表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/121

第14話 リリアーナと友達になりました

 かなり渋る殿下を何とか皆様となだめて、待ち合わせのベンチで座っていると、ピンクの可愛いドレスを着た美少女が近づいてきた。サラサラの金髪、少しつり目の赤色の瞳もリリアーナの色だ。

「お待たせいたしました。ホワイト伯爵家のリリアーナと申します。どうぞリリアーナとお呼びください」

「お会いできて光栄です。私のことはマリアとお呼びください」

 いきなり愛称で呼んで欲しいと言ってみた。グイグイいってみよう。

「まぁ、嬉しいですわ。では私のことはリリーと呼んでくださいませ」

 なんだかいい雰囲気で友達になれそうだ。


 事前にララがリリアーナの情報を教えてくれていた。少しつり目なのを気にしていること。大人っぽく見えるのに可愛いものが大好きで、いつもクマと猫のぬいぐるみと一緒に寝ていることを内緒にしていること。

 可愛いものが好き、クマと猫のぬいぐるみと寝ている……とくれば、お近づきの秘密兵器としてこれを使わない手はない。私はガシッと白猫ララを抱き上げた。

『~うにゃ……⁈』

 びっくりしたララが鳴いた。

「まぁ、可愛らしい猫ですわ」

「ありがとうございます。私の飼っている猫です。ララという名前です」

「ララを触ってもいいですか?私、熊か猫を飼うのが夢なのですが、なかなかお父様にお願いできなくて、最近義母様ができたのですがまだ親しくなれていなくて……まぁぁ~モフモフですわ~!」

 ララが推しに撫ぜられて緊張しているのかプルプルしているが、リリアーナの心はガッチリつかめたので上々だろう。それにしても猫はともかく熊は飼えないと思う。リリアーナは、天然キャラなのかもしれない。

 ララをきっかけに、かなり長い時間おしゃべりに花を咲かせた私たちは、また今度ぜひララに会いに来てくださいと次に会う約束までとりつけたのだ。話してみてわかったが、リリアーナはとても良い子だった。

「母を亡くしてから外に出るのが怖くなっていたのですが、マリアにカードをもらって勇気を出して来られましたのよ。」と、言われた時は泣きそうになった。恥ずかしそうに

「実は6歳の時、女神の愛し子が神殿の行事に出られると聞いて、父にお願いして一緒に参列しました。ちょうど王宮に来たばかりのマリアを見て、なんて可愛い少女なのかと感動して、その時ぜひお友達になりたいと思っていたのですわ」

「私も今日お話をして、リリーのことがとても大好きになりました。ぜひお友達になってください。」

「私もそう思っていましたの。マリアよろしくお願いしますわ」

「はい、またお手紙のやり取りもしたいですし、お茶もご一緒したいです。リリーも書いてくれますか?」

「はい、必ず書きますわ。約束です」

 和やかなまま初めての出会いは終了した。リリアーナを見送って、満足げに振り返ったら白猫ララは感動に打ち震えていた。

『~いい子にゃ~リリアーナ~。さすが推しにゃ~』

 まったく同意である。どうしたらリリアーナが悪役令嬢になるのだろう?先ほど6歳の時に私を見たと言ったリリアーナは好意的な感想を言っていたし、転生前の記憶をたどっても途中までは敵意なんて向けられた覚えがなかった。いつだろう?どこから断罪ルートに入ってしまったのか?

 断罪される頃の記憶が曖昧で思い出せないのだ。王太子のアロイス殿下に酷い言葉をかけられたのは知っている。でも、ぼんやりと聞いていただけで感情がそこには存在しない。大好きだったはずなのだ。裏切られた、悲しいという当然感じるはずの感情が無いのだ。だから何も訴えず大人しく修道院に向かった。

 きっとこのまま進んだら、また同じ結果になるのでは?そう思うと、うすら寒い感覚に囚われて動けなくなりそうだ。


『どうしたにゃ?何か気になるにゃ?』

 ララの声にハッとなる。そうだ私は今一人じゃない。ちゃんと相談できるララがいるし、今までと違う環境がある。今日リリアーナとも友達になれた。転生前より絶対にいい方に前進しているはずだ。

 気になるなら相談したらいい。そう、ほうれんそう。報告・連絡・相談だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ