第21話 アロイス殿下は猫よりチョロいです
「わかった。ありがとうララ」
『お礼はいいにゃ。もとはといえば私の責任にゃ。さっきも散々ルルに怒られたにゃ』
本当に仲がいいようだ。でも、ルルーシェ様はララが喋れるって知っているってことよね。天才魔術師だからかしら?
「このペンダント、どうやってアロイス殿下にしてもらおうかしら?」
『フン、そんなの猫に首輪をつけるより簡単にゃ。マリアローズからのプレゼントとして渡したらいいのにゃ。一言、お揃いで肌身離さずつけましょう。と言えば楽勝にゃ~』
半眼のララが遠い目をした。
今日は午後からお茶会の予定だ。早速ペンダントを可愛くラッピングして持ってきた。ララが言うように楽勝なのだろうか?だんだん不安になってきた。
「お待たせマリア。体調はどうだい?」
「ごきげんよう、アロイス殿下。おかげさまで、すっかり元気です」
「そう、よかった」
「あの、殿下の方がよほど体調が悪そうに見えます。大丈夫ですか、お茶会は延期して休まれた方がいいのではありませんか?」
「……ああ、最近ちょっと眠りが浅くて……。すまない、大丈夫だ。マリアの顔を見ている方が安心できるし、一緒にいて欲しい」
「そうですか。あの、今日は殿下にプレゼントがあるのです」
私はラッピングした箱を殿下に差し出した。
「え、マリアからのプレゼント。何だろう?開けてもいいかい?」
「はい、どうぞ。実はお揃いのペンダントです。今私がつけているものと一緒です。お守りですので、肌身離さず持っていて欲しいです。私もずっとつけていますので」
「なんて綺麗な石だ。これをマリアとお揃いでずっと肌身離さずだなんて……ああ、絶対にずっとつけておくよ。誰にも触らせない。ありがとう。君が側にいるようだ。素晴らしいプレゼントをありがとう」
そう言って早速ペンダントをつけてくれた。ララの読みは当たっていたようだ。一国の王子が簡単に自分の首に魔石を付けるのはどうなのか、と思ったのは内緒だ。
これで殿下が害される危険性が減るといい。
後日、お茶会で会った殿下は、とても体調が良くなっていた。恥ずかしそうに、実は悪夢で眠りが浅かったが、このお守りのペンダントをつけてから悪夢を見なくなったと、とても感謝された。どうやら5柱の加護は悪夢にも有効のようだ。
5柱の神の加護が宿ったペンダント。きっと国宝級のアイテムだろう。チートが増えた。