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【8話】警察に通報し保護を申し出ておいて、次の日もその次の日も、手土産片手に家に帰って来る妻。意味が分からない。

■前書き


<お知らせ>

話の中で第三者との会話が出てきますので、そろそろ名前を付けないと”会話”の部分が不自然になってしまう。

ということで、仮名を付けることにしました。


①鈴木友也

②鈴木美香(旧姓、鬼塚美香)


①が僕で、②が妻です。


本名ではありません。

特に深い意味も無いし、どこか一字、実名が入っているという訳でもありません。

逆に本名が一字も入らないような仮名にしています。


ほんっと、適当に付けました。w


■前書きは↑ここまで。

<時系列>


■日曜日

ぼくが、あの暴言ラインを送った日。


<仕事>

ぼく 夜勤

妻  夜勤


二人とも夜勤なので家には三姉妹だけ。それでも次女の彼氏は居座っていた。妻が許可を出しているので、常識を知らない男だから言われるまま居ついているのだ。


職場に着いてラインを確認すると、コメントが二つ付いていた。


①「私に怒ってるの?」

②「怒ってるのは、彼氏のことで?」


なんだよ……分ってんじゃん!

自覚ありかよ!


ぼくが怒っているのは①と②、両方にだ。



■月曜日

暴言ラインの翌日。


<仕事>

ぼく 完全休日(話し合えると思い、一日中家にいた)

妻  完全休日(朝から外出していた)


翌日、帰宅すると妻はまだ帰っていなかった。


今日は一日仕事が休みだ。妻も同じく一日休みだった。こんなことは最近では珍しく、二人揃って昼も夜も仕事がないのは、どれくらいぶりだろう? 覚えていないくらい前だったような気がする……。


暫くすると妻も帰宅した。


昨日のラインの返信で【ぼくが、次女の彼氏に怒っている】ことを、昨日初めて妻が口に出した。


ぼくの方では何度も不満を口にしていたけれど、妻の口から”そのこと”を”実際に口に出して”聞いたのは、この時が初めてだった。


・自分にも怒ってる。

・彼氏にも怒っている。


妻はその両方を自覚している、ことを口に出したのだ。


・ぼくが不満を口にする。

・妻がその不満を聞いていると、意思表示する。


この二つは本来同じ意味合いだ。

同じ事柄の「言った側」と「聞いた側」二つの立場が違うだけで、内容は二つとも同じものを指している。


ぼくが言った→【他人が居座っている】←妻がそれを聞いた。


だけど妻は面倒な性格をしていて、妻自身が、自分の口で(或いは自分の文字で)「あなたは、次女の彼氏に怒ってるんだよね?」と言わない限りは、「そんなの知らかった」で全て済ませる。だから言質を取る必要があるのだ。(ほんと面倒なひとだ)


これまで妻が「口に出して」ハッキリとそう言わなかったのは、それを認識していることを口に出すと、いざという時に誤魔化すことが出来ない。或いは自分が不利になると思っていたんだろう。


これでやっと妻と、ちゃんとした話が出来る。


ぼくが何に対して怒っているのか、妻自身が口に出したんだ。”それ”を自覚したと、ぼくに告げたようなものだ。


彼女お得意のパターン。

あとからぼくが「あんなに言ってたのに、なんでそのままにしてたの?」と言っても、


「なんで怒ってるのか、分んなかったからだよ」や。

「もし分ってたら、そんなことさせてないし」など。


だってわたし、自分の口から言ってないでしょ? わたしが自分の口で言ってなかったってことは、わたし自身あなたの話をちゃんと理解していなかったからじゃないの? という事になる。


これは実話です。

本当に、妻の言い分は、いつも”それ”です。


先程書いたコレ。


・ぼくが不満を口にする。

・妻がその不満を聞いていると、”意思表示する”


「意思表示する」を妻がしないままだと、例え百回ぼくが口にしたとしても「わたしそんなの知らなかったよ?」になるのだ。だってわたしの口からは出てないでしょ? だったらわたしは理解してなかったんだよ、その話を。



実話ですよ。



なぜか分からないが、この日の妻は、ぼくの部屋にお菓子を持参して入って来た。

ぼくは、言いたいことが沢山ありすぎて、どの話から始めればいいか迷ってしまうくらい、口は話し合いの形になってたんだけれど……。


(え?)


妻は無言で、ぼくにそのお菓子を渡すと、そのまま一言も喋らずに部屋を出て行ってしまった。


(なんだよ……これ。どういう意味?)


取りあえず、一旦落ち着こう。


まさかこのまま、何も話をしないなんてことはなさそうだし。取りあえずぼくは妻の行動があまりに突飛だったので、面食らってしまった。



リビングでは普段と変わらない、聞きなれた生活音がしていた──。


妻がぼくの部屋に来て、すぐ出て行ったこと自体は察しがついている。

娘たちが学校へ行く時間なのだから、今リビングで”話し合い”をするのは得策ではないのは、ぼくも解っている。


家の事は夫婦で役割分担をしている。

朝の支度や用意は、妻の仕事になっている。


最近の妻は、なぜかパートの昼勤を削り夜勤シフトの数を増やしていたので、時々忘れることもあるのだが、今日は忘れずに朝の用意をしているんだろう。


それが済んだら、またぼくの部屋に来るのかもしれないし、来なければ別にぼくの方から行けばいいだけの話だ。お互いに今日は一日完全オフ。時間はたっぷりとある。


と、思っていたんだけれど。


ぼくがトイレで用を足していると(おっきいほう)、玄関ドアが閉まる音がした。

長らく一緒に住んでいると、足音や、ドアの開け閉め、鍵をかける時の癖などで、その音が誰なのか分かるようになってくる。


その音は妻がドアを閉める時の音であり、鍵の閉め方も妻が閉める時の”音”だった。


妻も夜勤明けだ。きっと眠いだろう。

「ちょっとそこまで、買い物に行って来る」いつもの、そのたぐいの外出だと思っていたんだけれど、待っていても全く帰って来る気配がなかった。


妻は夜になってやっと帰って来た。


ぼくを避けるようにして、お風呂にも入らずに寝てしまった。普段なら起きている時間だったけれど。


まぁ、夜勤明けなので仕方がないか……。


腑に落ちないけども。



■火曜日


<仕事>

ぼく 遅めの昼勤&夜勤

妻  完全休日


妻は朝の用事を済ませると、その足でどこかへ出かけてしまった。


昨日話し合えなかったので、この日、少しでも話す時間が取れるように、遅めの出勤にして貰ったんだけれど、それも意味が無かった……。


妻が外出から帰って来るのが、思ったより遅かったので、その頃には昼の仕事に行く時間が目前に迫っていた。


妻はまた何か、手土産を持って部屋にやって来た。

だけど、また無言でぼくの机に置いて、またすぐに部屋を出て行ってしまった。


この日も、話し合うような時間はなかった。



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