第29話 女子会は楽しいです
「ふう、結構疲れましたわね」
「ええ、でもたくさん見られて楽しかったです。学園に行くのが楽しみです」
今はリリアーナとカフェに来ている。今日のお店は最近流行りのパンケーキのお店で、好きな果物をトッピングで選ぶことが出来る。私はイチゴとブドウを選んだ。リリアーナはオレンジとパインアップルだ。ここの世界は前世と同じ果物が多い。たまにとんでもない魔法果物なんかもあるが、普段見かけることはない。
「今日、殿下は外出を認めてくださったのですよね?」
チラリと柱の影を見ながらリリアーナが聞いてくる。そう、今回も殿下は少し難色を示した。例のごとく陛下と王妃様にお願いして、外出をもぎ取った形だ。渋る殿下は護衛をつける事を条件に了承したのだ。本当に過保護な殿下である。ということで柱の陰には屈強な護衛二人が客のふりをしているのだが、可愛い装飾の店内で浮きまくっているのだ。カモフラージュでパンケーキを注文していたが、更に違和感を増すことになっている。
申し訳ない。でもここのパンケーキは最高なので食べられてラッキーですよね?と、思っておく。
「おいしかったですわね。このあとなのですが、文具店を見に行けたらと思っているのですがどうされますか?」
「行きたいです!!学園で使うものも選びたいですし」
後ろでがっくりとうなだれる護衛二人が見えたけど、見なかったことにする。文具店で、リリアーナとお揃いのしおりやペンを購入した。文具店も女性用のものが多く、やはり護衛が浮いていた。さすがに気の毒になって、この後すぐに帰ると言うとホッとしていた。
「おかえり、マリア。どうだった、パンケーキの店にも行ったと護衛から報告があがっているよ」
ああ、やっぱりすべて報告するようだ。
「はい、とてもおいしかったので、今度またアロイス殿下と行きたいです。文具店でリリーとお揃いの……」
殿下がピクリと反応した。あれ、これは報告されてなかった?
「おそろい……」
「あ、殿下にお土産を買ってきたんです。お揃いのペンケースなのですが、学園で一緒に使いませんか?」
「もちろんだよ。マリアとお揃いなんて嬉しいよ。ありがとう」
よかった。リリアーナとお揃いのモノを買ったと報告がいっていたら、殿下がお揃いをうらやましいと言いそうだと買っていたのだ。もちろん真剣に吟味して買った逸品だ。