ってきたのだから。
『ヤンデレな上にストーカーにゃん』
今からでも、違うルートに変更できないか……う~ん難しいか。
「何ブツブツ言ってるんだ」
マリアの部屋を出て歩きながら考えていると、ルルーシェ姿のルールに会った。
『ルールこそ、そんな姿で何やってるのにゃ。隣国の神がなんで魔術師に化けてローズウェルの王宮をうろついてるのにゃ』
「お前だけだと不安だからだよ。近くにいた方が助けやすいし。それにユリゲーラ国は今安定しているし、自分の愛し子の王太子は、優秀だから大丈夫なんだよ」
『にゃに言ってんの。うちのマリアだって優秀にゃ。王太子はあれだけど……』
「ああ、お前のとこの王太子ヤバいやつだよな。兎に角、黒いモヤもまだはっきりつかめてないし、あれは自分も少しは責任を感じているんだよ。じゃあな」
憎まれ口をたたいていても、やっぱりルールは優しくて頼りになる。異世界からこっちの世界に戻れたのもルールのおかげだし。それにしても、あのルールにまでヤバいと言われるなんて……アロイスは……。
『やっぱり、学園で別ルートをお勧めしたいにゃん』