番外編 ③ 黒猫ルルが増えました
午後、私は珍しく一人、ガゼボでお茶をしていた。一人と言っても白猫が一緒だ。
私は朝から気になっていることを、白猫ララに聞いてみた。白猫は女神様の姿にはほとんどならず、気楽な猫の姿でいることにしたらしい。
「ねえ、ララ。隣で気持ちよさそうに寝ている黒猫は……?」
そうなのだ、朝起きてベッドの上を見たら白猫の横に、短毛の黒猫がちょこんと座っていたのだ。瞳の色は銀色に少し青みがかった不思議な色だ。どこかで見たことのある瞳の色だった。
『あ~そうにゃ、言ってなかったのにゃ』
今日も安定の猫語でいくようだ。
『この猫は、隣国ユリゲーラ国の守護をする男神ルールの仮の姿にゃ。私がすっかり猫に馴染んで神の間に帰らないから、遊びに来たのにゃ~』
黒猫は、パチリと目を開け私を見た。
「……男神、ルール様ですか。はじめまして、マリアローズと申します」
『……はじめてでは……まあいい。ルルでいい、猫の時は呼び捨てでいい』
ララは、ハッと気づいたようにルルを見た。
『あ~ルルダメにゃ。猫の姿の時は、語尾ににゃーと言わないと猫じゃないってバレるのにゃ~!!』
えへんと胸を張るララに、黒猫ルルは猫パンチで突っ込みながら、
『……いや、猫はそもそもしゃべらない』
いつも指摘しづらかったことを言ってもらえて、少しすっきりした。
『え~こっちの猫はしゃべってなかったかにゃ?』
『……薄々気づいているだろう?だから人前でしゃべらないくせに。それに、しゃべっていたのは大昔にいた猫に似た大型の魔物だ。それにどっちにしろ、にゃーなんて言ってなかったぞ』
『ええ……そうだったかにゃ』
可愛い猫にしか見えない神様のじゃれ合いに、ほっこりしたのは内緒だ。
お茶会、……いや、猫カフェ最高だ。
読んでいただき、本当にありがとうございました。
この作品が初めての投稿です。楽しく書いていると、思っていたより長いお話になってしまいました。お付き合いくださり感謝します。
一番下にある評価していただけると嬉しいです。
このお話で最後でしたが、ほぼ全話を編集し直したので追加で、SSを投稿しています。訂正内容は「」カギカッコの終わりに。丸って要らないんじゃない?と気づいたため、丸を取る作業をしていました。内容は変更してませんので、今まで読んでくれた方もそのままで大丈夫です。