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第111話 結婚式当日

 雲一つない空に鮮やかな虹がかかっている。王都にある大神殿の周りには、多くの国民が詰めかけ麗しい王太子と美しい王太子妃が大神殿の扉から出てくるのを待っている。今日は、国民が待ちに待った祝いの日だった。街は昨日からお祝いムード一色だ。


 卒業後、すぐに結婚式を挙げたリリアーナとチャールズ様の式に参列し、感動のあまり号泣した私の頬をハンカチで優しく拭いてくれたアロ様は、その隣で号泣している白猫のことは完全に無視していた。

 ララは差別だと文句を言ってケンカになっていたが、それでもこの二人は仲がいいと私は秘かに思っている。それを言ったら完全に否定されるので内緒だけど。


 それから、3か月たった今日、私たちは大神殿で結婚式を挙げている。目の前には、ジャコブ大神官様が立ち、この若い二人に女神様の祝福がある様にと祈りを奉げている。私は前方の席にちょこんと座るララを見た。ララはジャコブ大神官様をチラリと見てふふんと笑っていた。まあ、祝福をお願いするべき女神様が可愛いピンクのリボンを首に結んで、白猫姿でそこにいるなんて思わないわよね……

「では、誓いの口づけを」

 気を抜いてララを見ていた私は、その声に驚いてアロ様を見た。

「マリア、僕じゃなくてララを見るなんて駄目だよ。今日からはずっと僕だけのマリアでいてね。愛している」

 そう言って、顔を近づけ優しく唇に触れた。

「これで、二人の結婚は、女神様に認められました」

 そう言って、ジャコブ大神官様は祝福の言葉を締めくくった。参列する人たちから、盛大な拍手が送られる。そして、二人で出口に向かってゆっくりと進む。リリアーナとチャールズ様、ローラ様とロイド様、アナ様とブラッドフォード殿下、ルルーシェ様、そしてシャルくんの笑顔も見えた。進む道の両端から薔薇の花びらがひらひらと舞う。これから、馬車に乗って街を一周することになっている。

 大神殿の扉が開かれて、私たちは扉の外へ出た。国民から祝福の声が聞こえる。その中に、聖女マリア様、という声が響く。そう、これは事前にアロ様から聖女マリアの正体が女神の愛し子、王太子妃マリアローズだとバレるだろうし、隠しきれないと説明されていた。だから肯定の意味を含め、落ち着いて微笑んだ。そして、聖女マリア様と呼び掛ける声に、手を振り返した。国民は歓声と共に手を振ってくれる。

 これで聖女マリアとしての私の活動は一旦終わることになる。これからは女神の愛し子、もしくは王太子妃として慈善活動をする予定だ。あくまで王族として行い、今後も神殿は関わらせない、とアロ様は言っていた。


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