第11話 ついでに断罪崖落ち防止計画も進めます
「ん~いい天気、絶好のお茶会日和で良かった~」
あれからすぐに、アロイス殿下は王妃様に貴族の子弟、子女を集めてお茶会を開くことを提案してくれた。とんとん拍子で今日を迎えることが出来ればよかったのだが、王妃様がお茶会を開くことに条件をつけてきた。
アロイス殿下が、条件を却下しようとしたが、今度ばかりは母親のほうが一枚も二枚も上手だった。
「お茶会の準備を一緒にするのは、将来王妃になるマリアローズにとっても良い経験になるのよ。これは王妃教育の実地指導になるの。けしてわたくしも可愛らしいマリアローズと遊びたいとか、そんな考えではなくってよ。アロイスばかりがマリアローズを独占して、貴重な経験を奪うつもり~?」
こう言われてはアロイス殿下も何も言い返すことができなかった、と申し訳なさそうにしていたが、実は私が密かに思っている断罪崖落ち防止計画にとっても都合がよかった。もし、何かのはずみで転生前のように断罪された際、少しでも多くの縁を結んでおけば、まわりまわって誰かが助けてくれるのでは?という打算的作戦である。王妃様との仲を良好にするのは大切な布石だ。そして嫁姑問題も無縁でお願いしたい。
前回の反省点として、私って友達誰もいないじゃない⁈そりゃ誰も助けてくれないわ…だった。確かに殺人的なスケジュールで王妃教育が行われていて、実際そのことに気づいても転生前の私には友達を作る余裕なんて無かったので仕方ないとは思う。だけど今なら、人生2周目な上に前世の記憶まである。チートは有効に使うべし。
「それで、マリアローズのやりたいお茶会はどんな感じかしら?招待する人数は?会場は室内、庭園?規模は?」
王妃様は微笑みながら聞いてきた。まずはお手並み拝見、と顔に書いてある。前の私は何も知らない田舎貴族の子供だった。きっと何も答えられなかっただろう。でもチートがある私は無敵だ。ちょっとズルいとは思うけど、8歳の子供にお茶会を計画させようとする王妃様が無茶ぶりなのだ、これくらい許してほしい。
「はい、お茶会は王妃様主催で行われることになっていますが主役は子供たちなので、フォーマルではなくカジュアルなガーデンティーパーティーがいいと思います。テーブルは指定ではなく好きな席を選べて、気の合った子がいればその都度席も好きに替えられるようにしたいです。私たちと年の近い6歳から12歳くらいまでの子供を集めたいです」
「あと、小さい子はずっと座っているのは難しいと思うので、遊べる場所や、大道芸などもあると楽しそうです。子供だけでは不安なので、保護者も同伴がいいと思います」
王妃様に簡単にイメージを伝えた。少しドヤ顔になったのは内緒だ。