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第19話 sideアロイス 悪夢にうなされる

 目の前でマリアが血を流していた。ドレスが血で真っ赤に染まり、気を失ったマリアがぐったりと地面に倒れているのを見た時は茫然自失だった。そのせいだろうか…。


 この頃僕は、妙にリアルな悪夢を見る。


「マリアローズ・グラン伯爵令嬢、貴様は長きにわたり自分こそ女神の愛し子だと偽り、王族と国民を騙し続けていたばかりか、真の愛し子であるリリアーナ伯爵令嬢を迫害していたそうだな。そのような者と婚姻する気はない。婚約は解消し、アロー修道院へ追放とする」


 夢の中で僕は王太子になっていて、学園の卒業を祝う舞踏会にいるようだ。

 だが僕の隣には、マリアの親友のはずのリリアーナ嬢が、まるで僕のパートナーのようにいるのだ。そして先ほどのセリフを、こともあろうに僕は愛するマリアに向かって言っているのだ。

 信じられない。そんなこと天地がひっくり返ったって有り得ない。まさに悪夢だ。

 婚約破棄されたマリアは、アロー修道院に行く途中に山賊に襲われて、崖から転落して死んでしまった。心の中の僕は激しく動揺している。こんなこと事実じゃないと叫んでいた。

 でも、口から出た言葉は「自業自得だ。」だった。


 絶望が僕を黒く染める。女神様、僕を殺してくれ。マリアのいない世界なんかに僕は一瞬もいたくない。そして僕は、マリアの転落した崖から飛び降りた。


「うわあああ」


 僕は自分の叫び声で目を覚ます。そんなことが最近よくあるので寝不足気味だ。


「アロイス殿下、少し顔色が悪く見えます。何かありましたか?」

 マリアの可愛い声で我に返る。どうやら少しボーっとしていたようだ。

「なんでもないよ。今日もマリアの姿が見られて幸せだと思っていたんだ。今度は僕の前からいなくなったりしないでね」

「……今度ですか?」

「ああ、ずっとだよ。約束だ、僕が絶対に守るからね」

 あんな絶望は二度とごめんだ。

 にっこりと笑って頷くマリアを次こそは失うまいと心に誓った。


読んでいただきありがとうございます。

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