第2話 女神様が原因のようです
私は断罪されるような迫害をリリアーナに行っていない。この際、女神の愛し子云々は置いておく。それでなくても今は情報量が多すぎる。処理が追いつかない。
それにここはどこだろう?先ほどは走馬灯だと思っていたが、それにしては崖落ちが長すぎる気がするし、最早ここは馬車の中でもなかった。
とても静かな空間だった。うっすらと神殿のような建物まで見える。まさか天国的な何かだろうかと不安に思い始めていた時、少し前方に人影らしいものを発見した。髪が長いので女性のようだ。
何故疑問形なのかといえば、その人物は土下座をしていて顔が見えないのだ。そう土下座!見事なまでの土下座!!
このままこの場にいるわけにもいかないので、恐る恐る近づくことにした。髪の色は白銀だろうか。ゆるくウエーブした髪が腰の辺りを超えている。華奢な肩と腕が見えたので女性で間違いなさそうだ。声が届く距離まで歩を進め、勇気を出して声を掛けた。
「あの、すみません。…ここどこかわかりますか?」
女性の肩がびくりと跳ねた、多分怯えられている?
ゆっくりと土下座の姿勢から正座へとかわる。なんだろう?日本人ぽいな。と思っていたら目が合った。綺麗な金色の瞳。そう、金色はこの世界では女神の色と言われている。
「…女神さ…ま?」
びくり
何だろう、何かしただろうか?ゴクリと唾を飲む音がしたような気がした。そして女神様らしき人はしくしくと泣き出してしまった。
「…ごめん…本当にごめんなさ~い!」
ガバリと土下座にもどってしまった。
「私、女神ですぅ。愛し子のあなたにとても申し訳ないことをしてしまったわ~!!」
やはり私は愛し子で間違いないようだ。では何故断罪されたのか?きっと顔に疑問が出ていたのだろう。女神様は姿勢を正して説明を、いや釈明を始めた。
「私、悪役令嬢のリリアーナ推しでね~」
私は耳を疑った。推し⁈ 女神の言葉として推しとは何だろう?悪役令嬢というワードも違和感がある。乙女ゲームを知らないはずの女神様の発言に更に疑問が深まる。
「本来は生まれたときに愛し子認定したマリアローズが、唯一この国の愛し子になって王太子のアロイスと結ばれるはずだったの~。でも、断罪されるリリアーナがとっても可哀想な子でね~。もしかしたら愛し子認定したら断罪されずに幸せになれるかもと思ったらつい……10歳のギフト認定の時に愛し子認定しちゃったの~」