第17話 白猫ララとのお茶会
『そう、良かったにゃ。無事に事故は防げたにゃ~。本当はついて行きたかったけど赤ちゃんの部屋には猫は入れないのにゃ~』
お茶会があった次の日、今日は午前中に予定が無かったので白猫姿のララとお茶をしながら昨日の出来事を説明していた。
「そうね、さすがにリリアーナの家には行けないよね。それでね、エリザベスが起きる原因となった音だけど、何かが窓にぶつかったのにそのものがどこにも無くて。何だかしっくりこないのよ」
『鳥か何かの生き物でそのまま逃げたとかではないのかにゃ?』
「ん~、黒いものだったのよ、でもカラスほど大きいものじゃなかったの。あんな大きい鳥ならぶつかったら窓が壊れてしまうと思うし。エリザベスを助けるのに集中して、ちゃんと見てなかったの。あ~なにかモヤっとするわ」
『……モヤっと……』
『まさか、ここで黒いモヤが出てくるのかにゃ?でもリリアーナとの関連性がないのにゃ。いや……転生前リリアーナも操られている節があったにゃ』
「えっ、リリアーナも操られていたの?」
『そうにゃ、断罪前のマリアローズに嫌がらせをしていたのがリリアーナだったのにゃ。そのあたりから、いきなりマリアローズに対して敵意を持つようになっていたのにゃ』
「敵意を持たれる心当たりがないのだけど」
『そうにゃ、アロイスともその前は接点が全くなくて、いきなり好きになっていてびっくりにゃ。そもそも悪役令嬢リリアーナが王太子と知り合うのは別のルートにゃ』
「えっそうだったけ?あれ、舞踏会のセリフ無かったかしら?」
『悪役令嬢としてリリアーナが登場するのは、チャールズが先生になってマリアローズと恋愛するルートにゃ。アロイスルートはエラン侯爵家のミランダが悪役令嬢にゃ』
あっ、確かにそうだった。チャールズ先生とマリアローズがハッピーエンドで舞踏会を迎える時に、王太子が悪役令嬢リリアーナの行為を見かねて断罪したのだったわ。
「ねぇ、どうしてララはそんなに詳しいの?」
『そ、それはほら……私が女神だから…にゃ』
なんだか歯切れの悪い猫である。
「そう?確かにアロイス殿下のルートなのにリリアーナが出てきて、さらに殿下と両想いなんて変よね」
『いろいろ解ってきているのにゃ。でも、まだ黒いモヤの原因もはっきりしてないし、もう少し調べないといけないのにゃ。それまで気を付けて欲しいのにゃ』
「わかったわ。気を付けるわ」
―――気を付けるつもりだった。それでもこれはいきなり無理ゲーだった。