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第4章
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暫く舞っていた綿毛が不意にすうっと落ちた
『ん!?』
さあっと重い目が鋭く見開き着地点を確定させる
『どうしたどうした』
『お仕舞いか?!』
ゆっくりと軽い足取りで着地点に向かう
ただただ見失わない様に1点だけを見つめて
『いた』
『どうした』
緩い風が頬をゆっくりと過ぎ去る時季節が香る
着地点は程よく草の生える土の雑種地
『なのに』
殆んど見当たらない小さな石の上
『よりによって』
心配をよそに綿毛は小さな石の上でゆらりゆらりと
『どうするんだ』
そこから落ちるわけでもそこから翔ぶわけでも
『呑気だな』
僅かに頬が緩むのを感じた
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