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プロローグ

「あー……申し訳ありませんが、現在国の方針でDランク以下の冒険者の方のクエスト受注は停止しております」

「え?」

 唐突な言葉に腑抜けた疑問符だけが口から溢れる。

「ですから、あなたの冒険者ランクではクエストを受注できません。」

 可憐な受付嬢の事務的な言葉が、左耳を通って右耳から抜けていく。馬耳東風とはこういうことを言うのか、と変に冷静な感情が渦巻いている。

「わかり、ました?」

「……。あの、次の方が待っているので早くどいてもらえませんか?」

 敵意の籠った言葉で背後からの冷たい視線を感じ、すぐに立ち去ろうとするが申し訳なさは心に残る。

「あ、すいません、でした……」


かくして俺は、社会から追放された冒険者へと相成ったのであった。


※ ※ ※ ※


 俺は平凡な人間だ、と自分で思う。裕福でもなく貧しくもない家に生まれ、一般的な容姿に、一般的な交友を持っていた。そんな中、自分なりに一流の冒険者を目指して努力してきたつもりだ。

 だけど体を鍛えて魔物と戦う度胸も、神に誓って人を助けるような信心もなかった俺は、消去法で魔法使いとならざるをえなかった。もちろん俺に魔法の才能があるわけでもなく、努力の結果は低級クエストしか受けられないDランク止まりだ。

 そんな生活でも、まあ満足はしていた。街の人の頼みを聞いて手助けをする仕事にはやりがいがあったし、腐っても憧れの冒険者だ。こんな暮らしが続くなら、悪くはないと思っていた。


「はぁ……これからどうしよう……」

 元冒険者、現無職のアイディオ・セアンは路地裏にて酷くオーソドックスな落胆を漏らした。

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