表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

105/121

第104話 マリアローズは冥界に行くようです

 私は必死に祈った。アロ様を助けたい。生きて、また笑顔が見られますように。幸せになって欲しい。たとえ私がいなくなっても。

 どれくらいそうしていたのか、目を開けるとアロ様の呼吸は安定して、真っ青だった顔色は穏やかになっていた。

「よかった、もう大丈夫ね」


[そうだね、マリアローズ。残念だよ、アロイスの魂を回収しに来たのに、君は約束を破ってしまった。次は魂を貰うって言ったはずだけど]


 いつの間にか、隣にランドールが立っていた。仕事が早い男である。ぞっとするほど美しい容姿で微笑む姿はまさに死神だ。

「そうね、でもそんなの無理よ。何度同じ場面が来ても、私はアロ様を助ける選択しかできないと思うわ」

[そうか、ではそんなマリアローズに敬意をはらって、今すぐに君の魂を冥界に連れてってあげるよ]

 そう言って、ランドールは私の胸の前に手をかざした。

[大丈夫、痛くも苦しくもないさ]

『ダメにゃ、ランドール待つのにゃ!』

 次の瞬間、フッと体が軽くなった。


 次に、意識がはっきりすると、そこは花々が咲き乱れる草原のような場所だった。ただそこに太陽も空もなく、どこか現実味のない世界の様に見えた。

[ようこそ、冥界に。どうだい、案外いい所だろ?]

「……軽いんですね、こっちはアロ様とお別れも言えずに連れて来られて、ここがいいところかどうかなんて考えられません」

[まあ、そこは君の判断だからね。一度目は代替え案で了承したけど、次は、―――]

『……にゃあ』

「リリ……?」

 ランドールの腕に爪を立ててしがみ付くグレーの毛玉、いや、子猫のリリがいた。

[これ君の猫?あっちから付いて来たみたいでさ、私の腕から離れないんだよ]

その時、近くから男性の声が響いてきた。

「お願いだから、リリア。出てきておくれ、このままでは本当に消えてしまう……」

 ランドールが声のした方を見てため息をついた。

[……もしかしたら、君をもう一度返せるかもしれないな。私について来て]


ここまで読んでいただきありがとうございます。残りあと少しです。

気にいってもらえたらブックマーク、評価、いいねしていただけると嬉しいです。

よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ